病院
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病院(びょういん、Hospital)は、疾病や疾患に対し医療を提供し、病人を収容する施設のこと。
日本では医療法上、一定規模以上の医療機関を病院といい、小規模のものは診療所として病院との呼称を使えないことになっている。ただし、医療を施す場所との意味合いから、病院・診療所を問わず医院と称することもある。
近年、日本では医療の普及の影響もあり、病院で一生を終える人が増えてきている。
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[編集] 語源
元々「Hospital」という言葉は「傷病者や病人の収容施設」という意味合いの言葉である(hotel などと語源は同じ)。明治以降、この「Hospital」という言葉に対する訳語として「病院」という言葉が当てられたというのが一般的である。
そのため諸外国における「Hospital」は、老人ホーム、養老院、孤児院の意味でも使用される。
[編集] 歴史
日本で最初の病院と言われているのは、1557年に医師でもあったポルトガルの宣教師ルイス・デ・アルメイダによって大分県に開設されたものであると言われ、外科、内科、ハンセン氏病科を備えていた。これが西洋医学が初めて導入された場所とも言われている。
[編集] 制度
医療法においての「病院」とは医療機関の機能別区分のうちの一つ。
「病院」とは、医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所と定義され、病床数20床以上の入院施設(病棟)を持つものを指す。無床もしくは19床以下のものは診療所(入院施設を持つ場合は有床診療所)となる。病院の配置は都道府県の医療計画に基づいて行われ、都道府県知事の許可を必要とする。 管理者(病院長)は原則として医師・歯科医師でなければならない。
多くの病院は、医療法の非営利原則に基づき、地方公共団体、独立行政法人、事務組合や日本赤十字社など公的組織以外には、医療法人(他には各大学医学部の付属病院(大学病院)、社会福祉法人、宗教法人、協同組合など)を中心とした非営利組織(公益法人)にしか設立が認められず、会社組織は例外的に福利厚生を目的とした一部企業(ほとんどは大手企業)や国の特殊法人が管轄した病院を引き継いだJR、NTTなどが設立した病院(設立企業関係者以外の一般の部外者も診察してもらえることが前提)が存在する。ただし例外として、歴史的な経緯から株式会社として運営されている大阪回生病院がある。なお、医療法人は、格付けを取得する方向に動いている。
また、アメリカ合衆国では多く存在する営利企業による病院事業の参入について、日本経済団体連合会など経済団体からの要望があり、規制緩和の観点から政府内で検討されているが、患者に対する平等な医療サービスの提供などの問題点があり、日本医師会などが反対し結論が出ていない。
病院の業務は、健康上の問題を持つ人の診療が主である。患者の急性期・亜急性期・慢性期等の状態に応じて、継続的な看護もしくは観察の必要がある患者について入院加療を行う。その一方で、特に慢性期・介護療養医療施設等においては、認知症や麻痺、精神疾患などのため一般社会で生活していくことが困難な人が医学的必要性の有無にかかわらず病院に長期入院せざるを得なくなる状況があり、社会的入院として問題となっている。特に、日本の入院患者の約1/3は精神科病棟の入院者である。これは、健常者以外を社会に受け入れることが困難な日本の福祉体制を反映するものとなっている。
[編集] 名称
日本では、「病院」と称することができる施設は、医療法上の病院に限定される。 また、病院の名称には、公立・独立行政法人立(国立病院機構など)を除き、一般に「病院」の文言を含むこととされている(行政指導)。
[編集] 種類
[編集] 開設者による種類
国 | |
厚生労働省 | 国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所など |
独立行政法人国立病院機構 | |
国立大学法人 | (国立大学附属病院) |
独立行政法人労働者健康福祉機構 | (労災病院) |
その他の国の機関 | 防衛省(自衛隊病院、防衛医大病院)、法務省(医療刑務所、医療少年院)、宮内庁(宮内庁病院)、日本郵政公社(逓信病院) |
公的医療機関 | |
都道府県 | |
市区町村 | |
日赤 | |
済生会 | |
北海道社会事業協会 | |
厚生連 | (JA病院) |
国民健康保険連合会 | |
社会保険関係団体 | |
全国社会事業保険協会連合会 | |
厚生年金事業振興団 | |
健康保険組合及びその連合会 | |
船員保険会 | |
共済組合及びその連合会 | 国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団、警察共済組合など |
国民健康保険組合 | |
医療法人 | |
医療法人 | |
個人 | |
個人 | |
その他 | |
公益法人 | 社団法人、財団法人 |
学校法人 | (私立大学附属病院) |
社会福祉法人 | |
医療生協 | |
会社 | 株式会社(JR各社、NTT東日本、東芝など) |
その他の法人 | 宗教法人など |
(厚生労働省大臣官房統計情報部による医療施設調査の開設者分類による)
[編集] 医療制度上の分類
[編集] 病院建築
医療行為とは古くから行われている伝統的な行為であるので、病院に関しても長い歴史の中では文化遺産となったものもある。メキシコのオスピシオ・カバーニャスやスペインのサン・パウ病院が良い例である。
[編集] 病院会計
近年、病院でもクレジットカードの支払いができるようになったというCMが流れているが、対応していない病院も多い。現在の日本では国民皆保険であるので病院で診てもらっても大して負担にならないことが多いが、実際は医療サービスの値段は高いということを認識しておくべきである。特に交通事故などでは保険が効かない上、必ず画像検査を行うので非常に高価になる。正常分娩同様、あとでお金は返ってくるが、一度は支払わなければならないというのが現状のシステムである。病院に行くときはその辺を認識して現金を多めに持っていくべきである。大きな病院では必ずATMがあるが、地方によっては救急を担う病院が個人医院ということも十分ありうる。
現在、病院の料金の踏み倒し事件が増えており社会問題となった場合、公的な医療サービスはさらに不便なものとなる恐れがある。
[編集] 関連項目
- 大学病院 / 特定機能病院 / 関連病院 / 東京都災害拠点病院 / 総合病院 / 救急指定病院 / 地域医療支援病院 / 自衛隊病院 / 警察病院 / 野戦病院
- 医療 / 救急医療 / 救急医学 / 災害医療 / 応急手当 / 高度先進医療 / 終末期医療 / 緩和医療 / 再生医療 / 根拠に基づいた医療
- 医学 / 歯科学 / 薬学 / 看護学 / 獣医学
- 医学部 / 歯学部 / 薬学部 / 看護学部 / 獣医学部 / 農学部 / 理学部
- 診療科 / 診療所 / 薬局
- 日本赤十字社 / 日本救急医学会 / 医療法人 / 日本医師会
- 厚生労働省 / 福祉 / 介護 / 健康
- 医療資格一覧
- 健康増進法 / 医療法 / 健康保険法
- 死体洗いのアルバイト(都市伝説)
[編集] 外部リンク
- 財団法人日本医療機能評価機構 - 病院の第三者評価機関。
- 医療法
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