AOR
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AORとは、Adult Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)、またはAlbum Oriented Rock(アルバム・オリエンテッド・ロック)の略であり、音楽のジャンルの一つである。前者にも後者にも共通して言えることは、スタジオにて緻密なアレンジが施され、メロディ・ラインやコード進行など1曲1曲を大切にし、アルバム全体を通しての完成度に重きを置いた作品作りがなされているという点である。こと日本においては、前者の“大人向けのロック”の意味で使われる場合が多い。それはロックを基調にジャズやソウル、ファンクやフォーク、時にはブラジル音楽などの、ありとあらゆる音楽エッセンスを織り交ぜつつ、バックの演奏とメインのボーカルそれぞれの主張が50:50のバランスに保たれた、一言で言うならばオシャレに聴かせる音楽である。洗練され、耳あたりが良いことからBGMとして使用される機会も少なくない。その全盛期は1970年代後半から1980年代前半であるが、その後はAOR的な音創りによる教会音楽であるCCM(Contemporary Christian Music)というジャンルへと派生していき、AORのDNAは確実に受け継がれていった。1990年代になると、著名なAORアーティストが相次いで新作を発表した。AORの名曲を数多く登場させ、AOR全盛期の若者のAOR的世界観を見事に表現した国内映画『波の数だけ抱きしめて』がヒットしたことも手伝って、AORのリバイバルブームが起こった。最近では、AORのレコードをヒップホップのサンプリングソースとして使用しているケースが少なくない。
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[編集] 日本と欧米での使われ方の違い
欧米においてAORという言葉の現在の使われ方は、ピンク・フロイドやイエスなどの、シングルではなくアルバムを重視したスタイルのロックを指すAlbum Oriented Rockの略として認知されている。 ちょうどAORが使われだした1970年代後半は、プログレッシブ・ロックをアメリカ流にアレンジしたアメリカン・プログレ・ハードと呼ばれるジャンルが出現した時期でもあった。例えばカンサスやボストンといったバンドが代表的なアメリカン・プログレ・ハードであるが、アルバム中心主義でありながら聴いていて心地よい落ち着いたサウンドであったため、「大人向けロック=Adult Oriented Rock」と解釈されて日本に輸入された。
その後、日本ではこの意味での独自の解釈が進み、現在ではボズ・スキャッグスやTOTO、クリストファー・クロスといった大人向けポップ/ロックアーティストのジャンルとして定着している。なお、アメリカのビルボード誌では、このジャンルはアダルト・コンテンポラリー(Adult Contemporary:AC)と呼ばれている。
また、日本においては、AORに近い音楽ジャンルとしてシティ・ポップスがあるが、同じものとまではいえない。
[編集] 代表的 AOR(Adult Contemporary) シンガー
- アラン・ソレンティ
- アル・ジャロウ
- アンドリュー・ゴールド
- エイドリアン・ガーヴィッツ
- エイミー・ホランド
- カーラ・ボノフ
- クリストファー・クロス
- クリス・レインボウ
- ケニー・ロギンス
- ジェイムス・テイラー
- ジノ・クニコ
- ジノ・バネリ
- ジミー・メッシーナ
- ジョセフ・ウィリアムス
- ジョン・ヴァレンティ
- スティーブン・ビショップ
- セシリオ・ロドリゲス
- ダリル・ホール
- デニース・ウィリアムス
- デビッド・パック
- デビッド・ポメランツ
- テレンス・ボイラン
- トム・ケリー
- ニコレット・ラーソン
- ニック・デカロ
- ネッド・ドヒニー
- ビル・チャンプリン
- ヘンリー・カポノ
- ボズ・スキャッグス
- ボビー・コールドウェル
- マイケル・ジョンソン
- マイケル・マクドナルド
- マイケル・フランクス
- マッキー・フェアリー
- マーク・ジョーダン
- ラリー・リー
- ランディ・ヴァンウォーマー
- ランディ・グッドラム
- リッキー・リー・ジョーンズ
- ルパート・ホームズ
- ロビー・デュプリー
[編集] 代表的 AOR(Adult Contemporary) グループ
- TOTO
- スティーリー・ダン
- エアプレイ
- マクサス
- ドゥービー・ブラザーズ
- ファー・クライ
- シカゴ
- アベレージ・ホワイト・バンド
- DFK
- ヴェイパー・トレイルズ
- ホルヘ・サンタナ
- ペイジズ
- プレイヤー
- レベル42
- スタイラス
- アンブロージア
- アメリカ
- シー・ウィンド
- マンハッタン・トランスファー