鹿沢線
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鹿沢線(かざわせん)はJRバス関東長野原支店がかつて運行していた一般路線である。2007年3月31日をもって、JRバスとしての運行は廃止となった。
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[編集] 概説
- 上州大津(志賀草津高原線)からJR吾妻線の万座・鹿沢口駅、新鹿沢温泉を経由して鹿沢温泉に至る全長26.9kmの路線である。規模は小さいが、終点近くの新鹿沢温泉は数軒の温泉宿があり、新鹿沢温泉と鹿沢温泉の中間に国民休暇村鹿沢温泉もある。終点の鹿沢温泉は一軒宿。
- かつては観光客の利用もかなり多かったが、現在では地元住民の利用が中心となり、これらも自家用車普及の影響、人口の減少なども相俟って利用客の減少が続いてきた。このため、2006年6月にJRバス関東は当路線の廃止の方針を沿線自治体に伝えることとなった。該当自治体では議会において特別委員会などを設定して対策の検討を行った。その結果、2007年3月末日をもってJRバス関東の撤退が決定し、2007年4月1日からは、嬬恋村の貸切バス事業者である「群北観光バス」が万座・鹿沢口駅~鹿沢温泉間を「嬬恋村路線バス」として運行している(1日3往復)。[1]
[編集] 歴史
- 国鉄時代の鹿沢菅平線から始まり、通年運転で1日数本の群馬県・長野県の県境を越える便があった。古くは上田駅~真田~新鹿沢温泉~上州三原~上州大津~草津温泉の便を上田交通(現在の上電バス)と共同運行していた時代がある。夏季には長野原~西菅平間の季節運行もあった。また真田支所(後の真田営業所)は当初、長野原の管轄であり、車輌交換などの理由から長野原~真田の便も運行されていた。吾妻線の長野原~大前間が開業する前から長野原町羽根尾地区、嬬恋村の重要な路線であった。
- 吾妻線として長野原~大前間の延伸開業後も朝は6時台から終車21時台まで、1時間に1本の割合で鹿沢線のバスは運行されていた。それまでは長野原駅で列車の接続をしていたが、吾妻線の延伸開業により鹿沢線のバスは万座・鹿沢口駅で電車に接続するようにダイヤが組まれた。万座・鹿沢口~鹿沢温泉・新鹿沢温泉間の便を中心に、長野原止まりの吾妻線の列車に接続して長野原~鹿沢温泉・新鹿沢温泉の便も設定されていた(群馬・長野の県境越えの便も存続された)。新鹿沢温泉には乗務員の宿泊施設と車庫があり、全盛期はバスと乗務員が停泊していた。
- JR化後も運行本数は維持されていたが、徐々に減便され、県境越えの便が無くなる頃を境に一日数本の典型的なローカル路線となった。
- 2006年6月、鹿沢線を2007年3月末日をもって廃止する方針が出され、関係自治体に伝えられた。長野原町と嬬恋村では存続のための方策を検討したが、JRバスの撤退は決定し、2007年3月14日、主要バス停に告知の張り紙が出された。
※鹿沢温泉口(新鹿沢駅)~新鹿沢温泉間は、吾妻自動車株式会社という会社が乗合自動車事業を行っていたが、1937年に草軽電気鉄道(現在の草軽交通)が買収し、1年間のみ営業を行い、省営自動車(国鉄バス)乗り入れとともに草軽は廃止となった経緯がある。
- 1946年 菅平口~西菅平間運行開始
- 1949年 支線区間の干俣口~中央干俣間運行開始(支線区間の中央干俣~仁田沢間は1965年以降に延伸)
- 1957年 新鹿沢温泉~鹿沢温泉間の運行開始
- 1960年 真田~上田駅間の運行開始
- 1984年 支線区間の上の貝~研修センター(嬬恋スキー場)間の運行開始(季節運転)
※後に、パルコール嬬恋スキーリゾート、オークびゅう嬬恋(JRグループによるアウトドア施設)の開業により、定期運行となるが、「オークびゅう嬬恋」が閉鎖されると再び季節運行になり、2004年に廃止となった。
- 1989年 JRバス関東の組織変更により真田支所が小諸支店の管轄になる。長野原・草津温泉~真田・上田の直行便が無くなる。長野原~鹿沢温泉間、新鹿沢温泉~真田・上田間と区間運転になったが、県境越えの便は存続していた。
- 1992年 新鹿沢温泉~真田・上田間の区間便廃止。「鹿沢線」と「菅平線」のように区別される。
- 1996年 鹿沢温泉口~古永井間廃止
- 2004年 支線でもある、上の貝~バラギ湖間が廃止となる。
- 2007年 3月末日をもって鹿沢線は廃止。2007年4月1日より、万座・鹿沢口駅~鹿沢温泉間は自治体(嬬恋村)に移管され、「嬬恋村路線バス」として地域の貸切事業者「群北観光バス」により運行されている。
※廃止時期は不明だが、中央干俣~仁田沢間、農場口~農場前間の支線も1990年代に廃止されている。
[編集] 運行形態
- 系統・ダイヤ
- 万座・鹿沢口駅~鹿沢温泉間を結び、万座・鹿沢口駅で列車に接続したダイヤになっている。平日の学校の授業がある日に限り、新鹿沢温泉発着の便があり、そのうちの1往復は枝線の干俣口(ほしまたぐち)~中央干俣(ちゅうおうほしまた)に入る。万座・鹿沢口駅~長野原草津口駅間は、学校の授業がある平日にのみ上り3本(2本は長野原役場前止まり)下り1本が運行される。
- 停留所一覧(本線)
- 上州大津 - 羽根尾発電所前 - 公民館前 - 羽根尾駅前 - 今宮 - 上袋倉 - 下袋倉 - 半出来 - 半出来温泉前 - 西今井 - 新大滝橋 - 東三原 - 上州三原 - 万座・鹿沢口駅 - 西窪温泉前 - 吾妻西窪 - 嬬恋役場前 - 中央大前 - 神前 - 嬬恋農協前 - 干俣口 - 西中学校前 - 大笹郵便局前 - 新田口 - 大笹 - 御関所橋 - 神明 - 長井川原 - 鹿沢発電所前 - 田代湖 - 中央田代 - 吾妻田代 - 上田代 - 鹿沢温泉口 - 舟窪 - 幼稚園前 - 農場口 - 新鹿沢温泉 - ハイランドスキー場入口 - 鹿沢休暇村口 - いこいの広場前 - 鹿沢温泉(長野原草津口駅 - 上州大津間の停留所は志賀草津高原線と同じ)
- 支線
- 干俣口 - 落合橋 - 上の貝橋 - 上の貝 - 下上の貝 - 干俣幼稚園前 - 中央干俣 - 上の貝橋 - 落合橋 - 干俣口
[編集] 使用車輌
- 車輌は長野原支店の車輌が車種限定されることなく使用される。
[編集] 特記事項
- 2004年7月1日から運行開始された、草津温泉~名古屋駅間の「スパライナー草津号」は、草津温泉~上田菅平インター間で、以前の鹿沢菅平線とほぼ同じルートを走る。「東三原~万座・鹿沢口駅」間、「田代湖~鹿沢温泉口」間、「横沢~長小学校前」間は国道144号線のバイパス経由となるため、この区間のみは以前のルートとは異なる。また、新鹿沢温泉は経由しない。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
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