玉龍
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玉龍(ぎょくりゅう、Yu long)は西海竜王敖閨の第三太子。小説『西遊記』の主要登場人物の一人。
かつて天界において父・敖閨が大切にしていた宝玉を、火事を起こして焼いてしまい、その罰として死罪を命じられた。その後観世音菩薩の助力で蛇盤山の鷹愁澗に住み、三蔵法師の馬となるべく、五百年間三蔵が来るのを待ち続けていた。しかし、肝心の三蔵が来た時にはそうとは気付かず、三蔵が乗っていた白馬を呑んでしまった。彼の正体を知っているのは孫悟空だけであり、彼は元々天界で弼馬温をしていたため馬の扱いには慣れていた(猿は馬を病から護るという信仰に由来)悟空には大事にしてもらっている。元来龍であるためその尿を悟空が薬の材料にしたことも。
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[編集] 一般的なイメージ
玉龍は物語の中であまり活躍することはなく、エピソードもそれほど巷に流布していない。原作群においても描写は少ないので彼の様子を把握するのは難しい。翻案であればただの馬として無視されることさえある。
[編集] 名前の遍歴
- 玉龍(元の名前)
- 小龍(別名)
- 八部天龍(釈迦如来の任命)
- 白龍馬(民間でよく言われる名前)
[編集] 玉龍の戦い
原作群において玉龍は専ら経典を運ぶ三蔵の馬としてしか登場せず、孫悟空、沙悟浄、猪八戒のように妖仙と戦う場面は殆ど無い。しかし一度だけ三人が危機に陥った時に敵と戦ったことがある。それは碗子山波月洞に住む天界の星辰・奎木狼であった黄袍との戦いである。
この時三蔵は囚われの身、悟空は破門、八戒、悟浄とは連絡も取れず、一行は窮地に追い込まれていた。そこで玉龍は己が黄袍と戦うことを決意し、厩の手綱を切って竜の姿に戻ると、妖艶な美女に変身して言葉巧みに黄袍に取り入り、隙を突いて妖怪が持っていた剣で刺し殺そうとする。しかし結局負けてしまい、足に怪我まで負ってしまった。
しかし玉龍が活躍する数少ない名場面である為、西遊記の見所の一つでもある。
[編集] 泉州開元寺西塔浮彫
泉州開元寺の仁壽塔(西塔、嘉元年1237年完成)浮彫には梁武帝、「唐三藏」、剣を持った東海火龍太子(馬とつながっている)、猴行者の4種あり、西遊記の玉龍となる前の姿がかいまみえる。