神経毒
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神経毒(しんけいどく)とは、通常、膜蛋白質とイオンチャネルとの相互作用によって神経細胞(神経単位、ニューロン)に特異的に作用する毒のことである。
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[編集] 神経毒の作用点
ヘビやサソリの毒や、その他の生物が脊椎動物に対する防御のために利用する毒の多くは神経毒である。一般的な作用は麻痺であり、それは極めて急速に起こる。ハチ、サソリ、クモ、およびヘビの毒には何種類もの異なる毒素が含まれていることがある。多くの神経毒は電位依存型イオンチャネルに影響を与えることで作用する。たとえばテトロドトキシンとバトラコトキシンはナトリウムチャンネルに影響を与え、モーロトキシン (maurotoxin)、アジトキシン (agitoxin)、カリブドトキシン (charybdotoxin)、マーガトキシン (margatoxin)、スロトキシン (slotoxin)、スキラトキシン (scyllatoxin)、ヘフトキシン (hefutoxin) はカリウムチャンネルに作用する。カルシセプチン (calciseptine)、タイカトキシン (taicatoxin)、カルシクルジン (calcicludine) はカルシウムチャンネルに作用する。
バトラコトキシンのような強力な神経毒は興奮性細胞膜のナトリウムイオン透過性の増大による神経および筋繊維の脱分極を引き起こすことにより神経系に影響を与える。
[編集] 外因性毒素
外部環境から摂取された毒素は外因性と表現され、外因性毒素には、ガス(たとえば一酸化炭素)、水銀のような金属、液体(エタノール)、そして膨大な種類の固体が含まれている。外因性毒素が摂取された場合、ニューロンへの作用は主として用量依存性である。たとえばエタノール(アルコール)は少量では生物を酩酊させる緩やかな神経毒性を示すだけであるが、長期間にわたりそのような低用量のアルコールに暴露し続けることは神経細胞を緩やかに弱らせ、死滅させる。
[編集] 内因性毒素
神経毒性は体内で作られた物質からも生じ、それは内因性神経毒と呼ばれる。脳内で神経毒性を示す最も重要な例はグルタミン酸である。矛盾しているようであるが、グルタミン酸は同時に最も重要な神経伝達物質である。ニューロン周囲のグルタミン酸濃度が危険な濃度にまで達すると、ニューロンはアポトーシスと呼ばれるプロセスによって自己を殺す。このプロセス全体は、グルタミン酸塩が通常は低い濃度においては興奮性の神経伝達物質として作用することから興奮毒性と呼ばれている。