稽古
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稽古(けいこ)とは、広く芸道に共通して使われる、主に練習を指す言葉である。
由来は『古事記』太安万侶序文末にある「稽古」で、古(いにしへ)を稽(かむが)ること。同文の「照今」今に照らす とあわせ「稽古照今」という熟語としても使用される。 日本武術などの形練習においては過去の達人であった先人の遣った理想的な形に近づべく修練することである。
武道、芸能に限らず、親方や師匠が教えることを、稽古をつけるという。また、単に学んだことを練習することも稽古という。お稽古ごとというと、伝統芸能に限らずピアノ教室なども含まれる。どれにおいても、稽古を積み研鑚を重ねることによって実力をつけていく。 リハーサルは、通し稽古の意味でも使われるが、こちらは芸道に限らず稽古とは言わない場合にも使われる。
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[編集] 演劇においての稽古
歌舞伎などの芸能から派生した由縁からか、師弟関係とは言えない現代演劇でも、そのまま稽古と言われる。
[編集] 読み合わせ
稽古の最初の段階。俳優が台本を持ちセリフを声にして読んでいく、動作を伴わないセリフだけの稽古。ここで演出家の意見などを聞き、役作りを深めていく。
[編集] 半立ち稽古
読み合わせと立ち稽古の中間的段階の稽古。俳優に完全にセリフが入っていない段階で、台本を手にして大体の動きを追いながら、読み合わせを行なう稽古。再演作品などの場合、ここからはじめることもある。
[編集] 立ち稽古
演技などの動作を加えていく稽古のこと。本物もしくは代用品を使って大道具・小道具などを模して感覚をつかんでいく。
[編集] 小返し
演劇などの稽古の途中で具合の悪いところを、その小部分だけ繰り返して稽古すること。単に「返し」と言う事もある。
[編集] 抜き稽古
演出家の要望によって、重点的に稽古をする必要のある部分を抜き出して行う稽古のこと。また、出演者の不在などの都合によって、出来る部分のみを行う稽古。
[編集] 総稽古
稽古場で行う最後の段階で、舞台稽古の前の段階。音楽なども入れて総合的に行われる。実際的には、音楽などは順次入れて稽古をしているが、全セクション挙げて稽古場で気持ちを切り替えて臨むので、区別して言われる時がある。
[編集] 舞台稽古
実際に舞台で行う稽古。様々な制約から稽古場ではできなかった事も含めて行う。ゲネプロやドレス・リハーサルの事を指す時もあるが、単に舞台を使って行う稽古をさすだけの事が多い。スケジュールに余裕が無いと、場当たりに終始してしまいがち。
[編集] 転換稽古
舞台転換の為の稽古。暗転の時間が思惑より長い時などに、稽古することによって錬度を上げムダを無くし時間内に収まるようにしたり、転換時に起こり得る問題を未然に防ぐ為の稽古だったりする。
[編集] 場当たり稽古
通称:場当たり。舞台に本番と同じように大道具などを飾り、立ち位置や出入りの段取り合わせをすること。ダブルキャスト(もしくはそれ以上)で公演を行っている時などには、交替のときに要所要所でのキッカケを合わせる為に行われる。キッカケを合わせる為のものを特に「キッカケ合わせ」ともいう。
[編集] ドレス・リハーサル
衣裳も完全に本番と同じにして行うリハーサルのこと。オペラやクラシックなどではゲネプロと同義として使われる。演劇ではあまり使わない。特に、稽古場から衣裳までつけて稽古をしているカンパニーにおいては、これを区分する意味合いは薄い。
[編集] ゲネプロ
ゲネプロを参照。