琉球の五偉人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『琉球の五偉人』(りゅうきゅうのごいじん)は、伊波普猷と真境名安興による共著で1916年に小沢書店から出された出版物。1961年沖縄タイムス社による刊行の『伊波普猷選集(上巻)』、1975年・1993年平凡社の『伊波普猷全集(第7巻)』、1993年琉球新報社の『真境名安興全集(第4巻)』にも収録されている。
[編集] 概略
本書中に取り上げられている琉球史上の五人の人物をして、書名を『琉球の五偉人』とするが、当初から一冊の本として出版するために執筆されたものではなく、伊波普猷がすでに発表していた論文「沖縄の代表的政治家」をベースとし、さらに真境名安興が執筆した稿を追加し、単冊本として発刊されたものである。
なお、現代の沖縄で語られる琉球の五偉人は、本書の存在をぬきに五偉人の人物のみを認識しているのが大方で、五偉人の定義が本書を端緒とすることはあまり知られていない。
[編集] 琉球の五偉人(その人物)
各人の詳細についてはそれぞれの項目を参照のこと。
-
- 麻平衡・儀間親方真常
-
- 向象賢・羽地按司朝秀
-
- 程順則・名護親方寵文
-
- 篤学者。琉球における最初の学校明倫堂創設の建議や、中国より持ち帰り『六諭衍義』を頒布するが、これが日本にも広まり江戸・明治期の庶民教育の基盤となった。
-
- 蔡温・具志頭親方文若
-
- 三司官としてさまざまな政治改革を行い、琉球の発展に寄与した。史書編纂事業にも力をそそぎ、親子二代にわたって『中山世譜』を編纂している。
-
- 向有恒・宜湾親方朝保
-
- 王朝時代末期の三司官として、琉球の近代化への扉を開いた。また私人としては和歌に親しみ、八田知紀に師事。当代きっての優れた歌人であった。