目黒ショック
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目黒ショック(めぐろショック)とは、2006年12月頃、東京都目黒区の大多数の区議が政務調査費を不正に使用もしくは私的流用をしているとオンブズマンが主張したことにはじまった政治的混乱の騒動。オンブズマンの発表情報をいち早く掴んだ公明党目黒区議団全員が政務調査費を返還し、辞任したことから公になった。本件をきっかけに、マスコミの調査や報道がはじまり、他の地方自治体でも同様のことが行われていることが明らかになり、騒ぎが広がった。 一方で騒動の発端となった目黒区では、私的流用を指摘された側からは「2006年5月頃より私的流用を批判された議員[1][2](独歩の会)がオンブズマン(元自民党区議)と組んで、自分と対立する議員に疑義をかけて騒ぎ立てた政争である」との説明も行われている[3][4]。
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[編集] 騒動の概要
目黒区区議には一人あたり年間「204万円」の政務調査費が交付されている。その使用目的について目黒区では、領収書を添付することになっており、また住民に対して公開されている。これを入手し精査したオンブズマンが「領収書の但し書き欄から、政務調査とは考え難いものの購入費用として使われたものが多数みつかった」として、順次、住民監査請求を起こした。私的流用を行っていたと嫌疑をかけられた会派は、自民・公明・民主・社民・共産党・無所属と多岐に渡った。テレビ朝日とTBSでは「目黒区長も半ば容認だった」と報道されたが、この報道の中立性・正確性に疑問を呈するものもいる。
本問題が広く報道されるようになったのは、公明党議員の一斉辞任がきっかけである。しかし、この指摘をオンブズマンと共に行った独歩の会議員も、政務調査費の使用に問題があったとして、区議会より費用の返還要求と問責決議を受けている。この他にも目黒区議会内では、区議同士で「監査請求の応酬」や「告発合戦」が行われている状況であり、監査請求が政争の道具となっている面もある。
また、私的流用については「どこまでを政治的活動と見るか」について明確な基準が設定しづらいという問題もあり(政治活動を、公的業務と見るか、自己の当選を目指した活動と見るか、線引きは難しい)、オンブズマンの指摘によって最終的には費用返還がなされても、必ずしも不正があったとは言えない。
[編集] 領収書の但し書き
何に金銭を支払ったのか記載する領収書の「但し書き」欄をオンブズマン及びマスコミが調べたところ、眼鏡購入費、抱き枕購入費、商店街の新年会費用、誕生パーティー費用、バイク購入費、事務所の家賃、私的な旅行費用、秘書など職員の人件費、食費、選挙運動員の食費、家電製品購入費、私的に乗車したタクシーの費用、家族の年賀はがき代金、支持団体代表が撮影した写真集の購入費 など、政務調査の範囲に含まれるか疑わしいものが散見された。これらをオンブズマン側が「不正である」と主張したため、その不正・不適切さについて議論が行われた。結果
- 明確に問題がある不正行為
- 政治活動に関連した出費ではあるが、政務調査とは言えないもの
- 政務調査に含まれるか、意見が分かれるもの
などもあることが分かった。
[編集] 他自治体への波及
目黒区からはじまったこの問題だが、他の自治体議員の政務調査費交付の金額や使用目的などがマスコミによって調査、報道された。その結果、目黒区は「領収書の添付が義務づけられていたので問題発覚となったが、他の自治体には領収書の添付不要もしくは添付義務がないところもある」ということが明らかになった。別の東京都23区の区議は、ポルノ誌の購入費や高額な食事費用に使用していたこともわかり、さらに問題は広がった。そして、多数の地方自治体で、領収書の添付義務や金額の減少が議会決定した。
[編集] その他
自民党の目黒区議長が辞任し、別の自民党区議が新議長に就任した。しかし、前議長も新議長も私的流用を行っていると主張する者もいる。目黒区長の姉が民主党の目黒区議におり、「身内による私的流用の容認があったのではないか」という報道がされた。また、いち早く返還と辞任を行った公明党区議団も「辞任によってトカゲの尻尾きりをしているだけ」という批判が多く、その私的流用された金銭の行き先がうやむやになっている。バイクを購入した民主党議員はマスコミへの会見で不満を述べながら返還している。2007年3月現在、オンブズマンは、私的流用・不適切使用を行った区議に対して、住民訴訟にでる模様。
[編集] 関連項目
[編集] 参考情報
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