長尾真
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長尾 真(ながお まこと、1936年 - )は、日本の情報工学者。京都大学工学部電子工学科卒業。京都大学名誉教授。元京都大学総長、元独立行政法人情報通信研究機構理事長。現職は国立国会図書館長。
専門は、自然言語処理・画像処理・パターン処理。特に、1980年代前半に日本語の形態素解析法を確立し、科学技術論文の日英・英日機械翻訳システムを完成させたことで有名。この技術は、今日の機械翻訳技術の基盤となり、世界を代表する音声研究の第一人者である。画像処理の分野では、世界に先駆けてフィードバック機構を導入し、顔写真などの解析技術を大きく向上させた。パターン処理の分野では、手書き文字の認識方式を提案した。この手法は、初期の郵便番号読み取り装置へ応用された。近年は、電子図書館のシステム構成を主に手がけており、現在も現役の研究者である。
学界行政の分野でも手腕を発揮し、電子情報通信学会会長・情報処理学会会長などを歴任。1997年から2003年まで京都大学総長を務め、総長として国立大学法人化を経験した。また、自ら機械翻訳国際連盟・言語処理学会を設立し、初代会長を務めた。
京都大学退官後、2004年に旧通信総合研究所と旧通信・放送機構が統合して設立された情報通信研究機構の理事長に就任。さらに2007年には研究者出身者としては初めてとなる国立国会図書館の館長に就任した。なお図書館界とは電子図書館の開発で以前から縁が深く、京都大学総長在任中から、日本図書館協会の会長も務めている。
弟子には金出武雄、辻井潤一らがいる。
[編集] 略歴
- 1959年 - 京都大学工学部電子工学科を卒業
- 1961年 - 同大学院修士課程を修了
- 1961年 - 京都大学助手に就任
- 1966年 - 京都大学より工学博士号を取得
- 1967年 - 京都大学講師に就任
- 1968年 - 京都大学助教授に就任
- 1973年 - 京都大学教授に就任
- 1991年 - 機械翻訳国際連盟を設立
- 1994年 - 言語処理学会を設立
- 1997年 - 京都大学総長に就任
- 1997年 - 紫綬褒章を受章
- 1999年 - NECよりC&C賞を受賞
- 2004年 - 情報通信研究機構理事長に就任
- 2005年 - 日本国際賞を受賞
- 2005年 - フランス共和国よりレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ章を受章
- 2007年 - 国立国会図書館長に就任
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