3分ゲーコンテスト
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3分ゲーコンテスト(_ぷん_)とは、フリーウェアとして制作されたゲーム(フリーゲーム)のコンテストの一つ。
(以下の記述は、2007年3月現在の規約によるものである。)
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[編集] 概要
名前どおり、一回のプレイ時間(ゲームとしてのプレイ時間)が3分程度のフリーゲーム(3分ゲー)を評価しその優劣を競う大会である。3分といっても、これは(少なくとも建前上は)ゲームとして遊べる部分でのものである(詳細は「3分ゲー」とはを参照の事)。現在の運営者はトモタカ。
2004年に始まり、一年間に5回程度開催されるこの大会は、現在ではコンテストパークWebなどの他の大会と共に、フリーゲームの制作者やプレイヤーによく知られるようになった。
限られた時間内に、いかにしてプレイヤーを楽しませられる仕掛けを用意できるか、制作者の手腕が問われる。
第2回大会優勝作Every Extendはアレンジを加えられ、Every Extend ExtraとしてQ ENTERTAINMENT制作・バンダイ(現バンダイナムコゲームス)発売で商業作品化されている。
[編集] 起源
3分ゲーコンテストは元々、フリーゲームの紹介・レビューサイトの一つであるフリーソフト超激辛ゲームレビューの中で交わされた話題に端を発する。当時、超激辛ゲームレビュー内で「3分程度で終わる面白いゲームを」という旨の話題が持ち上がり、これにフリーゲームの情報サイトの一つであるツクール新聞が呼応する形で、2004年に第1回大会が開かれたのが始まりである。(なお、こうした関連もあり、超激辛ゲームレビューではしばしば3分ゲーコンテストの優勝作をイチオシとしてレビューしている。)
[編集] 「3分ゲー」とは
公式サイトによると、3分ゲーとは「3分程度で完結するミニゲーム」であると説明されている。さらに略され「プンゲ」と呼ばれることもある。
しかし実際のところ、3分ゲーコンテストに応募される作品の中に「3分程度で完結する」ものは少なく、1プレイ10~20分のものが多いようである。こうした少々プレイ時間の長い作品が多いことは、一部のプレイヤーの間から批判があるものの、それでも概ね許容されている。
それでは、この現状において、「3分ゲー」という言葉はどのような意味で使われているのだろうか。いくつかの考えうる解釈を挙げる。(もちろん実際には、これらの解釈のうちいくつかを組み合わせたり、あるいは敢えて多義性を認め臨機応変に意味を使い分けたりしながら使われているようである。)
[編集] 文字通りの「3分」説
- プレイ時間が実際に3分以内(または、それより若干長い程度)のゲーム以外を、「3分ゲー」とは認めないという立場。考えうる最も狭義の解釈であり、この解釈に立つと、過去に3分ゲーコンテストに応募された作品の大部分が、優勝作品の大半を含め「3分ゲー」としては認められないということになる。そのためこの解釈をとるのは今や現実的ではないが、それでもこの解釈の立場から「3分ゲー」の名称と現状との間のズレを批判するプレイヤーは少なくない。
[編集] 「3分」=「(比喩的に)短時間」説
- この現状は、「秒殺」や「あっという間」などの喩え同様に、「3分」というのは「比較的短時間、普通のゲームでは考えられないほどの短時間」であることの比喩であると捉えられていると考えることでも説明できる。この解釈をとるならば、第11回大会優勝作品である「日記のネタがないときの逃げ道6」(本気でクリアを目指すと1時間近く掛かる)の場合でも、この作品のジャンルが経営シミュレーションという本来プレイに数十時間を費やすものであることから、3分ゲーとして認めることが可能になる。
[編集] 「3分」=「制限時間3分」説
- 3分ゲーコンテストへ応募されてくる作品の多くには、ゲーム内で3分かそれ以下の制限時間が課されており、それが無くなれば強制的にゲームオーバー、ないしはゲームが次の段階へ進行するものが多く存在する。「日記のネタがないときの逃げ道6」にも、3分間の時間制限が課せられている。しかしこうした作品では、制限時間がアイテムで延長可能だったり、制限時間を消費しないイベントが多くあったりすることが多く、これを有効活用することで実際のプレイ時間が3分どころか数十分近くにまで延ばせてしまうことがある。それでも、「3分(以下)の時間制限」の存在は、ゲームの短さをアピールするためには有効であろう。
[編集] 「3分」=「体感時間3分」説
- 多くのテレビゲームファンには経験のあることと思われるが、時間が必要になるゲームでも、いったん夢中になってしまえれば、1回のプレイ時間を短時間にしか感じないこともある。3分ゲーコンテストで優勝するような作品には、そうした「時が経つのを忘れてしまう」ようなものが多いため、10分ほどのプレイ時間が3分ほどに感じられることもありうる。
[編集] その他の説
- 稀に、批判的・揶揄的に「3分で飽きるゲーム」の意味で使われることもある。
[編集] 参加方法
3分ゲーコンテストへは、作品応募者としてと審査員としての、2通りの参加方法がある。審査員としての参加方法は、審査方法を参照のこと。ここでは、作品応募者としての参加方法について解説する。
まず、3分ゲーコンテストへ作品を応募しようとする者は、次の大会の日程について知る必要がある。もしそのときにまだ次回大会の日程が公表されていない場合でも、開催の告知を待ちながら、応募する作品の制作・デバッグなどの準備を行うのが望ましい。
最新の大会での作品応募が開始され、応募を希望する者の方も応募可能な状態の作品を用意している場合、締め切りの期日までに公式サイトの指示に従い作品を応募すれば、それで応募は完了である。なお締め切り前であれば、応募作品を修正して再送付すること、および大会を棄権することが認められている。
応募完了後は、審査が全て完了し大会が終了するまで、応募作品を大会の公式サイト以外で公開しないなど、規約を遵守しながら結果を待つことになる。
大会終了後は、作品応募した者が守るべき事は特にない。作品をそのまま、あるいは改良・アレンジなどして再配布するのも自由である。
[編集] 審査方法
3分ゲーコンテストの応募作品の審査は、大会運営者を含む数名で行われる「一次審査」と、誰でも(作品応募者でも)参加可能な「二次審査(公開審査)」より成る。
一次審査は、大会の趣旨に不適当な応募作品を前もって振るい落とすために、大会運営者、および大会運営者より依頼を受けた人物(すでに実績のあるフリーゲーム制作者や、フリーゲーム紹介サイトの管理人などが選ばれている)数名により行われる。期間は1週間程度だが、応募作品の数や内容、一次審査員の多忙などにより遅れることがある。その審査基準は、大会の応募規約に準じており、その審査結果は二次審査開始時に、一次審査員によるコメントなどの詳細は二次審査終了時、つまり結果発表時に、作品の順位と共に公開される。
二次審査は、純粋に作品の楽しさ・面白さを評価するために、誰でも3分ゲーコンテストに関心のある人であれば自由に参加できるような形で行われる。期間は2週間前後。参加したいのであれば、大会期間中から公式サイト内で一次審査通過作がダウンロードできるようになるので、それらをダウンロードして一通り遊びながら評価し、同じく公式サイト内の投票専用ページから採点とコメントを行って投票をすればよい(なお、このとき一次審査落選作も問題のない限りアップロードされ遊べるようになるが、これらの作品に対し投票することはできない。また、一旦アップされた作品は、特に事情のない限り、半永久的に公式サイトからダウンロードできる)。
なお、審査方法の詳細は、大会ごとに変化する場合があるので、必要な場合は必ず公式サイトで調べなくてはならない。
[編集] 賞品
3分ゲーコンテストの賞品として、優勝者にはアマゾンギフト券2000円分か、それに相当する賞品が与えられる。(以前には、図書券2000円分が与えられていたことがある。)
それ以外にも、現在ではすでにこの3分ゲーコンテストで好成績を獲得することがフリーゲーム制作者として名誉なことであると見なされているので、好成績を残したという事実それ自体が最大の賞品であるとも言える。
[編集] 3分ゲーコンテストα
3分ゲーコンテストαは、3分ゲーコンテストの姉妹イベントであり、ほとんどの場合一応は同列に扱われているフリーゲームの大会である。後述の理由により、開催は不定期。こちらも運営者はトモタカ。
この2つの大会の最大の違いは、3分ゲーコンテストαが3分ゲーコンテストの運営に対し寄せられた意見を実験的に試してみるための、臨時的・試験的に運営される大会だということである。そのため、この2者の間では大会規約に相応の違いがある。そして、3分ゲーコンテストαを開催した結果に反省・総括が行われたのち、改良可能と判断された点は3分ゲーコンテストに還元されている。
なお、過去に行われた両大会の間では、作品応募者の顔ぶれや応募作品の作風などの傾向については、ほとんど違いは見られない。
[編集] 応募作品の傾向
毎回、「3分程度」という厳しい制約の中で、参加者により「短いプレイ時間でも印象に残るものを」と追求した作品が送られてくる。その結果、半ば一発ギャグや出オチに走ったような作品が少なくないことは否めない。(ただし、そうしたネタで引き付ける一方で、そのネタを膨らませて、ゲームらしさもきっちり兼ね備えることに成功した紛うことなき秀作も存在する。例えば、第9回大会優勝作品「もしくはタッフロール」が挙げられる。)
ただ、ネタに走らずとも、独特の世界観やゲーム性を兼ね備えた作品は存在し、それに相応しい評価を得てきている。例えば、本来長時間かけて味わうのが当然であるコンピュータRPGの面白さを抽出・濃縮した第3回大会優勝作品「黒魔剣士アース3min-幻の少女-」や第10回大会優勝作品「(株)大盛産業」、小説で言うところのショートショートのアドベンチャーゲーム版ともいうべき第4回大会優勝作品「Reason of Detective」や第5回大会優勝作品「怪鳥」などがある。極めつけは第2回大会優勝作品にして商業作品化までされた、自機の攻撃方法が自爆のみという異色シューティングゲーム「Every Extend」であろう。
使用ツールや使用言語等、開発環境に制限が無いため、多くのフリーゲーム配布サイト同様ここでもRPGツクールを用いた作品が多い(その中では、RPGツクール2000の使用が特に多い)。RPGツクールで生み出された作品も多数優勝している。
[編集] 歴代上位入賞作品
(表記は公式サイトによる。丸括弧内は作者名(応募時のハンドルネーム)、敬称略)
- 第1回3分ゲーコンテスト
- 優勝 アレックスの冒険(事情により現在では公開停止)(SPA!)
- 準優勝 3:00(茶林 小一)
- 第3位 Colorless(Heretic Rag)
- 第2回3分ゲーコンテスト
- 優勝 Every Extend(( ゜ワ゜)ノ)
- 準優勝 双子高校生探偵 ユキとユーキ(ひもジイ)
- 第3位 カニ食べたい!(ぺぽ)
- 第3回3分ゲーコンテスト
- 優勝 黒魔剣士アース3min-幻の少女-(タクミ)
- 準優勝 ゴメスハント(ぼんばいえ)
- 第3位 メルトブレイン(すっぴぃ)
- 第4回3分ゲーコンテスト
- 優勝 Reason of Detective(KaTana)
- 準優勝 ドラゴンキラー(エアリアル)
- 第3位 CORUNDUM(XANADU(団体名))
- 第5回3分ゲーコンテスト
- 優勝 怪鳥(Fu)
- 準優勝 DAN!DA!DAN!(( ゜ワ゜)ノ)
- 第3位 ハンドレッド・ワイヤーズ(礼門Z)
- 第6回3分ゲーコンテスト
- 優勝 CANNON CAT(d_of_i)
- 準優勝 夏、セミ、少女(KaTana)
- 第3位 炉(本気屋)
- 第1回3分ゲーコンテストα
- 優勝 ま~ぶる++(( ゜ワ゜)ノ)
- 準優勝 ねこぞり(d_of_i)
- 第3位 rendo(やれやれ)
- 第7回3分ゲーコンテスト
- 優勝 ジェット分岐コースター(エコロジー)
- 準優勝 連続ジャンプ サトルくん2(やれやれ)
- 第3位 タイミンダイス!(tarolabo)
- 第2回3分ゲーコンテストα
- 優勝 ただのやきゅう(下東)
- 準優勝 -オ ト イ ラ-(山田殺男)
- 第3位 寿司姫デュエル(とぶ)
- 第8回3分ゲーコンテスト
- 優勝 愛と勇気とかしわもち(てつ、つとう)
- 準優勝 RainPlayer(トム)
- 第3位 疾走宇都宮(イ五)
- 第9回3分ゲーコンテスト
- 優勝 もしくはタッフロール(ぺぽ)
- 準優勝 勇者降臨!(NOH)
- 第3位 ジェントルメン・テニス(下東)
- 第10回3分ゲーコンテスト
- 優勝 (株)大盛産業(NOH)
- 準優勝 DEMOLITION GUNNER(オーダン)
- 第3位 そこばんアグレッシブ(nemu90kWw)
- 第11回3分ゲーコンテスト
- 優勝 日記のネタがないときの逃げ道6(Subrina)
- 準優勝 CrazyRider(紅夏)
- 第3位 らーめんを作る道(kon)
- 第12回3分ゲーコンテスト
- 優勝 灼熱姫(ポーン)
- 準優勝 白球冒険記3(ほにゃー)
- 第3位 ナナメ落ちゲー(時村浩輔)
[編集] 外部リンク
- 公式サイト
- 3分ゲーコンテストα
- 海外での批評記事(英語)
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