篠房六郎
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武蔵野美術大学卒業。在学中は漫画研究会に所属。 1998年に『やさしいこどものつくりかた』で、月刊アフタヌーン春の四季大賞受賞。 その作風は、シリアスな状況にユーモアを込めた漫画と、芸を尽くして下品に徹した漫画に二分される。
長編作品ではオンラインゲームの仮想世界に表出する人間心理のダイナミズムに注目する。ゲームを題材にしたフィクション自体は現在は珍しくないが、篠房はその人間関係の執拗な掘り下げにおいて随一の存在と言える。
目次 |
[編集] 性別
篠房の性別に関しては諸説あるが、決定的な証拠に欠けるため結論は出ていない。以下の論拠にしても、反対意見の立場からは「性別を偽るための工作」と見なしてむしろ自説の補強に用いる事がある。どちらが正解にせよ「男性だが女性を詐称している」もしくは「女性だが男性として振舞っている」ことになり、たとえネタにしても本人が混乱させていることが根本的な原因と言える。
[編集] 男性説
- 作風
- 一人称が「俺」
- おっぱい大好き
- 過去の日記で「今日はムセえ男8人で夢のオタクツアーin渋谷を行う。」「お互いにポコチンの付いた不細工な生物だし」など、男性であることを明言している。
- サイン会での目撃談
[編集] 女性説
- 本人のサイトのプロフィール(現在は無い)では女性となっていた
- 忘年会で面識のあるカサハラテツローが本人のサイトの掲示板に書き込んだ際に女性扱いしている。返答の中で篠房も認めているが、ただしネタ的に返しているため、公式設定を女性と決めていいものかは疑問が残る。
- 下北沢のヴィレッジヴァンガードでは作品のポップに「実は女性」と書いてある。本人確認をした結果なのかどうか不明。
- げんしけん第9巻特装版についている同人誌に、本人が大学時代に所属していた漫研に訪問した際のことが描かれていたが、そこで自身を大野さんばりの巨乳美女として描いていた。しかしげんしけんの作者に「誰だよコレw」とコメントされるなど信憑性は低い。
[編集] 作品紹介
- 家政婦が黙殺
- 下ネタとパロディを多用した短編集。成人向け漫画には指定されていないが、オンラインショップではアダルトに分類するところもある。直接的な描写は無いが大人のおもちゃに絡めたキワネタが炸裂する。主要な収録作品は、ビブロスの『カラフル萬福星』に掲載されていた「肉奴隷(ただし別の意味で)」として調教されるメイド少女のシリーズや、極道の世界に生きる男達の生き様を熱く描いた(ただし別の意味で)『男一発六尺魂』、極めて特殊な必殺技を使う世界最強の中学生「邪豪院鬼六」と彼に挑む主人公の番長との対決物語『中坊ですよ』など。
- 篠房六郎短編集 ~こども生物兵器~
- アフタヌーン四季賞受賞作を含む短編集。下ネタも健在。収録作品は以下の3作品。
- やさしいこどものつくりかた(商業誌デビュー作)
- 生物兵器鈴木さん(97年夏の四季賞受賞作)
- 空談師(下記の同名作品とは別の作品)
- 空談師
- クラン同士の対決が繰り広げられるオンラインゲームに、一人の凄腕のプレイヤーが参加した。その頃このボードではクダンと呼ばれる謎の荒らしが出現していた。オンラインゲーム内の世界にのみ焦点を当てる形で、その背景には現実社会があるが、その部分は一切描写しないことでダーク・ファンタジーだがゲーム漫画でもある独特の世界観を形成。作者一流のお下劣ギャグはほぼ無し。
- ナツノクモ
- オンラインゲームの中に作られたカウンセリングのためのグループで現実世界を巻き込んだ事件が発生し、世間の好奇の目にさらされる。グループが消えるまでの3週間、彼等を守るために一人の廃人プレイヤーキラーが雇われた。『空談師』に比べてコミカルな描写が増えたとともに、心理面の描写は更に多く描かれている。
[編集] 作品中のゲーム
『空談師』シリーズおよび、『ナツノクモ』に共通の要素として「リネン」という架空の会社が作ったオンラインゲームが登場する。ただし、これらが全て同一のゲーム、同一のバージョンとは限らない。
- 形式:3DMMORPG。アクション性が高く、白兵戦においては操作者の技量次第で精緻な回避や攻撃の相殺を可能とし、たいがいの攻撃をノーダメージで切り抜けられる模様。
- ゲームの固有名称ははっきりしない。「ボードゲーム」と呼ばれる事もあるが、下記のボードに由来する一般名称の可能性が高い。
- ボード:ゲームの舞台となる仮想空間。多くの場合サーバと同義。リネンが運営する公式ボードの他にリネンと契約したGMが管理する私設ボードが存在する。私設ボードには個人管理・会員制の閉鎖型ボードと開放型ボードがあり、後者は外部から自由に接続できるオープンサーバの事だと思われる。個人ボードのチェックとランク付けをリネンのGMが行なっている
- インターフェイス:プレイヤーのリアクションからは全感覚没入型バーチャルリアリティを想像させるが、作中の描写ではフルフェイスのヘッドマウントディスプレイとデータグローブのみ。ディスプレイにはマイクとスピーカーが内蔵されている。ダメージを受けたときや触覚の表現として、指先と首筋に刺激が与えられる。
- 感情表現:表情への追従はコマンド式とは考えにくく、これもハードウェアで表情を読み取っている可能性がある。『ナツノクモ』では瞳から殺気のようなものを感じ取ることもできた。鼻血や涙を流す場合さえあり、漫画的表現と言ってしまえばそれまでだが、実際にゲーム中で行なわれているとすれば相当高度な検出と判断が行なわれていることになる。
- 規制:短編『空談師』では血糊などは数秒で消える設定となっており、規制で揉めている。また「ゲーム中では規制のため、殺人はできても強姦は無理」というような台詞も語られている。
- 外装:ゲームの中で使用するプレイヤーキャラクター。『ナツノクモ』では動物園の住人を高名なデザイナーが担当するなど、有る程度自由にデザインができる。『空談師』では違法改造されたプレイヤーなどがダメージを受けるとその部位が欠損、場所によっては海外でつくられた本物の内蔵からスキャンしたという触れ込みの写実的な画像がテクスチャマッピングされた内蔵が飛び出すエフェクトを使用していた。
- 体力:ヒットポイント。0になると死亡し、死亡状態から蘇生スキルを使用せずにその場で復活すると能力値が25%減少する。違法改造された外装では最大で9999。
- 切断と消滅:外装が生きている状態で通信を切断すると、外装はボードからログアウトする。外装が死亡状態のまま切断すると、2分後に外装のデータが全て消滅(ロスト)し、その場合は一切復旧できない。
- この条件以外でも、カバキなどの違法プレイヤーがつかったウィルスで外装のデータが変質させられた場合ロストする可能性がある。
- 拷問:上記のように、死亡状態からはステータス低下と引き換えに何度でも復活できる。従って消滅させるためには攻撃を続けて、復活するそばから死亡させ、復活する気力を相手プレイヤーから奪う必要がある。この行為を「拷問」と呼ぶ。
- 隠れ能力:外装には生まれ持った特殊能力がある。ただし一度でも死亡して復活すると、その時点で隠れ能力は失われる。
- スキル:作品中の描写からゲームシステムの中心はスキル制であることがうかがわれ、ウルティマオンラインの影響が指摘されている。
- 泥棒行為:所有権の概念は薄いようで、死亡したり行動不能になった外装からは持ち物を自由に奪える。盗賊のスキルがあれば戦闘中の相手からも略奪可能。
- アイテム作成:生産に関しては外装同様自由度が高く、機能やデザインを高度にカスタマイズできる。
[編集] 作品リスト
[編集] 短編集
- 家政婦が黙殺 :2002-06-05 ISBN 4-8352-1352-1 ビブロス カラフルコミックスKids ※ビブロス倒産により絶版
- 篠房六郎短編集 こども生物兵器 ISBN 4-06-314305-8 講談社 アフタヌーンKC
[編集] 空談師
- 1巻 ISBN 4-06-314304-X 講談社 アフタヌーンKC
- 2巻 ISBN 4-06-314316-3 講談社 アフタヌーンKC
- 3巻 ISBN 4-06-314323-6 講談社 アフタヌーンKC
[編集] ナツノクモ
- 1巻 ISBN 4-09-188481-4 小学館 IKKI COMIX
- 2巻 ISBN 4-09-188482-2 小学館 IKKI COMIX
- 3巻 ISBN 4-09-188483-0 小学館 IKKI COMIX
- 4巻 ISBN 4-09-188484-9 小学館 IKKI COMIX
- 5巻 ISBN 4-09-188485-7 小学館 IKKI COMIX
- 6巻 ISBN 4-09-188320-6 小学館 IKKI COMIX
- 7巻 ISBN 4-09-188337-0 小学館 IKKI COMIX
[編集] 参加したアンソロジー
[編集] 外部リンク
- 篠房六郎日記(本人のサイト)