直角三角形
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直角三角形(ちょっかくさんかくけい)とは三角形の一つで最大の角が直角(π/2 rad)である図形である。直角三角形の各辺の長さの関係はピタゴラスの定理(三平方の定理)とよばれる。
直角三角形の直角の対辺を斜辺という。直角三角形の3本の辺のなかでは常に斜辺が最も長くなる。直角でない角A,Bはどちらも90°未満の大きさである。斜辺 c とほかの2辺 a, b との関係は a2 + b2 = c2 であり、これが成り立つ三角形は直角三角形である。
異なる角を持つ頂点同士が重なるように二つの直角三角形を並べると長方形ができる。直角三角形は面積 ab の長方形を1本の対角線で区切って二等分した図形であるので ab/2 の面積をもつ。また直角三角形を直角の頂点同士および他のもう1角の頂点同士が重なるように2つ並べると二等辺三角形ができる。これは三角形を2つ並べて別の三角形をつくる唯一の方法である。
斜辺の中点は直角三角形の外心である。すなわち斜辺の中点から点A,B,Cまでの距離は全て等しい。また直角の頂点Cは垂心である。
三角比では辺b と斜辺c の比 を sinB , 辺a と斜辺c の比
を cosB , 辺b と辺a の比
を tanB と表現する。
なお である。
三角定規は直角三角形であり、直角でない2つの角が30°および60°のもの(正三角形を半分にしたもの)と2つの角がともに45°である(直角二等辺三角形)ものの2種類を1セットとするのが一般的である。2つの三角定規の斜辺の長さは同じ場合が多い。これらを使って平行線や垂線を容易に作図することができる。
[編集] 黄金比
斜辺の長さをxとし、他辺の長さをそれぞれ、1とするような直角三角形を考える。これを三平方の定理に当てはめると以下のようになる。
つまり、以下のような二次方程式となる。
x2 − x − 1 = 0
この方程式を解くと、以下のような解となる。
この解のうち、正の解を用いた比を黄金比といい、古代より建築・美術などに多用されている。