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部落問題 - Wikipedia

部落問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

部落問題(ぶらくもんだい)は、かつての日本社会において不可触身分に位置づけされた集団に対する日本社会固有の差別問題を指す。

目次

[編集] 定義

差別の対象とされた部落住民は、「被差別部落民(略して部落民)」あるいは「部落出身者」などと呼ばれる。「部落」という言葉自体は単に「集落」の語義だが、近現代に「部落」の語が行政に正式名称として用いられるに伴い、行政的「部落」と混同されないよう部落民自ら「特殊部落民」と称するようになった。しかし「特殊部落民」が蔑称(べっしょう)の意味でも使われたことから、「被差別部落民」との呼び方に換えられた。

ただし、「部落」という呼称に蔑称的語感が全くない地域もあり、そのような地域では「部落」は本来の「集落」の意味でのみ使われる。この事から、近代の被差別部落のあり方に地方差が著しかった事が窺い知れる。蔑称として「部落民」「特殊部落民」ほか、近年は「同和行政」という語に由来して「同和」が蔑称として使われる事も多い。

なお、「部落差別」という呼び方から「集住している人々」に対する差別であるという受け止め方が多いが、これは必ずしも正しくなく、地域的に大きな差がみられる。都市部や農山漁村部を問わずに集住している場合が少なくはないものの、被差別でない集落の近隣に単独若しくは少数で暮らしている場合もある。[1]

被差別部落民の中には、暴力団ヤクザ社会に身をおく者も多く、David E. KaplanとAlec DubroのYakuza:The Explosive Account of Japan's Criminal Underworld (Macmillan Pub Co, 1987)によると、暴力団社会の約70パーセントは被差別部落出身であるという。また、山口組三代目組長田岡一雄の自伝にも同様の記述が存在する。更に、菅沼光弘によると、暴力団員の約60パーセントが被差別部落出身であるという。これには、部落差別により家庭が経済的に貧しく学校に通えなかったり、就職の際、就職差別を受けたりするため、ヤクザなどの職にしか就けなかったことが可能性として考えられる。

[編集] 歴史

[編集] 起源

主項目:部落の起源論争

被差別部落の起源については諸説が存在し、未だ意見の統一を見ていない。

[編集] 身分制度の確立

日本において身分制度が確立したのは江戸時代のことである。もちろん身分制度は江戸時代以前にも存在したが、武士が刀を捨てて商人や農民に、逆に商人や農民が武士になることも少なくなかったなど、各身分の流動性は江戸時代よりも高かったと考えられている。また、武士よりも権力を持つ商人も存在し、普段は農民として年貢を納めている武士も珍しくはなく、身分の上下関係も江戸時代ほど確立されていなかった。

江戸幕府は身分を固定化し、世襲によって身分を受け継ぐことを制度化した。身分制度は儒教的な思想の影響を受け、社会的な役割を固定化させることによって社会を安定させると考えられていた。なお、「士農工商」と呼ばれる4身分がよく知られているが、実際はそれ以外にも多種の身分が存在しており、最近の研究では「老若男女」のように「みんな」という意味でありこの並びには特に意味はないとする説が強くなってきている(詳しくは士農工商を参照)。

[編集] 被差別階層

部落問題において被差別者とされるのは,現在、部落と呼ばれる場所(その多くは、前近代社会において「穢多」「非人」などと呼ばれた人々が居住していた場所と重なっている)に現在住んでいる、あるいはかつて住んでいたことがあるなど、血筋を含め何らかの関係があると周囲の人から見られ、あるいは自分でそう自覚している人である。従って、現在の部落差別を語るには、前近代社会の賤民身分の歴史から説き起こすのが通例となっている。

穢多」は鎌倉末期の文献にも登場している。かつては寺社の雑役や死んだ牛馬の処理に携わる職業を指していたが、後に皮革産業や刑吏に携わる人々の身分を指すようになった。室町時代初期の資料には「かわた」と呼ばれている。牛馬の皮剥ぎ(かわはぎ)や解体は「けがらわしい」とされていたので、「穢多」は文字通りけがわらしい人として扱われていた。こうしたことや皮革の扱いに凄まじい異臭が発生することなどから、居住地の多くは町村の外れに形成された。関西では「枝村」と呼ばれている(後に穢多の字が宛てられた)。宗教は概ね浄土真宗本願寺派に限定された。

非人」は語源は仏教に関わる言葉で「人でないものが人の姿形をかりて現れたもの」の意味であったが、刑吏とその管理下の罪人・病者・乞食や寺社に仕える者など当時の社会の律令外の職能民を指す言葉として平安時代に普及したようである。中世には蓬髪・顎鬚・童姿等の身体障害者を意味していたが、江戸時代の関東では(あくまで関東で、他地域では異なる場合がある)特定の雑務に付く人や無宿者を指し、関西では治安の維持、刑の執行に携わる人々として組織化されることもあった。「穢多」より身分が低いとされることもあるが、「非人」の名の通り身分外と認識されていたようである。 [2]

幕藩体制が揺らぐ江戸時代中期になると、百姓・町人統制を強化する藩も多くなった。こうした中で穢多に対しても徹底的な法規制を行うこともあったが、これは百姓・町人との分断を徹底することによって百姓・町人の不満を逸らす目的だとみられている。例えば、岡山藩では穢多は皮で作った名札を胸に付けることなどが義務付けられた。しかし、これに対して岡山藩全域の穢多が反発し「渋染一揆」が発生している。

関東では全ての穢多は矢野弾左衛門の管理下に入っていた。穢多頭の弾左衛門は徳川家康により穢多を統制する権利を与えられており、金貸しもしていた。極めて強大な財力を持ち、刀を差して旗本並の屋敷で生活をしていた。13代当主は幕末から明治にかけて穢多を代表し、穢多に対する差別を無くすよう強力な活動も精力的に行った。佐幕派に対する資金援助も弾左衛門の活動として知られるものである。

[編集] 身分制度の廃止

1869年版籍奉還により武士の身分が廃止されたのを受け、士農工商と呼ばれた身分制度は廃止され一律に平民と呼ばれた。また1871年(明治4年)に明治政府により「穢多非人等ノ稱被廢候條 自今身分職業共平民同様タルヘキ事」との布告(解放令)が出され、以前の身分外身分階層が廃止されたことが明示された。

しかし一般の村々では穢多や非人と同列に扱われるのには反対が強く、解放令発布直後から2年以上にわたって解放令反対一揆が続発した。解放令に反対して部落民を排除する取り決めや部落民を新平民と呼ぶことにさえ拒否し、旧来どおり「穢多」と呼ぶことが多かった。これに対し県レベルの行政では解放令直後に「旧穢多」という言い方が用いられ、後には「新民」「新平民」「新古平民」というのも出てきたが、一方部落民が「新平民」を自称することもあった。 [3]

解放令によって法的な地位においては身分職業の制限は廃止されたが、精神的・社会的・経済的差別は却って強まった。たとえば新制度における警察官などが武士階級のものとされ、下層警察官僚であった身分外身分の者が疎外されたこと、武士(特に上層の武家階級)が新制度においても特権階級とされたのに対し、武士に直属し権力支配の末端層として機能してきた身分外身分がなんら権限を付与されずに放り出されることによって、それまでの支配の恨みを一身に集めたこと、などが原因と思われる。

また現代に続く「部落差別」の問題の制度的源流は江戸時代であるものの、民間によるところの忌避感情は平安期まで遡る(さかのぼる)ことができることから[要出典]、具体的な差別構造の成立は明治政府の政策というよりも民衆に根付いた忌避感の表れとみる者もいる。

差別の具体的な内容は、個人においては交際や結婚や就職、集落においてはインフラの整備における公然とした不利益などである。いわゆる被差別部落では貧しさによる物乞いが後を絶たなかった。島崎藤村の「破戒」は、この時代の部落差別を扱っている。

このころから、北海道の開拓が始まっており、北海道に移住した部落民も多い[要出典]

[編集] 水平社運動

このような状況を改善するためにかつての賤民(せんみん)階層の人々(いわゆる「部落民」)は、自主的な運動を始め、差別糾弾・行政闘争を軸に運動を展開した。「部落問題が社会不安の原因になることを憂慮」した政府はこれらの運動が「左傾化」する事を怖れ、弾圧と懐柔の両面で相対した。

國民の融和を目的とし、人権侵害の防止に積極的でなかった政府の運動に反発した西光万吉、阪本清一郎らが中心となり1922年全国水平社が結成された。そして“人の世に熱あれ、人間(じんかん―人の間 しばしば「にんげん」と誤読される)に光あれ”で知られる創立宣言で「全國に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ。……吾々が穢多である事を誇る時が来たのだ。」と宣言し、大会終了時には「穢多万歳!」を二度、三度高唱した。 [4]

当時は1917年ロシア革命の直後であり、活発化した社会主義運動はこれらの部落解放運動に大きな影響を与えた。また自由民権運動との関わりも深かった。かつてないほど激しかった水平社の糾弾闘争は当時の人びとによく知られ、水平社がいわゆる「部落民」の代名詞となったほどである。しかし社会主義運動との連携を恐れた政府は後に水平社、特に共産党に関わりを持った左派を弾圧した。1920年代後半の低迷を経て、1930年代以降、再建された全国水平社総本部は、松本治一郎を中心とし、合法無産政党に連なる社民派が掌握した。1933年の高松差別裁判糾弾闘争のように、大衆的な盛り上がりを見せる事もあったが、次第に戦時体制に呑み込まれていき、弱体化、太平洋戦争突入後の1942年に消滅してしまった。

戦後、同胞融和ということばから部落問題を同和問題と呼ぶようになった。

[編集] 戦後の同和対策事業

1951年在日朝鮮人の生活を差別的に扱った小説「特殊部落」を京都市九条保健所職員が杉山清一の筆名で雑誌『オールロマンス』に発表し、問題となった(オールロマンス事件)。いわゆる部落問題とは別の問題にも係わらず部落問題として扱われた。京都市は職員を処分することで問題の解決を図ろうとしたが、水平社の流れを汲む部落解放全国委員会京都府連は「小説は京都市が放置してきた被差別部落の実態を反映したものだ」として行政を批判した。翌年、京都市は前年比5.8倍の同和問題対策予算を計上し、被差別部落のインフラの改善を積極的に推進した(オールロマンス闘争)。これ以降、部落差別撤廃のための行政闘争が活発化していく。

部落解放同盟部落解放全国委員会から1955年に改称)の働きかけと自民党日本社会党との間で合意が形成された結果として、1969年同和対策事業特別措置法が10年間(後に3年間延長)の時限立法で制定された。また、1982年には地域改善対策特別措置法が5年間の時限立法で制定された。このように部落解放同盟を初めとする各運動団体は行政に強く働きかけ、同和地区のインフラの改善、精神的な部分での差別を解消するための教育などを推進していった。被差別部落で同和地区と呼ばれる地域が出てくるのはこれ以降であるが、運動が盛んでない村では指定により更に差別を招くのではという恐れから、地区指定を受けずに同和対策事業を受けていない例も多い。

教育や社会基盤の格差の是正のための各種同和対策事業については、「部落以外の人に比べ優遇されている」とも言えるが、これらの措置はアメリカで女性や黒人先住民などの雇用や教育に適用されている積極的差別是正措置とも捉えることが出来る。

一連の同和対策事業の一部は1987年3月31日に新たな時限立法「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」の制定により継続し、2002年にそれらが期限を迎え、国による同和対策関連事業は終了した。

2006年、奈良、京都、大阪で同和対策事業に関する不正が数多く発覚し、各自治体は同和対策の見直しを発表。奈良では部落解放同盟奈良県連古市支部の幹部が、奈良市職員でありながら架空の病気を理由にほとんど出勤せず、給与を詐取していた。

[編集] 教科書の無償提供運動

1961年、高知県の同和地区の父母が、学習会において日本国憲法を学んでいたが、第26条に「義務教育は、これを無償とする」と言う条文を見付ける。

この事で、それまで有償だった教科書代に疑問を呈し「義務教科書の無償提供運動」を興した。

結果、1963年「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法津」が成立し1969年までに順次、全国の小中学校の教科書が無償提供されることになる。


[編集] 八鹿高校事件

1974年11月22日、兵庫県養父郡八鹿町(現養父市)の八鹿高等学校の教職員約70名が解放同盟により体育館に拉致・監禁され、「糾弾会」として暴行を受けるという事件が起こった。この事件により48名が負傷し、29名が入院、危篤を含め2ヶ月から1週間のけがを負った。

刑事裁判では一審、二審とも、「教師たちの対応は、生徒や父母の心情を考慮しない、党派的で差別的と見られる余地のあるもので、教育者として不適切な行為だが、被害の程度は許容範囲を超えており、可罰的違法性は肯定できる」と判断し、被告全員に執行猶予付きの有罪判決を下した。1990年11月、最高裁の上告棄却により部落解放同盟のメンバー13名の有罪が確定し、続く1996年3月、暴行傷害犯人らに対する民事訴訟でも、解放同盟側が主張した糾弾権は全面否定され、3000万円の損害賠償請求が確定し、兵庫県と県教委に対する損害賠償請求も、県が八鹿高校事件での「解同」に対する協力・荷担の責任を認め原告全員に慰謝料を支払うという和解で終結した。

詳細は八鹿高校事件を参照のこと。

[編集] 現在の部落差別

かつて問題となった所得格差やインフラ整備の遅れ、進学率の違いは住宅改善事業などの同和対策事業により指定地区ではほぼ解消された。しかしながら、身元調査が行われている事を背景に過去に被差別部落の闇リスト((特殊部落)「地名総鑑」など)などが会社の人事担当などを対象に売られる事件が度々起っているが、関東ではその真の意味を知らず単なる地名リストと理解して購入の例もあった。 結婚や就職、地域交流に関わる差別は当事者の判断にかかる事柄であり差別事象は多い。また、部落差別解放問題に取り組む団体の関係者(主に行政と地域との間のパイプ役となっている団体役員)による不正行為の発覚、路線の対立する各団体同士間のイデオロギーの差異に端を発する対立によるトラブルなど、違う類の問題も表面化している。 また、部落という言葉が被差別部落やその出身者などと関係なく、単なる侮辱語として使われる例が近年インターネットを中心に増えてきており、部落差別が変容してきていると指摘されることがある。

一方、従来の「周囲の差別的な視線により移転の自由がままならず、同じ血筋の人が代々住み続けているところ」との一般的な部落に対するイメージとは異なり、京都市、大阪市などに多数存在する都市部落では、人口の流出入が極めて活発であること、それも、社会的地位の上昇を果たした階層が転出していき、その代わり社会的に低位な層が転入してくるという循環構造が永続している(かなり以前から存在したそうした傾向に、同和対策事業の実施が拍車をかけた)ことが近年明らかになってきている。近い将来、それらの地区では、新たな貧困と、それに起因する様々な社会的問題を抱えることになるのではないかと懸念されている。

[編集] 「屠殺場」発言事件

1989年ニュースキャスター筑紫哲也が「ニューヨークの街も多分屠殺場だね」と番組で発言をした。当時、公の場で使われる差別的な言葉が問題となっていたため(批判的な意味で言葉狩りとも呼ばれた)、筑紫は「屠殺場」という言葉の使い方が不適切であったとして翌日に謝罪をした。しかし一部の屠場労組から抗議があり、部落解放同盟も加わっての糾弾会が行われた。 [5]

[編集] 本人確認法と部落差別

2003年1月6日より本人確認法が施行された。本法は無論、部落差別を助長する目的で成立した法律ではないが、確認時に提示する本人確認書類において、住所が金融庁の基準によった「正確」なものでなければならなくなったため、戸籍、住民基本台帳編成時に、総務省・法務省通達通りに作成した被差別部落出身者のものについては、被差別部落の出身であることを記載する必要(部落確認)がある。

[編集] 部落問題とマスメディア

部落問題は、現代の日本において一種のタブーであると言われる。そのためマスメディアなどで正面から取り上げられることは少なく(真面目に取り上げられるのは朝まで生テレビなど少数)、また公の場で部落問題を語ることは大きな論争の原因となることが多い。

「部落」という言葉自体も、事実上の放送禁止用語となっており、出演者が「集落」の意味での部落という言葉を使った時でさえ、すぐに謝罪訂正(ニュース・生放送などの場合「集落ですね」などとその場で言い換える場合がある)が流される。しかし最近では、本来の「部落」の意味や過剰な自主規制への反省からか、特に何事も無く放送が進む場合が多い。

21世紀に入って『同和利権の真相』(寺園敦史一ノ宮美成、グループK21著・別冊宝島Real、宝島社文庫)というシリーズが発表された。既に累計50万部前後のベストセラーとなっている。また、本書で取り上げられたハンナン株式会社の浅田満元会長が2004年4月17日BSE対策の補助金詐取の嫌疑で逮捕された。

なお、それに対する部落解放同盟からの反論として「別冊宝島Real『同和利権の真相』への見解」(解放新聞 2003.4.14)がある。同じく反論本として『『同和利権の真相』の深層』(解放出版社)がある。

[編集] 部落差別とされた表現の実例

  • 1956年1月、小説家石上玄一郎が『朝日新聞』文化欄に発表した評論の中で「文壇には、特殊部落的偏狭さがみちみちている」と記述。これに対して部落解放同盟朝日新聞社糾弾。朝日新聞社は「今後、部落問題をタブー視せず、前向きに差別の現実を書く」ことを約束させられた[6]
  • 1967年1月と2月、小説家で精神科医のなだいなだが『毎日新聞』朝刊の人生相談欄『悩みのコーナー』にて、結婚差別を受けたという部落出身女性の投書に対して「部落民という考えは、内部の劣等感によって支えられている」「小さなつまらぬ悩みだ」と回答したところ、部落解放同盟が糾弾に乗り出した。
  • 1973年9月、映画評論家の淀川長治が『サンケイ新聞』のインタビュー記事にて、自らの庶民性を示す証として、両親から近寄らないよう言われていた「特殊な部落」の銭湯に入り、部落民と「液体で結ばれた」経験を語ったところ、部落解放同盟が「両親の差別意識を肯定するとともに、自らのエリート意識をさらけ出すもの」「エセ・ヒューマニズム」(宮原良雄)と反撥し、糾弾に至った[7]。この事件の後、サンケイ新聞社は1974年11月から1975年3月にかけて、部落問題の特集記事として『シリーズ・差別』を大阪本社発行の朝刊に連載させられた。淀川は、部落解放同盟大阪府連合会制作による狭山事件告発映画『狭山の黒い雨』を部落問題の視点から批評するよう約束させられた。
  • 1979年8月、曹洞宗宗務総長で全日本仏教会理事長(当時)の町田宗夫が、米国ニュージャージー州プリンストンにおける第3回世界宗教者平和会議にて、「日本に部落差別はない」「部落解放を理由に何か騒ごうとしている者がいる」「政府も自治体もだれも差別はしていない」と発言。このことが部落解放同盟から「部落解放運動の全面否定」とされ、糾弾に至った。
  • 1981年2月、政治学者で東京大学社会科学研究所教授(当時)の有賀弘が、ベルリン自由大学における日本学研究室の金子マーティン講師(当時)の部落問題に関する研究発表に対し、「部落問題は東日本にはない。西日本にはあるが、それは部落解放同盟と日本共産党との同和予算をめぐる金銭上のトラブル」「日本語の部落という言葉は、村落とか集落とかいう一般名詞であって何も差別を意味するものではない」と発言。このことが部落解放同盟の糾弾を招いた。

[編集] 部落問題に関連する団体の対立とインターネット

「最近、都会やその近郊では近隣の住宅や人の移動などで存在が薄れ、部落差別は現在はほとんど意識されることがなくなった」とも言われるが、最近でもその存在その物を禁句とする人においては差別意識が改善されたのではなく、単に忌避意識が潜在化しているだけであるという解釈もある。

また、糾弾闘争に対して、近年では次のような意見もある。

「差別とされる内実も、被差別部落出身だからというよりも、強力な圧力団体がバックについているがゆえに敬遠されているのだ。差別解消を建前とする部落解放同盟が、反対に真の意味での差別解消を妨げている。自己目的化した団体は、本来の目的を達成することでその存在意義を失うことを恐れている」

その一方で、出版物やインターネットなどでアンダーグラウンド情報などとして、差別を煽動するような情報が流されるという事実もある(アマチュアパケット通信での「地名総鑑」流布事件)。

また、苛烈な『糾弾』への忌避感情を利用して押し売りや恐喝等を行うえせ同和行為(2007年には在日朝鮮人による犯罪も発覚している)も部落問題の解決を遅らせている一因となっている。

[編集] 注釈

  1. ^ たとえば、先述の九州の一部地域のように下級刑吏として被差別民に該当する身分、あるいは社会集団に属する人が隠れ切支丹監視のために一家族ずつ分散して派遣されていた場合など)
  2. ^ 江戸時代の身分制度を表現する言葉として近年に「士農工商穢多非人」という言葉が使われるようになったが、最近の研究では、儒者儒学イデオロギーではそうなると主張しただけで、この並びにも同時代のありようを理解するうえではあまり意味はないとされる[要出典]。「穢多」と「非人」とどちらが上であったかは、地域によって異なる。「穢多」と「非人」がどちらが身分として上であるかを争った事例も存在する。「穢多」「非人」以外にも「公家」「僧侶」「神官」「医師」など多数の「士農工商」には属さない身分が存在した。
    また、「穢多」「非人」をはじめとする身分外身分は差別はされていたものの、必ずしも「士農工商の下」という位置づけではなかったとする説もある(あえて言えば「横」・「外」のような位置関係)[要出典]。「生死を司る職業(僧侶・神官・医師・処刑人など)」「武士直属の職能集団(処刑人を含む下級警察官僚・武具皮革職人など)」「大地を加工する職業(石切など)」のように人間社会の理を外れた異界と向き合うとされた職業の者は概ね身分外身分とされており、その身分外身分の中にもさまざまなややこしい扱いの違いがあった、ということのようである。
    さらに、農業・手工業・商業を担う者が常に農工商(百姓・町人)に属していたということはない。武士が内職で手工業者となっていた事例と同様に、「穢多」「非人」にも農業・手工業・商業に携わっていた者が多くいた。中でも武士に直属する皮革加工業は「穢多」「非人」の特権的職種とされていた地域が多かった。また地域によっては藍染職人や織機の部品を作る職人が「穢多」「非人」の職業とされていたことも知られている。また、ほとんど農業によって生計を立てていた地域も知られている。職種の区分と思われているものは身分制度という制度上の区分に過ぎず、実態を表していたものではない。
  3. ^ 部落民の呼称は度々換えられた。1905年(明治38年)、奈良県教育委員会における文書では「特種部落」が使われ、同時期の三重県の公用文書にもこの語が使われている。また全国的に部落改善事業が展開されていくに従い、「特種部落」以外に「特殊部落」が行政用語として広まっていった。この言葉に対する部落民からの反発はあったが、部落の自主的改善団体である「備作平民会」の設立趣旨書において部落民を総称する際に「我徒」「同族」が用いられたり、1903年の大日本同胞融和大会においては「日本に新平民なる一種族あり」との文言も見られる。
    次に出てきたのが「細民部落」である。これは1912年(大正元年)に開かれた「細民部落全国協議会」で用いられたが、「細民」にすると一般的都市貧民との区別がつかなくなるということで、「普通細民部落」「特別細民部落」との区分けが必要になると指摘された。「細民部落」の名称以外には「後進部落」「要改善地区」が登場したが、「同胞」「一部同胞」「四海同胞」「四民平等」など、言葉を聞いただけでは部落をイメージできない言葉も一時的には使われた。
  4. ^ 今でこそ「特殊部落」は差別用語として扱われ部落民も避ける傾向があるが、水平社結成時には扱いが異なっていたことが機関紙第一号から読み取れる。
    明治四年の布令によって解放された吾々の頭上には、今度は新平民の名称を附され、尚近頃は少数同胞などの名称に代っている。實質が變化しなければ名称は問題ではない。歴史は絶対に消されぬ。エタが華族になり、華族がエタの名称に代っても、吾等に対する賤視観念が除かれねば、華族のエタが卑しめられ、エタの華族が尊敬せられる、寧ろ吾々は、明らかに穢多であると標榜して、堂々と社会を濶歩し得る輝きの名にしたい。」と主張する者が多数を占め、結局、名称によって吾々が解放せられるものではない。今の世の中に賎称とされている「特殊部落」の名称を、反對に尊称たらしむるまでに、不断の努力をすることで喝采の中に綱領通り保存されることになった。この間殆んど一時間有余、口角泡を飛ばして議論を闘はした。
  5. ^ 『新・差別用語』(汐文社、1992年7月ISBN 4811301323)によれば、その糾弾会は大変に激しいもので「人格が破壊されかねない」ものであったとされる。しかし筑紫本人はこの糾弾を受けた結果として同労組との友好関係を築くことができ、それ以後密な交流を持つようになった、糾弾を受けたことは有意義な経験だったと繰り返し述べており、同書は、筑紫本人に取材した形跡はない。
  6. ^ 部落解放研究所編『部落問題事典』p.10、解放出版社1986年
  7. ^ 部落解放研究所編『部落問題事典』p.308、解放出版社、1986年

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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