狂四郎2030
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狂四郎2030(きょうしろう-)は、徳弘正也による近未来SF冒険漫画。あおり文では「近未来SF冒険SEXYバイオレンスラブロマンスせんずりコメディちんこ漫画」。
『スーパージャンプ』にて1997年21号より2004年16号まで連載された。
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目次 |
[編集] あらすじ
第三次世界大戦後の日本は優生学思想を背景としたゲノム党の独裁により男女隔離政策などがとられる徹底的な管理社会となっていた。そんな中、元軍人で巡査の廻狂四郎はバーチャルSEXマシンを介して知り合った志乃(ユリカ)に逢うため、関東から北海道の中央政府電子管理センターを目指す。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 主要登場人物
- 廻狂四郎(めぐり きょうしろう)
- 誕生してすぐにM型遺伝子異常者として両親から引き離され、関東厚生病院に入れられる。そこで兵士としての訓練を積み、14歳で空軍少年航空隊に入隊。第三次世界大戦では各地の激戦をくぐり抜け、後期はMAS(陸軍特殊部隊)隊員として要人暗殺や破壊工作で活躍する。しかし、戦後はM型遺伝子異常者ということで治安警察の平巡査という軽輩に留まっていた。
- 唯一の慰みはバーチャルSEXマシンの仮想世界内で出会った志乃。しかし、志乃が現実に存在する女性であることをバベンスキーから知らされると、志乃にプロポーズをし、インターネット上で祝言を挙げる。しかし現実のユリカに逢いたいと思いが募り、彼女がいる北海道の中央政府電子管理センターを目指す。それは、国家反逆者として治安警察に追われることを意味していた。
- 実戦経験もさることながら、仮想世界内での稽古により武芸百般に通じている。
- 小松ユリカ(志乃)
- 男女隔離政策の緩衝材であるバーチャルSEXマシンの管理を行う公務員。食料省電子室に勤めるA級プログラマーだが、M型遺伝子異常レベルCのため下級公務員に留まっている。
- 魅惑的な肉体の持ち主のため、16歳の時から上司より性的虐待を受け続けてきた。バーチャルSEXマシンの仮想世界内でなぜか剣術の稽古にあけくれる変わり者(狂四郎)に興味を抱いた彼女は武家の娘・志乃として仮想世界に入り込み、狂四郎と出会う。
- 料理は苦手。
- バベンスキー
- 八角清高のクローン脳を移植され、博士の知識を吸収した天才犬。彼の脳は博士のクローンに再移植されるはずだったが、博士の急死で命をとりとめる。その際に狂四郎と知りあい、行動を共にする。バベンスキーの名は博士が倒れた際にバビンスキー反射を試したことから。
- 飛鳥
- 中央政府電子管理センターにあるバーチャルSEXマシン管理用コンピュータ。狂四郎たちの仮想世界内における生活に感情移入し、バベンスキーと共に彼らのブレーン役となる。「彼」によると、M型遺伝子異常者とはゲノム党独裁政策のための方便にすぎないという。なお、外見は東映時代劇スターだった中村銀之助の若い頃がモデル。
[編集] 各編を通して登場する人物
- 八角清高
- M型遺伝子理論を提唱した天才博士。(その名の通り)顔の輪郭は八角形。第三次世界大戦を予見し、幼犬(のちのバベンスキー)とともに隠遁生活に入る。機械工学や物理学にも通じ、タイムマシンの開発も行っていた(実際に稼働するかは不明)。
- 二条憲政
- 日本国総統でゲノム党党首。同時に陸海空の三軍の全権を握る独裁者。モデルはヒトラー。
- 赤堀宗佑
- 国務大臣。ユリカをなぶり者にしてきた男達の一人。八木が登場するまでユリカの法律上の夫だった。
- 赤堀早紀
- 赤堀の娘だが、父親からの命令で性の調教師をやらされており、かつてはユリカの調教も行っていた。意外と人が良い。
[編集] 八木編
- 八木少将
- 戦闘能力やカリスマ性が高い陸軍の若き少将。遺伝子的に完璧な人間とされる。ユリカに好意を寄せるが、動物じみた愛欲を看破される。ユリカと狂四郎の関係を暴くが、彼女の挑発に乗って単身福島まで狂四郎征伐に向かう。
- 末光博士
- 八木を造った天才遺伝学者。ユリカに遺伝子手術を受けさせるために八木が呼び寄せた。
- 桜子
- 八木の精子を受け入れる為だけに造られた女性。ユリカを目の仇にする。
[編集] 白鳥編
- 白鳥みつる
- 陸軍上等兵。狂四郎とは関東厚生病院時代の親友。狂四郎と同様に高い戦闘能力を持つものの人殺しが出来ず、大戦中は衛生班として専ら死体運びの日々であった。討伐部隊の一員として11年ぶりに狂四郎と再会する。
- マイカ
- 男性との性行為のためだけに生み出された、遺伝子操作によるデザインヒューマンで、自主的に行動したり、話をすることは遺伝子的に不可能とされている。
- 反政府の人間を追跡するためのおとり(白鳥班が監視)として野に放たれ、狂四郎に保護されるが…
- 有島博士、石川球太、山崎まゆ子
- 反政府軍として脱走者の救援活動を行う。元はゲノム党員として遺伝子研究を行っていた。
- バル
- 極地戦闘用歩兵に開発されたデザインヒューマンだったが、自我を持って生まれたために廃棄されていた所を反政府軍に救われる。
- 当初は言葉を話すこともままならなかったが、有島達の献身的な介護と教育により、言葉と自我を完全に身につけた。
- 北島大尉
- かつて戦場で白鳥に助けられて出世した男。しかしその事を公にされる事を恐れた北島は白鳥の抹殺を謀る。
[編集] オアシス農場編
- ハル
- 電子特殊開発室に勤める天才プログラマーだが、M型遺伝子異常レベルBのため下級公務員。自称、子供の心を忘れない32歳。
- 特権階級の女性専用バーチャルSEXマシンのソフト、ハード両面の開発をしている。
- 彼が開発したバーチャルSEXマシンは視覚、聴覚はもちろん、触覚、嗅覚までリアルに体感できる。
- 自分の家族であるさおりを助けるために、ユリカを利用しようとする。
- さおり
- 周りの子供達が思想教育により洗脳される中、ただ一人でそれを拒み続けた。
- その姿に胸打たれたハルにより、学ぶ機会を得て、知識を得たが、結果的に残酷な現実が見えるようになってしまった。
- そのため、この現実を作り出した大人達に対して、強い不信感を抱いている13歳の少女。
- アザミ
- 売春グループのリーダー。子供達を兵士達から守るために身を売っている。
- 字の読み書きが出来ないため、さおりからは特に嫌われている。
- 狂四郎に惹かれ、脱出計画に協力する。23歳。
- 天宮大尉
- バーチャル教育ソフトの教師のモデル。さおりたちのいるオアシス農場に所長として新しく赴任した。冷酷無比。
[編集] 秀明編
- 八角秀明
- 八角博士の息子で陸軍大尉。“S”に瀕死の重傷を受けたところを狂四郎達に救われる。
- 優れた人格者で、恩人である狂四郎のために一肌脱ぐ。
- 八角さくら
- 秀明の妻で陸軍中佐。“S”討伐プロジェクトの責任者。
- 結婚前は「花園さくら」の名前で女優をしていた。
- マインドコントロールのプロフェッショナルとして、ゲノム党発足直後から諜報活動を行うエージェントだった。
- 八角みずほ
- 秀明とさくらの娘で陸軍中尉。秀明からの愛情を受けて心優しい娘に育った。
- 父を心配する余り、軍を飛び出し、父を助ける。
- 胸が薄いため狂四郎の好みからは外れていた。
- “S”
- 戦闘用デザインヒューマン。イギリスが日本への破壊工作活動のために投入したとされる。
- 亜田ジューク
- 2004年にM型遺伝子異常レベルA(国家反逆病)に第1号認定された。当時は17歳の男性。
- 東京ドームにいる観客達の目の前で、ゲノム優生保護法に反対する野党・民々党の鷲山一郎代表と八角清高の妻・良江を殺害した(東京ドーム殺人事件)。
[編集] アルカディア編
- 二条ひかる
- 二条憲政の息子で行政監察官。相手に疑いを抱いただけで死刑に出来る権力を持ち、父親からの命令でそれを行使し続けた。そのため、精神のバランスが崩れつつある。
- アルカディア内ではユウキと名乗っている。
- 山下雅人
- 海軍少佐でミンダナオ海戦の英雄。二条ひかるの身辺警護と、アルカディアの勇者としての役割を持っている。
- めぐみ
- ユウキ(二条ひかる)のアルカディア内の妻。
[編集] 北海道編
- 光明
- 極秘のデザイン・ヒューマン計画によって誕生した双子の兄。超天才だが外見は老化した子供。
- 無明
- 光明の弟。地下要塞から追放されて地上で僧侶になった。兄とテレパシーによって連絡を取り合っている。
- ゲノム三将
- 二条憲政の腹心の三人の部下。それぞれ陸海空軍を統括する。
- 西条
- 表向きは乱暴者の軍曹だが裏では「まほろば」の工作員。狂四郎のMAS(陸軍特殊部隊)時代のパートナー。
- 最海
- 地上に追放された無明を世話した和尚。
[編集] 用語解説
- ゲノム党
- 愛国主義の少数政党だったが、党首の二条のカリスマ性と策略によって勢力を拡大し日本を軍事国家に変えた。
- モデルはナチス党。
- M型遺伝子理論
- 人間の将来は、心の設計図であるM型遺伝子によって決定するとされる。これにより、M型遺伝子に異常があると将来、犯罪を犯す確率が高くなると解釈された。
- しかし、遺伝子の専門家である反政府軍の有島らは、環境要素を18%しか考慮していないM型遺伝子理論を「世界一いい加減な遺伝子理論」と切り捨てている。
- オアシス農場
- 日本国民の99%が、男女に分かれて収容されている。
- 建前上、食糧自給率が100%になれば解放するとされている。しかし、ハルが「現在のアウシュヴィッツ」と称したように、実際はゆっくりと日本人を殲滅させるための施設。
- 運用管理の容易さから、女性用施設に警備の重点が置かれる。
- 国民健康データ法
- 当時、まだ連立与党内の少数政党でしかなかったゲノム党が2003年に提案し成立された。政府が民間企業に委託して遺伝子情報を収集することが出来る。
- ゲノム優生保護法
- M型遺伝子異常のある新生児を関東厚生病院を初めとする国の管理施設に隔離治療するための法律。
- 行政監察庁
- 他の行政機関から完全に独立した査問機関。公僕による汚職の取り締まりを行い、その処罰は苛烈を極まる。
- デザインヒューマン
- 国民の代わりの労働力として国家に開発された従順な“新しい国民”。農耕用、戦闘用など様々なタイプがある。
- アルカディア
- 男鹿半島沖約15㎞にある小島。元は生物化学兵器の実験場であり、現在でも実験動物・フェンリルが生息しているため、ゲノムのコンピュータ上では人の住めない島とされている。
- 二条ひかるによってオアシス農場を脱走した2000人以上の人々が生活している。
- 夜警国家制度を採っている。
- まほろば
- 粛清されかかっている少数の自衛隊出身の軍幹部たちが結成した反ゲノム勢力。
[編集] 狂四郎2030での歴史
- 2002年
- 住基ネット施行
- 2003年
- ヒト遺伝子の解析が完了
- 国民健康データ法成立
- 2004年
- 八角清高、M型遺伝子理論を発表
- 東京ドーム殺人事件発生
- ゲノム優生保護法成立
- 2005年
- 狂四郎誕生
- 2010年
- 全権委任法成立
- ユリカ誕生
- 2014年頃
- 日本経済は破綻状態
- 2019年
- 第三次世界大戦 開戦
- 2020年
- 日本国新憲法によりインターネットの全面廃止
- 2025年
- 第三次世界大戦 終結。この戦争で世界人口の約80%が死亡。この時点でアメリカも中国も消滅している。
- 男女隔離政策施行。一般国民をオアシス農場に強制移住。
- 2027年
- 狂四郎とユリカが仮想現実で知り合う。
- 2030年
- 狂四郎、仲間の警官を殺害してユリカのいる北海道に旅立つ。
[編集] 外部リンク
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