職業差別
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職業差別(しょくぎょうさべつ)とは、職業への差別の事である。
[編集] 概要
職業は各人のステイタス・シンボル(社会的評価を象徴するもの)とみなされている面がある。花形職種と呼ばれる高い社会的評価を受ける職業に就いた者は、その者の個人的能力や人格的魅力を超えた高い社会的評価を受ける事が多い。逆に、社会的評価が低い職についているために、その者の人格的魅力までもが不当に軽視される事も稀ではない。このような社会的評価の偏りが「職業差別」と呼ばれ、社会問題の一つに挙げられている。
人種差別では南アフリカ共和国のアパルトヘイトが廃止され、民族差別ではホロコースト修正主義に対してユダヤ人が厳しく批判する等、21世紀には差別は一般に克服の方向に進んでいるが、職業差別は正当化する者が他の差別と比べると非常に多く、今日の社会において未だ深刻な社会問題として残っている。
職業差別の対象となり得る職業は、文化や時代によって異なる。ある職業がA国では高く評価される一方で、B国では低く評価されるという事もある。例えば祈祷師は、未開社会では聖職者であっても、日本ではそうではない。また、現代では社会的地位の高い職が、過去には卑しい仕事と見られていた例(医師など)もあるし、その逆(売春婦など)もある。
差別の理由も均一ではない。所得格差を理由とする職業差別(より多く稼ぐ者が尊い)もあれば、宗教的な理由による職業差別もある。
[編集] 雇用形態における差別
雇用形態における差別とは、正社員のみが高い社会的評価を受け、派遣社員・パートタイマー・アルバイトが不当に軽視されるように、雇用形態に由来する差別である。狭義の「職業差別」には含まれないが、職業にかかわる差別として広義の職業差別には含まれる。