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香車(きょうしゃ)は、将棋の駒の種類の一つ。 本将棋・平安将棋・平安大将棋・小将棋・中将棋・大将棋・天竺大将棋・大局将棋・大大将棋・摩訶大大将棋・泰将棋に存在する。
俗に「槍」とも言われる。これは、香車の駒の効きが前方に離れたところまで及ぶため、長い突き武器である槍をイメージさせるからであろう。なまって「きょうす」と呼ばれる事もあるが誤り。
香車が登場する将棋では、必ず初期配置で左右の奥隅に配される。チェスのルーク、シャンチーの車、マークルックのルアなど、チャトランガ由来のゲームの多くで左右奥隅に似たような走り駒が配されており、これらが共通の祖先を持つことを示す証拠の一つである。
[編集] 本将棋・小将棋
香と略す。香車の成駒を成香という。しばしば「杏」と表示される。
元の駒 |
動き |
成駒 |
動き |
香車(きょうしゃ) |
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前方に何マスでも動ける。
飛び越えては行けない。 |
成香(なりきょう) |
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金と同じ。 |
[編集] 本将棋での香車の役割
香車の動きは単純に言えば歩の強力版である。本将棋では配置の関係であまり活躍する駒ではなく、初期配置のままで終わることや、駒台に置かれっぱなしにもなることも少なくないが、活用の方法によっては強烈無比の駒にもなる。価値は、歩より高く、桂馬以上の駒より低くなるため、交換する場合は歩以外と交換すれば得ということになる(場合によって、価値が変動するので一概には言えないが)。歩の次に価値が低い駒で、二歩や打ち歩詰めの影響を受けないので、歩の代用として使われることも多い。
香車を攻撃に参加させる戦法としては雀刺し(端攻め)が挙げられるが、横には移動できない手前、それぐらいしかない。しかし、一度駒台にのればどこにでも打てるわけなので、その威力は格段に上がる。だが、それも価値が低い歩に阻まれては討ち死になので、真に効果を発揮するのは相手が歩切れのときである。(それに類似するのが歩がつり上がっているいるとき)また、敵の角の後ろに飛車がいる場合などは格好の獲物で、角の頭に香車を打てば飛車角の両取りとなる(通称、田楽刺し)。
振り飛車を指すと時に、角筋を避けるために1二香(1三香)や9八香(9七香)と上がっておく手順も存在する。
そして、香車の弱点は後ろである。そこに、飛車を打ち込まれると死んでしまうからである。他にも、香車を吊り上げられて後ろに歩を打たれるなどがある。
一段目に香車を打つことは出来ない。一段目に香車を指すと、必ず成る必要がある。
[編集] 平安将棋・平安大将棋
成ると金将。
元の駒 |
動き |
成駒 |
動き |
香車(きょうしゃ) |
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│ |
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│ |
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香
車 |
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前方に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。 |
金将(きんしょう) |
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○ |
○ |
○ |
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○ |
金
将 |
○ |
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○ |
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縦横と斜め前に1マス動ける。 |
[編集] 中将棋・大将棋・天竺大将棋・大局将棋
中将棋の場合、香と略す。成ると白駒。
元の駒 |
動き |
成駒 |
動き |
香車(きょうしゃ) |
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前方に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。 |
白駒(はっく、はくく) |
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縦と斜め上に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。 |
[編集] 大大将棋
不成。
元の駒 |
動き |
成駒 |
動き |
香車(きょうしゃ) |
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前方に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。 |
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[編集] 摩訶大大将棋・泰将棋
成ると金将。
元の駒 |
動き |
成駒 |
動き |
香車(きょうしゃ) |
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前方に何マスでも動ける。飛び越えては行けない。 |
金将(きんしょう) |
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縦横と斜め前に1マス動ける。 |
[編集] 関連項目