鰻の幇間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『鰻の幇間』(うなぎのたいこ)は、古典落語の演目の一。作者不詳の落とし話で、所謂幇間ものに分類される。明治中期ごろから初代柳家小せん(盲の小せん)が得意にし、その後五代目古今亭志ん生・八代目三笑亭可楽・三代目春風亭柳好・六代目三遊亭圓生などが持ちネタとしていたが、何と言っても近年では八代目桂文楽の十八番として有名だった。サゲは間抜落ち。
[編集] ストーリー
夏の盛りの真っ昼間。野ダイコの一八は、知り合いの姐さんたちのところを回って食事にありつこうとするがみんな留守。焦った彼は、通りかかった「どこかで見たような男」を取り巻いて、必死で昼飯にありつこうとする。首尾よく(汚い)鰻屋に連れて行ってもらうが、この男、とんでもなくしたたかな性格で、のらりくらりと探りをかわし、一八を残して食い逃げする。その上お土産を二人前(話によっては十人前)も持って帰っていたために、一八は全部自腹を切らされてしまう。おまけに、芸人自慢の下駄までもっていかれていた(余りに酷なためか、噺家によっては、ここまでは演らない。5代目の志ん生は演っていた)。
[編集] 概説
圓生の洒脱さや可楽の渋さも捨てがたく、好みの別れるところである。文楽は悲喜劇として演じ、志ん生は喜劇として演じていると評された。また柳好は、自身が幇間をしていた事もあり、自然体でもっとも幇間に近いと絶賛された。