範馬勇次郎
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範馬勇次郎(はんま ゆうじろう)は板垣恵介の漫画作品『グラップラー刃牙』シリーズに登場する架空の人物である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
年齢は逆算して36歳~38歳(地下闘技場編~)(その後「バキ」でマホメド・アライとの過去のエピソードが「30年前」の出来事だと発覚して以降ややこしい事になっている)。
範馬刃牙、ジャック・ハンマーの父親で、「地上最強の生物」「巨凶」の称号を持つ。背筋が鬼の形相をしている為、「オーガ(悪鬼)」の別名を持つ。第3部の『SON OF OGRE』はここに由来する。巨大な北極熊を素手で屠り、軍隊の一つや二つを単身で壊滅する戦闘能力を持つ。強者を屠り去ること、丹念に鍛え上げられた強さを叩き潰すことを至上の喜びとしており、ほとんど趣味的に道場破りを行い、優秀なファイターを再起不能に追い込んでいる。何者をも超える絶対的な力を求める反面、力無き者の希望となる偉人を尊敬するなど様々な側面を見せている。その戦闘能力は国家軍事力をも上回るとされており、その行動は24時間365日、米軍の偵察衛星によってビスケット・オリバ、純・ゲバルと共に監視されている。勇次郎が時速4km/h以上の速さで動くと衛星の緊急作動によってカーナビに送られてくる情報が70mずれるとまで言われている。
「地上最強」と銘打たれているものの、ストライダムによれば実際の彼は限りなく広大な宇宙が光の速さでさらに膨張を続けるように成長しており、未だそのピークに達してはいない。
範馬刃牙や天内悠などのように闘争に愛や絆を持ち込むことを嫌う。
ストライダムが評するに、範馬勇次郎の強さはその強力なエゴイズムにあるという。自分以上の強さを認めないその傲岸不遜さは過去の指導者英雄宗教の教祖まで、歴史を動かしてきた人間達に通じるものがある。幼年編で刃牙が勇次郎に挑もうとするとき発生した地震を、自らの拳で止めてみせたと信じる自分への強さの自負心も、このエゴイズムから生じるものである。ここは「絆」を主張する息子と大きく異なる。
「漫画界最強のキャラクター」議論において、江田島平八(『魁!!男塾』)と共に真っ先に名前が出る人物の一人である。
[編集] ファイトスタイル
その強大さゆえ、瑣末な技術は小細工と退け、俺以外のすべてで共有すればいいと断言しており、そのためか技を使うことは少ない。しかし独歩戦では琉球王家の秘伝・御殿手(うどんで)を披露していたり、郭海皇戦で郭海皇が半生をかけて手に入れた消力を駆使したりしている。また、刃牙同様にあらゆる格闘技理論に精通しており、知識は豊富である。その驚異的なヒッティングマッスルから繰り出される猛獣の連撃や、その筋肉をフルに使って、ただぶん殴るなど、そのひとつひとつの攻撃が一撃必殺級の破壊力を持っている。
[編集] モデル
モデルは映画俳優のマット・ディロン、名前のモデルは日本ボクシングの父と呼ばれた渡辺勇次郎。
[編集] 作中での活躍
[編集] 出生
勇次郎が誕生した195X年4月、全世界の国家指導者達は一様に、東洋の国にとてつもない兵器が生まれるということを直感で理解し、核兵器の保有に踏み切ったとまで言われている(このエピソードのくだりで、勇次郎が生まれた場所が東京近郊ではないかと思わせるような描写がある)。勇次郎はこの世に生を受けたその瞬間に、自らを取り上げる産婆に対してテレパシーのような威圧を送って腰を抜かせ、またその直後には母親の乳房に噛付いて授乳を強要し、更にはどこからか現れたヤドクガエルを素手で握り殺してしまった。勇次郎の父親が誰かは定かではないが、母親は勇次郎の出産後、出家して仏門に帰依している。母親は「最初で最後の子でした。」と述べているので、勇次郎に同母兄弟はいないと考えられる。また勇次郎は若い頃安藤とともに丸太切りを競っていたり、耐久力を身に着けるため己の体を転げ落とした数百メートルの絶壁、勇次郎を満足させた夜叉猿妻などが夜叉岩にあることから、一時期飛騨で暮らしていたことが窺われる。
その後の勇次郎は様々な戦場に足を運び、素手で戦いに加わっていた。物語中では特にベトナム戦争でゲリラとして戦う勇次郎の姿が描かれている。16歳の時、戦場で出会った傭兵ジェーンとの間にジャック・ハンマーを設けている。
グラップラー刃牙40巻29ページ~で、1973年当時、16歳と300日という記述がある。よって誕生した年は1956~1957年だと思われる。
[編集] 幼年編
19歳の時、朱沢コンツェルン御曹司・朱沢鋭一・江珠夫妻の結婚披露宴に乱入し、鋭一を殺害。江珠との間に刃牙を設ける。
刃牙を最強の戦士として教育すべく、幼少期から過酷なトレーニングを課す。以降は刃牙を江珠に預け各国の戦場を放浪していたようだが、刃牙が13歳の時、江珠が刃牙に科学的なトレーニングを課していた事に激怒。自分なりのやり方で刃牙を教育すべく、刃牙vs花山薫戦の決着後に乱入。双方を徹底的に痛めつける。
その後、修行を重ねた刃牙と対決するが、圧倒的な力でこれを退ける。最後は母親としての本能を取り戻し、勇次郎に立ち向かった江珠を手にかける。
[編集] 地下闘技場編
地下闘技場の刃牙vsマウント斗羽戦を観戦。この時はキャラクター付けが定まっていなかったようで、「私」など物静かな口調だった。後に地下闘技場で愚地独歩と対戦し、息の根を止める(その後、独歩は鎬紅葉によって蘇生)。息子・刃牙に初めて背中の鬼を見せた。
[編集] 最大トーナメント編
最大トーナメントを観戦すべく、ハワイから戦闘機を使って来日。湾岸戦争でミサイルの雨をくぐり抜けた、と胆力に自信を持つ軍人を、特に威圧した様子なく圧倒し、そのまま救急車に扮した豪華な車を運転させ、トーナメント会場の東京ドームに向かう。トーナメント参加者のジャガッタ・シャーマンを粉砕し、天内悠を推薦する。しかし独歩vs天内戦で、戦いに慈愛を持ち込む天内に激怒し試合に乱入、天内を粉砕する。そのことを考えると、天内の行動を前もって予測しており、粉砕し、バキに見せつけることを目的に、トーナメントに参加させたのではないかとも思われる。その後、トーナメント参加者を次々と一撃で倒し大会をぶち壊しにするが、最後は大型動物用の麻酔銃によって昏睡。目覚めた後は鋼鉄製の扉をいとも簡単にぶち破り、烈海王に「範馬の血」に対する警告を行うが、大人しく観戦するに留まる。決勝直前に、決勝後に立ち会う約束をジャックから受け、それを受ける。大会終了後、満身創痍のジャック・ハンマーと闘い、圧倒的な力で退ける。勇次郎にとって、バキがジャックに勝てたのは意外であったようである。
[編集] 死刑囚編
シコルスキーに刃牙の恋人・松本梢江を誘拐する事を助言。ここでビスケット・オリバとの交流が明らかになる。その後、刃牙と梢江のデートをつけ回したり、刃牙と梢江が今にも性行為に及ぼうと言うところにふと現れ、性の持論(「禁欲の果てにたどりつく境地など高が知れたものッッ 強くなりたくば喰らえ!!!」)を説く。その後、柳龍光と本部以蔵の対決に介入、本部に敗北したことを認めない柳を一撃で屠る。その後、敬意を抱く伝説のボクサー、モハメド・アライの息子であるモハメド・アライJr.と会合している。アライ父の方とは、アライが猪狩との対決に来た前日、ロードワーク中のアライに近づき、わずかに手合わせし、自分の力を見せつけた後、弱者の希望であるアライに敬意を表した、と言う過去がある。アライに、強さについて感銘を与えた後、息子アライjrを紹介さら、自分がなしえなかった実戦ボクシングの完成をアライjrに託していることを伝えられる。アライjrをわずかに試したが、器としては十分であり、アライjrと自分の息子たちがいずれ壮絶な闘いをすることを予想・予言した。
[編集] 大擂台賽編
郭海皇から100年に一度、中国武術最高の称号「海皇」を決める大会である大擂台賽への招待を受け、中国に渡る。トーナメント1回戦では烈の師である劉海王に圧勝。その後試合は、郭海皇の提案で、中国vs日米連合の5対5対抗戦に変更され、その大将として郭海皇と対戦。郭の消力にわずかながら劣勢ながらも、背中の鬼を出した後は圧倒的だった。しかし、最後は郭海皇の擬態死によって攻撃を止めてしまい、無効試合となる(勇次郎が唯一「勝てなかった」試合である)。勇次郎は郭を評価、郭海皇から海皇の称号を与えられるがこれを拒否、二人の間に微妙な友情が芽生えた。
[編集] アライJr.編
地下闘技場で刃牙vsアライJr.編を観戦。試合後、刃牙から挑戦を表明され、これを受諾。『SON OF OGRE 範馬刃牙』で決着をつける事となる。
[編集] 関連項目
- バキシリーズの登場人物
- 範馬刃牙
- ジャック・ハンマー
- ジョーカーキャラ