議員定数
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議員定数(ぎいんていすう)とは、議員の人数の上限値である。議員の数は、選挙後に退職や死亡などにより欠員が生じるため、必ずしも議員定数と一致するとは限らない。
また選挙区の議員定数といった場合には、その選挙区から選出される議員数のことである。単に定数とも呼ばれる。
[編集] 日本の各議員の数
- 国会議員
- 都道府県議会議員
地方自治法90条により「人口75万人未満の都道府県の場合40人」など人口に応じた上限が規定されている。
- 市町村議会議員
地方自治法91条により「人口5万人未満の市、人口2万人以上の町村は26人」など人口に応じた上限が規定されている。また平成の合併に当たっては合併特例法6条の規定により、前記の上限の2倍まで増やすことが認められている。
[編集] 議員定数問題
各選挙区の議員定数が選挙区の人口に対して、適正ではないために生じる問題。何を持って適正かは選挙方法などによって異なる。
小選挙区制の場合には、各選挙区での議員定数は1なので、全人口を総議員定数で割った1選挙区当たりの平均人口になるように、全ての選挙区を分割できれば最も適正と思われるが、地域的な繋がり等が背景にあるため、全ての選挙区で平均人口にすることはできない。
従って、人口の多い選挙区と人口の少ない選挙区ができてしまうが、人口の多い選挙区では、1票の価値は軽くなり、人口の少ない選挙区では、1票の価値は重くなる。よって法の下の平等に反することになる。
日本の衆議院議員選挙では、人口の多い選挙区と人口の少ない選挙区の人口の比が2倍を超えないようにと定められているが、現在は2倍を越える選挙区が存在する。これを是正するためには選挙区割を変更する必要がある。
もう1つの問題として、財政の緊縮化・効率化を理由に議員の定数を削減すべきという議論がある。削減推進派はアメリカ連邦議会の定数が日本の国会より少ないことを理由に挙げているが、イギリス・フランス・ドイツなどヨーロッパをはじめとする多くの国では人口に対する議員の割合は日本より遥かに多く、むしろ少数党派の議会進出を阻むことにより議会運営の効率化を図ることが主眼とされる。そのことから「民主主義を阻害する意図がある」として少数党派・会派の議員や支持者を中心に反対論も根強い。
一方、諸外国の地方議会制度と比較すると、人口あたりの議員定数はフランスの115人に一人、韓国の1万2千人に一人など区々であり、2千人に一人程度の日本と制度上の違いもあり単純比較はできない。しかしながら、議員活動については諸外国の殆どがボランティア制度の一環であり、議会等の出席に際しては日当と交通費の支給程度で運営されている。歳費や政務調査費等で優遇される日本の地方議会制度は行政コストを押し上げ、過激な選挙活動や汚職の根源となる側面がある。