管理通貨制度
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管理通貨制度(かんりつうかせいど)とは、国内通貨量を、中央銀行の保有する金にリンクさせず、政策目標(物価安定、経済成長、雇用の改善、国際収支の改善等)に合わせて、通貨当局がその増減を調整しようとする制度である。
資本主義下の通貨制度は、中央銀行の保有する金準備の増減によって通貨(銀行券)の発行高が制約される金本位制から、自国の金、金為替を金本位制の国に預託し、これを準備とし、対外支払い要求に対しては法定相場で支払い、受取の場合にはこれに組み入れ、国内的には金を本位貨幣として用いないが、体外的には金本位と同様の機能を持たせる金為替本位制に移行したが、その中心をなす金本位国は第一次世界大戦によって金本位の中断を余儀なくされた。しかし、1919年にアメリカが、また1925年にはイギリスが金本位制に復帰した。だが、金は経済力の格差からアメリカに集まり、加えて、通貨準備から金の一部をはずす不胎化政策をとった結果、金本位制の持つ国際収支調整のメカニズムは失われ、金の偏在が進行した。これに加えて1929年からの世界恐慌が拡大し、イギリスは1931年に金本位制を離脱、アメリカを除く各国もこれに追随し、以後金本位制に代わる管理通貨制度の時代になった。イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは1920年代の半ばから、為替の安定に主眼を置く金本位制に替わって、国内経済の諸目的を優先させる管理通貨制度を主張した。