石見畳ヶ浦
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石見畳ヶ浦(いわみたたみがうら)は島根県浜田市にある海岸景勝地。単純に畳ヶ浦ともいう。一帯は古くから床浦と呼ばれた景勝地だが、1872年に発生した浜田地震によって海面が隆起、今にみられるような千畳敷と断崖が融合した景観となった。地質学的に大変貴重であり、国の天然記念物に指定されている。名の由来は千畳敷が畳を敷き詰めたように見えることに因む。なお、広義では、一帯は唐鐘海岸と呼ばれており、その中にある景勝地として扱われる。
市内随一の景勝地で観光化もされており、釣り客や海水浴客などが多く訪れる。夕陽も美しい。
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[編集] 特徴
- 千畳敷
畳を敷き詰めたという形容の通り、千畳敷には節理による無数の亀裂が走っている。千畳敷を構成する岩盤は波食によって棚状になっている。これを波食棚といい、砂岩層からなる。この砂岩には中期中新世の貝類、流木、鯨骨などの化石が含まれており、非常に優れた保存状態を誇る。
- 馬の背
千畳敷の中央に馬の背と呼ばれる岩山がある。これは海岸にあった岩礁が地震によって顔を覗かせたものであり、砂岩と礫岩の地層がくっきりと見分けられる。礫岩層は本来、海底に埋もれていたはずであるが、地震によって露出したものである。
- ノジュール
また、千畳敷には至る所に腰掛けのように丸い石が並ぶ。これはノジュール(団塊)と呼ばれるもので、前述の地震によって岩盤そのものが隆起した際に発生したものであり、地層にしたがい、規則的に11列に並んでいる。また、ノジュールは貝殻に含まれる炭酸カルシウムの働きでコンクリート状になっている。全国的にも稀な現象で、畳ヶ浦を代表する特徴的なもの。地質学的にも極めて貴重なものである。
- その他の特徴
海岸の背後には高さ20mクラスの断崖が発達しており、地層の交差が顕著である。また海蝕洞も見られ、内部には地蔵菩薩が置かれた。途中に賽の河原と呼ばれる場所がある。海上には犬島、猫島という奇岩が浮かぶ。
[編集] その他
[編集] アクセス
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 国指定文化財 データベース(文化庁)
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