AMD Fusion
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Fusion(フュージョン)とはAMDが2008年下半期から2009年の早期にかけて発売を予定しているCPUとGPUを合成させた新しい製品の開発コード名である。なおFusionは英語では融合という意味である。
目次 |
[編集] 開発目的
AMDによるATIの買収により浮上した計画である。現在のCPUとGPUはサウスブリッジ及びノースブリッジを挟んでコンピュータシステムに組み込まれているため、CPUとGPU間には帯域の広いバスが必要になるが、帯域が広いバスであると動作周波数を向上させる必要があり、消費電力を増加させてしまうことに直結する。したがって、いくらCPUやGPUを単体で低消費電力に設計したとしても性能向上による消費電力の増加が否めない。この問題を、コンピュータ上でのチップの位置を近づけてバス自体をなくしてしまうという方法で改善することが、Fusion(コード名)の開発目的である。強力なGPUには強力なCPUが必要であり、両者を融合することで性能バランスに優れたコンピュータシステムができると期待されている。 また同様の問題を解決するために一部のチップセットではCPUに近いノースブリッジからPCI Expressレーンを出力し、従来の「CPU」→「ノースブリッジ」→「サウスブリッジ」→「GPU」という構成から、「CPU」→「ノースブリッジ」→「GPU」という構成に単純化した。これによってノースブリッジとサウスブリッジ間のアクセス速度の遅さをある程度回避できるようになり、余った帯域を他の拡張ボードやバス用に回すことができるようになった。
[編集] 市場からの要求
ノートパソコンでは近年消費電力が課題となっている。予想以上に電池の容量の進化が見込まれない上、市場がよりバッテリーでの持続時間の向上を要求しているので、チップ自体の消費電力自体を下げる必要がある。また、CPUとGPUを統合することでノートパソコンに必要なLSIを少なくして基盤面積の占有率を下げることができるのでこのことからもニーズがあると判断される。
[編集] 他社製品への影響
現在ATIとNVIDIAは性能向上競争をさらに激化させており、もしAMDがCPU内にATIのRadeonを取り込むとなると抱き合わせの問題が生じる可能性がある。そしてIntelがAMDと同様にCPUとGPUを融合させるとしたらnVidiaは販路を大幅に奪われうることになる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
AMDのCPUリスト |
---|
生産終了: Am2900, Am29000, Am286, Am386, Am486, Am5x86, K5, K6, K6-2, K6-III, Athlon, Duron, Sempron (Socket A版) 生産中: Athlon 64, Sempron, Athlon 64 FX, Athlon 64 X2, Turion 64, Turion 64 X2, Opteron, Geode 計画中: K8L, K10, Fusion |