三笑亭可楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三笑亭 可楽(さんしょうてい からく)は、落語家(噺家)の名跡。当代は9代目。
江戸時代よりその名が続く。名の由来は「山椒は小粒でひりりと辛い」から。
目次 |
[編集] 初代
通称、京屋又三郎(1776年 - 1833年3月8日)櫛職人から咄家になった人物。初代は最も古い職業落語家(噺家)の一人とされる。1798年7月に三人のアマチュアの噺家と共に江戸の稲荷神社で寄席を開いた。同年同月、岡本万作によってもう一軒の寄席が開かれており、この二軒が日本最初の寄席と考えられている。
一度は職人に戻ったが諦めきれずに山生亭花楽や三笑亭可楽名乗ったとされる。その後は何度か咄の会を開いている。
弟子(門下)にはそれぞれ初代朝寝坊むらく(当時の表記は「朝寝房夢羅久」)初代林家正蔵(当時の表記は「林屋」)や初代三遊亭圓生等、門弟数十人がいたと考えられている。
[編集] 2代目
本名、不明( - 1847年9月3日)東京初代三笑亭芝楽や初代斎藤太郎左衛門や初代翁屋さん馬を経て2代目襲名。
門下には3代目、七昇亭花山文がいる。
[編集] 3代目
3代目は2人いて2人目は2代目の可楽の養子。
本名、不明( - 1857年6月4日)司馬龍斎の門下から司馬龍喬から2代目可楽の門に転じて三笑亭さん鳥、2代目翁屋さん馬等名乗る。名前負けと酷評されて「狂死」している。 本名、原金兵衛(?)麻布生まれ2代目可楽の養子となる。三笑亭さん助、春の家(春のや)せい馬、2代目斎藤太郎左衛門、2代目翁屋さん馬、小三馬(小さん馬)等名乗る。可楽の名跡は妹婿に譲っている。
俗に「武正可楽」
[編集] 4代目
同じく2代目の可楽の養子 本名、榊原鎌三郎( - 1872年9月10日)福寿庵可重の門下で可重、後に2代目可楽の養子になり3代目翁屋さん馬相続、一時期噺家を廃業した。3代目朝寝坊むらくとなり再び寄席に戻る。
明治維新になると、旧幕府の枠にあった彼は薩長軍が江戸に入ってくると抵抗して会津藩の重役と図って東京市内に爆薬を仕掛けようとしたが、発覚して一時逃走した。やがて東京に立ち戻り、浅草弁天山に火事を見物していた所を役人に見つかり再び逃走、弟子の3代目立川金馬に立ち寄った所捕縛され、佃島で獄死した。
俗に「爆弾の可楽」「爆弾可楽」。
[編集] 5代目
5代目も京都と江戸で2人存在する
本名、平田芳五郎(?)4代目可楽の門で3代目三笑亭芝楽名乗る。1889年に5代目襲名。
京都では、上方で活躍した2代目笑福亭吾竹の弟子である3代目吾竹が名乗る。
[編集] 6代目
本名、中村勘三郎(1846年9月15日 - 1924年8月18日)。
活動写真製作元の日活の前身のエム・パテー商会で『伊藤公爵の一代記』の製作にあたり伊藤博文を探していた所この中村勘三郎が瓜二つであった為早速白羽の矢がたった。 噺家としては6代目桂文治の門下で文鶴。1884年に6代目翁家さん馬、1913年6代目を襲名。伊藤博文のそっくりさんで売ったという。
[編集] 7代目
本名、玉井長之助(1886年1月31日 - 1944年4月12日)。俗に「玉井の可楽」。2代目談洲楼燕枝に入門。1916年真打。1926年7代目可楽を襲名。3代目柳家小さんに傾倒。好事家からの評価が高かった。
上方では、初代三遊亭圓若が7代目を名乗る。
[編集] 8代目
本名、麹地元吉(きくち もときち 1898年1月3日 - 1964年8月23日)。東京下谷黒門町の出身。1915年初代三遊亭圓右に入門して「右喜松」。のち三橘と改名。7代目翁家さん馬(後の8代目桂文治)門下に移ってさん生。1922年翁家馬之助で真打。さらに6代目春風亭柳枝の門に転じてさん枝、さらにその後5代目柳亭左楽門下となり春風亭柳楽と改名。1940年6代目春風亭小柳枝、1946年8代目可楽を襲名。師匠と名前をたびたび変えていることからも窺える通り、長く不遇であった。
芸風は極めて地味で動作が少なく、一般大衆受けする華やかなものではなかったが、比較的少数ながら熱烈な愛好者がいた。独特の渋い低音と妙に舌足らずの語り口で、江戸前の世界を余すことなく描き、江戸落語というものの一つの極限まで達したと評された。また、「べらんめえ」口調ながら、不思議と礼儀正しく、客との距離感は絶妙であった。酒豪であり、また酒が出てくる噺を好んで演じた。「らくだ」「二番煎じ」「反魂香」「今戸焼」「うどんや」などの演目を得意とした。
癌で死去。
弟子に、三笑亭夢楽、三笑亭笑三、9代目(当代)可楽、三笑亭茶楽がいる。
[編集] 9代目(当代)
本名は石上吉男(いしがみ よしお 1936年7月21日 - )。茨城県鹿嶋市出身。落語芸術協会に所属、理事を務める。出囃子は『勧進帳』。趣味のハワイアン、フルートは協会員バンドのアロハマンダラーズにも活かされている。
経歴
一門弟子
- 三笑亭可龍
- 三笑亭可女次
[編集] 関連項目
[編集] 出典
- 諸芸懇話会、大阪芸能懇話会共編『古今東西落語家事典』平凡社、ISBN 458212612X