血圧計
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血圧計(けつあつけい)とは、血圧を測る機械。
タイプとして、病院や診療所などで診察や検査などの際に使われる手動式のものと、家庭用や病院の待合室などに設置された、自動式のものがある。
血圧は被測定者の精神状態や健康状態などの影響を受け変動するので、頻繁に測定することが望ましい。一般に医療機関において測定するとき、緊張して高めの値が出る場合が多い。
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[編集] 歴史
血圧、特に動脈血圧の存在は古くから知られていた。歴史上最初の血圧が計測された時は、馬の頚動脈に管を差し込み、血液が上昇する高さを直接計測した。血液循環説が発表されてからほぼ百年後の1733年、ステファン・ハーレスによる。人の血管に適用したのは1828年になってからであり、このときはカテーテルと呼ばれる細い管を介して水銀柱に圧力を導いた。
[編集] 構造
現代の血圧計には、侵襲式と非侵襲式がある。本項では日常一般的に使用する非侵襲式の構造について示す。
血圧を感知するカフ(腕に巻きつけるベルト)及び、表示部からなる。表示部は古くから水銀柱の高さが用いられ、その歴史的経緯から、現在も血圧に関しては、国際単位系の例外としてmmHgで表される。
[編集] カフ
現在、ヒトの血圧を測定する場合、主に上腕にカフ(または、マンシェット)と呼ばれる袋状のベルトを巻きつけ、上腕動脈の血圧を測定する。同様にして、前腕、大腿部の動脈圧を測定する場合もある。
[編集] 表示部
電源を必要としない表示装置としては、水銀柱またはアネロイド式(気圧計のように時計状の文字盤を使用するもの)の圧力計が用いられる。歴史的に最低目盛りは2mmHgである。
[編集] 測定の方法
- まず、測定対象者の上腕の周径に対し適切な幅を持つカフを選択し、きつめに装着する。次に、肘関節屈側中央(動脈部分)に聴診器を当てる。
- 次に、患者の状態から予測される血圧の中央値程度、例えば100mmHg(ミリメートル水銀柱)程度に、カフ圧を掛け、コロトコフ音が聴取できる事を確認する。
- 聞こえない場合、聴診器の位置を確認する、それでも聞こえない場合、最高血圧が予想より低いか、最低血圧が予想よりもっと高い場合があるので、カフを緩め、コロトコフ音を探す。だめなら音を聞きながらもう少し圧をかけてみる。140mmHg程度まで上げる過程で何も聞こえないようなら、どこかに問題があるので確認する。また、ポンプを操作しても水銀柱が動かない場合、また患者が痛がる(カフ圧が上昇している)場合、水銀溜めと水銀柱の間の弁の位置を確認する。カフ圧が上がらない場合、ポンプのねじを確認する。
- コロトコフ音が聞こえたら、聞こえなくなるまでカフ圧を上げ、表示を見ながらゆっくりカフ圧を下げる。
- 最初に聞こえる拍動音が、コロトコフ音第1相である、この時点で目盛りを読むと、最高血圧が得られる。次に、音が急にはっきりしてくるのが第2相である。また音調が代わり、第3相である。これらの違いがわからない場合、第1相を聞き逃して、実際より低く血圧を測定している可能性がある。
- コロトコフ音が聞こえなくなった時点が最低血圧である。まれに、血管雑音をコロトコフ音と間違い、最低血圧が0という場合があるが、その場合はしょうがないので、最低血圧は測定不能とする。
- また、場合により、コロトコフ音の聴診が不能な場合、とう骨動脈の触診で血圧を測定する場合があるが、その場合も、カフ圧を0にしても拍動は触知されてしまうので、最低血圧は測定不能である。
- 以上の操作を最低2回行い、平均を取る事とされている。
[編集] 自動血圧計
主に家庭用や病院の待合室などに設置されたもので、カフ内に、マイク等の音響センサを設置し、上記の測定を自動で行う。手動式同様に上腕部で計測するものが多いが、小型のものでは腕時計のように手首に巻いて計測するものもある。動作には電源が必要となる。 最近では自動血圧計でもマイクを内蔵して血管の音の変化を読み取り測定するタイプも存在する。市販のものは指で測定するものもあるが、正しい値を計測したいならば心臓に近い部分で測定するに越したことはない。
機械測定のため、コロトコフ音の聞き取りなどの個人差が出ない点があるが、公式には、自動血圧計による測定よりも人手による測定のほうが正確であるとされている。一般に自動血圧計はカフ圧をかなり高く上げてしまう。
[編集] 中心静脈圧の測定
特殊な血圧として、心血管系の厳重な管理が必要とされる場合、中心静脈の血圧を測定する場合がある。その場合は、先端に圧力感知器(圧トランスジューサ)を装着したカテーテルを右心房近位に挿入し、測定を行うか、カテーテルに血液他を満たし、患者の心臓の高さに設置した管内の液柱の高さを読み取り、直接測定を行う。
[編集] 関連項目
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