酒盗
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酒盗(しゅとう)とは、鰹の内臓を原料とする塩辛である。土佐(高知県)名物のひとつ。
正徳2年(1712年)頃の出版とされる百科事典、和漢三才図会にすでに酒盗という名称がみられる。これを肴に飲むと酒がすすんでしまい、「盗まれるように酒がなくなっていく」あるいは「酒が無くなったら盗んででも飲みたくなる」からとも云われている。一説には土佐の第12代藩主、山内豊資(とよすけ)が土佐清水でこれを振舞われた際に名づけたという伝承があるが、豊資は1794年生まれである為信憑性に乏しい。
鰹の胃と腸をよく洗い、辛口では20%、甘口のものでは10%程度の塩で漬け込む。メーカーにより酒、みりん、蜂蜜などで調味し、最低でも半年から一年熟成させた後に出荷される。内臓に含まれる消化酵素によって熟成し、よく熟れたものは茶漬けにするととろける程になる。飯にももちろん良く合うが、やはり酒の肴として絶好である。
鰹の内臓は4~5kgのものでも50g程しか取れないため、一般家庭で作られることは殆ど無い。もともとは生利節を製造する際に大量に出る内蔵を、漁師や加工業者が塩辛にして食べていたものが始まりであると言われている。
そのまま酒肴とする他、近年では酒盗を料理の調味料として使った様々なレシピが考案されている。生で和え物などにしたり、アンチョビのように加熱してチャーハンのような炒め物、また煮物などに隠し味として使うと料理のコクが増す。
鰹を使ったものの他、鮪、鮭、鯛、秋刀魚といった別の魚で作った製品も登場している。内臓だけではなく、身も漬け込んだもの、柚子や唐辛子で風味をつけたものなども有り、数多くのメーカーが様々な商品で競い合っている。