球面三角法
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球を3つの大円(球の中心を通る円)の弧で囲まれた球面の部分を球面三角形というが、その3つの辺や3つの角の要素の間の関係を表したものが、球面三角法(きゅうめんさんかくほう)である。 平面上の三角法との最大の違いは、辺の大きさが長さではなく球の中心角によって表されることである。 平面三角法では6つの要素のうち3つの要素が決定されれば、残りの3つの要素を求めることができる。球面三角法でも同様に、3つの要素が分かれば残りの3つの要素を求めることができる。
球面三角法は、主に天文学や航海術で利用されてきた。現在では電子計算機の発達により、より簡潔に式を表すことができる行列を使用した座標変換に計算方法が移行している。
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[編集] 球面三角法の基本公式
ABCを球面三角形とし辺BC,CA,ABをそれぞれa,b,cとする。弧ABを含む大円と弧ACを含む大円がなす角をA、同様にB,Cも決定する。そのとき、次の式が成り立つ。
球面三角法の余弦定理
球面三角法の正弦定理
正弦余弦定理
球面三角法の正接定理
[編集] 誘導定理
とおく。
[編集] 直角球面三角形
天文学や航海術では一つの角が直角の場合が多く、この場合公式は簡単になる。
とする。
これらを記憶するためにネイピアの法則がある。
[編集] ネイピアの法則
ネイピアの円で である。
ネイピアの円のどれか一つの要素を中央要素とし、その隣の要素を隣接要素、さらにその隣にあり中央要素の反対側にある2つの要素を対向要素とする。このときネイピアの法則は次の式で表すことができる。
中央要素のcos = 隣接要素のcotの積
中央要素のcos = 対向要素のsinの積
[編集] 象限三角形
球面三角形の一辺がとなっているものを象限三角形という。この場合も公式は簡単になる。ここで
とする。
象限三角形もネイピアの円にをあてはめると、ネイピアの法則を適合することができる。
[編集] 双対原理
球面三角形の法則は、それぞれの要素の向かい合った要素の補角に置き換えても成り立つ。これを双対原理という。具体例をあげると
より
が成り立つ。
[編集] haversine 半正矢関数
で定義される半正矢関数が航海用として使用されていた。定義よりこの関数の値は常に正であり、
である。
から、最初の球面三角法の余弦定理を書き直すと
より
となる。