門 (生物学)
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門(もん)(phylum, division)は、リンネ式生物分類での分類階層、またはその階層に属するタクソンのことである。動物の門を動物門、植物の門を植物門という。
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[編集] 位置
門は、リンネが『自然の体系』で定めた4つの階級(綱・目・属・種)には含まれなかったが、後に、綱の上に界・門が、目と属の間に科が追加された。
以上で足りないときは、門の下に亜門を置く。それでも足りなければ、(界)・亜界・下界・上枝・枝・亜枝・下枝・上門・(門・亜門)・下門・上綱・(綱)などを適宜使う。
後生動物では慣例的に、基本的な体制が共通しているタクソンが門とされ、約30の門に分類されている。たとえば、ヒトは脊索動物門に属する。後生動物の門の完全なリストは動物#動物の分類を参照。
生物全体は、約100の門に分類されている。ただし、これらの数字は分類学者によって大きく異なる。
[編集] 呼称
従来、英語などでは門を、動物学ではphylumと呼び、植物学では国際植物命名規約に基づきdivisionと呼んだ。東京規約(国際植物命名規約の1994年の版)から、植物学でもphylumと呼ぶことが認められたが、現在でもdivisionと呼ぶことが多い。
phylumの語源はギリシア語のphylaiで、原義は、古代ギリシアの都市国家で、血縁に基づき決められた投票グループのことである。divisionの原義は「分ける」である。
[編集] 語尾
国際植物命名規約では門の語尾を、植物は‐phyta、菌類は‐mycotaと定めている。亜門ではそれぞれ‐phytina、‐mycotinaになる。ここで言う植物・菌類は古典的な分類での意味であり、たとえばクリプト藻なども植物に含めて考える。なお、植物学では上門・下門はほとんど使わない。
国際動物命名規約と国際細菌命名規約は門の命名規則を定めていないが、慣例的にほとんどは‐aで終わる。その中でも、動物は‐zoa、細菌は‐bacteriaが多い。