神輿
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神輿、御輿(みこし、しんよ)は、日本の神社の祭の際に、神霊が御旅所などへ渡御するに当たって一時的に鎮まるとされる輿である。輿であるから通常は担ぎ上げて移動するものを指して言うが、それを台車に乗せて曳くものなど、別形態のものを指すこともある。
「御輿」は輿に御を付けたものであるが、通常はさらに御をつけておみこしと呼ばれる。神が乗る輿であるので「神輿」とも書かれる。
形状は、小ぶりな神殿をかたどったものが多い。他に、神木(諏訪大社・長野県諏訪市)、人の性器(田縣神社・愛知県小牧市)をかたどったもの、人形を置いたものなどもある。大きさの単位は、ふつう台輪とよばれる部位の幅で測られ、日本で一番大きな神輿は東京都富岡八幡宮の御本社一の宮神輿である。担ぐための棒が付いているのは共通するが、前後にだけ付いたもの(ニ点棒)や左右にも付いたもの(四点棒)があり、本数もその地区により異なる。
運行形態(神輿の担ぎ方)も、単に町を歩いてお旅所(神酒所)と呼ばれる目的地を回るだけのものや、荒々しく揺らしたり神輿同士をぶつけ合うものなど様々で、祭りの中でそれが果たす役割は多種多様である。荒々しく揺らすのは、神の霊を揺り動かして活性化させる(魂振り)という意味がある。本来は氏子のみによって担がれるものであるが、都市部を中心に、氏子以外の人も神輿担ぎに参加できるようになっているものが増えている。湘南地方では、「どっこいどっこい、どっこいそりゃ」などの掛け声で担ぐ、どっこい担ぎが一般的である。このどっこい担ぎの極みが、暁の祭典浜降祭である。
担ぐ時の掛け声は「わっしょい」や「えっさ」と言うところが多い。「えっさ」の語源については、古代ヘブライ語(古代ヘブライ語で「エッサ」とは「運ぶ」と言う意味である)から来ていると言う説がある。
神輿の起源については諸説あるが、そのうちの1つとして以下のような説がある。
- 狩猟と採集による移住を繰り返した時代に行われた収穫祭の祭壇が起源で、このときは祭りが終わると神輿は取り壊され、毎年新たな神輿を作って天上の神を招いていた。
- 農耕が始まり人々が定住するようになると、神に対しても定住が求められるようになり、居所としての神社が誕生した。そして神の乗り物として神輿が継承され現在のような形になった。
この説を採用した観光協会等において、外国人に対し神輿を"Portable Shrine"(持ち運び可能な神社)との説明がされるようになり、"Mikoshi"の英訳として一般化するに至っている。
神輿が全国的に普及したのは平安時代ごろとされ、それは御霊信仰の普及に伴うものであった。
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