木綿
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綿(めん/わた・棉、英cotton)は、アオイ科ワタ属の多年草の総称。また、これらの植物の種子のまわりについた繊維を指す。繊維を指す場合、木綿(もめん、きわた。楮の繊維から作った糸である木綿(ゆう)とは別)、綿花(めんか、元の用字は棉花)とも呼ばれる。本項目では、繊維としての綿について述べる。
繊維としては伸びにくく丈夫であり、吸湿性があって肌触りもよい。このため、現代では下着などによく使われるが、縮みやすいという欠点もある。化学的には、セルロースでできている。
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[編集] 性質
綿の種子は硬い蒴果のなかにあり成熟するにつれ、はじけて綿花が現れる。蒴果の内部は隔壁によって数室に分かれ、各室に数個の種子があり、それに綿毛が密生している。この綿毛は外皮細胞が変形したもので、綿の種類によって長短に分かれる。
生の綿毛は管の中に水を入れたようなもので、熱するにつれて内部の水分が枯れて中空になり、さらに繰綿すれば、管内の水分はまったく乾燥して綿毛が自然によじれる。綿を顕微鏡で観察した際に見られるよじれはこのようにできる。
[編集] 歴史
原産地はインドとアフリカといわれ、紀元前2000年にはインドで既に栽培され、繊維として使われていたことが分かっている。紀元前には既に西アジア、ヨーロッパに伝わっていたが、ヨーロッパではあまり多量には生産されなかった。南アメリカでも紀元前に綿が使用されていた。
中国への伝来は晩唐とも北宋とも言われている。朝鮮半島へは1364年に文益漸が国禁を犯して元から伝えたという記録が残されている。
16世紀以降、交易を通じてインド産などの綿が、主にイギリスにもたらされ、18世紀ごろにはイギリスの羊毛業をおびやかすまでになった。1780年代になると、自動紡績機や蒸気機関が相次いで実用化され、イギリスは綿輸入国から一気に世界最大の輸出国に転換した。この綿産業の発展を主軸にした産業構造の変革は、産業革命ともいわれる。なお、イギリス産の綿の原綿は、主にアメリカで栽培されたものである。
日本へは799年、三河国(愛知県西尾市天竹町と言われるが、日本後紀には、三河国としか書いてない。)に漂着した自称インド人によってもたらされ栽培されたが、1年で途切れたという。この後、綿は明や朝鮮からの輸入に頼ることになり、長い間高級品であった。その後、連続して栽培され一般的になるのは、16世紀以降とされる。
明治以降、政策により綿布の生産が強化されたこともあり、1930年代には輸出量が世界一となった。第二次世界大戦時は輸出は停止したが、戦後復活し、再び世界一になった。ただしその後は安価なアジア産の綿布に押され、生産量は減少している。
[編集] 織り方
- コーデュロイ(コール天)
- 表面に光沢と畝のある生地。保温性に優れている。
- デニム
- 縦糸をインディゴによって染色し、横糸を生成りで綾織にしたもの。耐久性に優れていて、ジーンズなどに使用されることが多い。
[編集] 生産
世界の綿の生産量は2100万トン。(2001年 概略値)
[編集] いろいろな「わた」
わたとは、繊維、または繊維状のものが絡まりあってひとまとまりの状態になっているものを言う。日本では、戦国時代に木綿綿が普及する以前、すなわち古代や中世において「綿・わた」と表記されるもののほとんどは、蚕の繭から作られた絹の真綿の事を指している。
- 「綿」(わた:Cotton)は一般には木綿繊維や化学繊維からなり、布団の詰め物などに用いられる。
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- 「真綿」(まわた:Floss silk)は絹繊維による「わた」。光沢があり、保温性・通気性・吸放湿性が良く軽い。高級詰め物に多く見られる。
- 「麻綿」は麻繊維による「わた」。吸放熱性が良く、さらっとした肌触りが特徴。夏用布団に用いられる事が多い。
- 「羊毛綿」は羊毛繊維による「わた」。表面は鱗が重なり合ったような形状をしており、クリンプと呼ばれる独特の縮れを有する。ヨーロッパでは古くから用いられ、弾力性・保湿性・吸放熱性に優れている。
- 「合繊綿」は合成繊維による「わた」。主にポリエステル製が多い。木綿綿の2倍のかさ高があり、保温性に優れて軽く、体に馴染み易い。木綿綿と混合されて使われる場合も多い。
- これらに関連して、綿の代わりにガチョウや鴨の羽毛を使ったものが高級かけ布団の材料として用いられる場合もある。
- 「石綿」(いしわた:Asbestos)は天然の鉱物が繊維状に変形したもの。耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れる反面、その繊維が肺疾患を惹き起こすことが分かり社会問題にもなっている。
- 「スチールウール」は鉄の繊維による「わた」。非常に酸化しやすく、酸素中で激しく燃焼する。
- その他「わた」の状態になったもの。綿菓子、綿毛など。