自沈
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自沈(じちん)は、船舶を艦長命令の下、乗組員、またはそれに類する者の手によって沈没させること。 主に航行不能に陥った軍艦などが機密保持、鹵獲防止などを目的として行う。キングストン弁を開放し、味方駆逐艦等の護衛艦艇が雷撃を行い実行することが多い。
また、港湾防衛戦の折、敵艦船・揚陸艇などの湾内侵入・上陸を防ぐため、湾口等に予め味方艦艇を多数自沈させ、水面下にバリケードを作るためにも行われる。この場合、輸送船や旧式軍艦を自沈させる場合が多い。これを戦略として用いた例は、日露戦争での旅順港への海路、旅順口閉鎖作戦や第一次世界大戦でのゼーブルッヘ閉塞作戦である。
※キングストン弁は元々、エンジンの冷却水を海中から取り込むための弁であったが、旧日本帝国海軍では傾斜復元注水用としても用いられ、それが何故か自沈専用の開放弁として認識されている。詳細はキングストン弁を参照。
史上最大の自沈は、第一次世界大戦後の1919年6月21日に発生したドイツ艦隊によるものである。イギリスのスカパ・フローに抑留されていたドイツ艦隊が、イギリスによる接収を避けるために、艦隊ごと一斉に自沈している。