B83 (核爆弾)
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B83はアメリカ合衆国が開発・運用している核爆弾である。重水素-三重水素を用いた爆発威力が調整できる威力可変型の水素爆弾であり、自由落下爆弾として運用される核兵器である。敵のミサイルサイロなど硬化目標を攻撃するように設計されているため冷戦が終結した後には、地中貫通核爆弾の候補として研究されたこともあった。
[編集] 概要
B83はB77核爆弾開発計画を基に改良したものであり、70年代後半から開発が開始された。それまでに部隊配備されたB28、B43、B58核爆弾を更新するためのものである。開発はローレンス・リバモア国立研究所で行われ、1975年からは1976年にかけて核爆弾を実際に爆発させる核実験が4回行われている。1983年より配備が開始され、1987年までに1,000発が配備された。B83以降に新規に開発された核爆弾はなく、21世紀初頭現在、B83が最新のものとなっている。
爆弾の構造はより小型のB61核爆弾と外形・構造とも類似している。爆弾のバランスについては、爆弾先頭部を重くしてある。これにより爆弾の落下速度を速め、高空からの投下の場合、落下速度はマッハ2に達することができる。また、逆に投下から爆発までを遅延させるためのパラシュートも備えている。弾体は重い鋼鉄製で弾着にあたって目標に大きな衝撃を与えるように設計されている。
起爆高度は調整可能であり、空中爆発から地表面での爆発、地中貫入後の爆発などが設定できる。このため戦略任務にも戦術攻撃任務にも使用することができる。なお、爆縮レンズ用の火薬には感度の低い無感PBX-9502高性能爆薬が使われており、暴発の可能性を減じている。
アメリカ空軍ではB-2やB-1をはじめとする爆撃機、F-16などの戦闘爆撃機などで運用されるが、アメリカ海軍のF/A-18にも搭載可能など、アメリカ軍の主要航空機に搭載して運用することができる。