遷延性意識障害
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本稿では遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)、俗にいう植物状態(しょくぶつじょうたい、Persistent vegetative state)について記述する。
家族の会では尊厳死・安楽死は遷延性意識障害のような重度障害者の命を奪うことに繋がるとして法制化に反対している。
医療情報に関する注意:ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。
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[編集] 定義
日本脳神経外科学会による定義(1976年)。
- 自力移動が不可能である。
- 自力摂食が不可能である。
- 糞・尿失禁がある。
- 声を出しても意味のある発語が全く不可能である。
- 簡単な命令には辛うじて応じることも出来るが、ほとんど意思疎通は不可能である。
- 眼球は動いていても認識することは出来ない。
以上6項目が、治療にもかかわらず3ヶ月以上続いた場合を「植物状態」とみなす。
[編集] 脳死との比較
「植物状態」は、一般的には脳の広範囲が活動出来ない状態にあるが、辛うじて生命維持に必要な脳幹部分は生きている状態を指す。一方脳死は生命維持に必要な脳幹まで死んでしまっている状態を指す。植物状態の場合はまれに回復することがあるが、脳死の場合は回復しないという説が一般的である。
「植物状態」では自発呼吸があり、脳波も見られる。
[編集] 治療などの支援
交通事故の場合には被害者が脳に激しい衝撃を受けて遷延性意識障害になる例が多いことから、事故被害者の支援業務を行う独立行政法人自動車事故対策機構では、交通事故による遷延性意識障害者専門の療護センター(病院)を設置・運営し、植物状態からの脱却を目指した治療・看護を行っている。また、同機構では、遷延性意識障害者を始めとして、重度後遺障害となった事故被害者のために介護料を支給している。