Frozen Roses
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Frozen Roses | ||
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松任谷由実 の アルバム | ||
リリース | 1999年11月17日 | |
録音 | 1998年5月11日~1999年9月26日 | |
ジャンル | J-POP | |
時間 | 50分37秒 | |
レーベル | EXPRESS | |
プロデュース | 松任谷正隆 | |
チャート順位 | ||
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売上枚数 | ||
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松任谷由実 年表 | ||
Yumi Matsutoya 1978-1989 (1999年) |
Frozen Roses (1999年) |
acacia (アケイシャ) (2001年) |
Frozen Roses (フローズン・ローゼス)は松任谷由実 (ユーミン)の30枚目のオリジナルアルバム。1999年11月17日に東芝EMIからリリースされた(TOCT-24300)。1999年12月20日~2000年7月6日『FROZEN ROSES』コンサートツアーが行われた。
目次 |
[編集] 解説
松任谷由実は1984年以来、オリジナルアルバムを年1作のペースでリリースしており、1998年もリリースに向け創作活動を続けていたが、1998年6月にベストアルバム『Neue Musik』の発売が決定し、オリジナルアルバムの発売が延期されることになった。『Neue Musik』には「(オリジナルアルバムは)1999年5月下旬発売予定」と書かれたリーフレットが封入されていたが、その予定も延期されることになり、最終的には前作『スユアの波』より約2年振りとなる1999年11月に発売となった。タイトルは、プロデューサーである松任谷正隆が「バラ(ローズ)という言葉を使いたい」との意見が反映され、「たとえもろくても冷たくても、切なさを永遠に留めておきたい」という思いも込められている。サウンドとしては前作が松任谷正隆にとって「完成形」であったため、本作ではエンジニアや機材を大幅に刷新して録音されており、インターネット回線を利用したミックス作業なども松任谷由実の作品として初めて取り入れられた。こうした変化も手伝って、全体的に豪華なアレンジの楽曲が多いアルバムとなっている。ジャケットは大橋歩が手掛けた。1999年5月15日に開催された「Internet Home Live vol.1」で「Rāga#3」「Lost Highway」「流星の夜」がいち早くオンエアされた。
[編集] 収録曲
- Now Is On
- R&B/ダンス風ビートを特徴とするオープニング・ナンバー。今という瞬間を精一杯生きようというポジティヴなメッセージ・ソング。インパクトの強いサビ・フレーズと終盤のファンキーなラップが聴きどころ。アルバム製作の中で最後に製作された曲。
- 恋は死んでしまった
- 純度の高い本格的ギター・ロック。“2度ときみに会えないよ”と恋に終止符を打つナンバーで、歌も歌詞も実にロックらしいのが特徴。特にかすれるような声にヴィブラートをかけた、サビ部分のヴォーカルが魅力的。
- 巻き戻して思い出を
- 空港で恋人を見送る悲しいシチュエーションを綴った、軽快なラテン・ナンバー。1番と2番の間に1回だけ披露される短いブリッジ部分やエンディングのジャジィなピアノ・ソロなど、聴きどころ満載の贅沢な1曲。アルバム製作の中で最初に製作された曲。
- Rāga#3
- アラビアン・テイストのハード・ロック・ナンバー。「砂の惑星」以来続く民俗系シリーズで、ユーミンの自由奔放なヴォーカルが炸裂。ファンタジックで愛に満ちた歌詞も多彩なアレンジも、歌に負けないほど完成度が高い。Rāga(ラーガ)とは、インドで使用される非常にきめの細かい旋律的旋法のことであり、#3は本作のアルバムにおいて3番目に録音されたことを指す。楽曲全体がインドを連想させるようなアレンジとなっており、アルバム発売前に開催された「シャングリラ公演」においても、インドのバザールを思わせるような演出とともに披露された。プロモーションビデオには、その公演のシーンも登場する。東芝「DVDプレイヤー キャンペーン・ソング」でもある。
- Blue Rain Blue
- エスニック・ダンス・ポップス。ブラジリアンを中心にスクラッチ、打ち込みビート、各種打楽器を取り入れた賑やかなサウンドが魅力。それでいてメロディも歌詞も安定しているという、申し分のない多国籍ポップス。
- Spinning Wheel
- ヴォーカルで始まる落ち着いたポップ・ナンバー。分かりやすい言葉で優しく諭すような口調とウィットや愛に満ちた歌詞を魅力とする広義のラブ・ソング。ユーミンが目の前で歌っているかのような親近感を感じさせる。1999年4月から1年間、フジテレビ系全国ネット「めざましテレビ」のテーマソングだった。アルバム発売の半年以上前から放送されたため、番組には問い合わせが殺到した。なお松任谷由実は当時、同番組において「松任谷由実選集五七五」コーナーにレギュラー出演していた。11月3日発売のシングル『Lost Highway』のカップリング曲でもある。
- Josephine
- リッチなイントロが印象的なジャズ・バラード。セクシーなヴォーカルと“ジョセフィーヌ”について語る映画のような歌詞が、不可解ながらも独特の味わいを醸し出す。得体が知れない分、引き込まれてしまう不思議な1曲。
- Sweet Surrender
- サスペンス風極上ポップ・ソング。映画の1シーンのようなスリリングなAメロから信じられないほどポップなサビに急展開する、神業的ナンバー。歌詞もそれに呼応するが、要は“あなたに恋をした”というラブ・ソング。
- 8月の日時計
- 落ち着いたテンポのライト・ポップス。アコギが柔らかく包み込むAメロや男声も入ったコーラスが美しい珠玉のサビ、シャレたアコーディオンによるエンディングなど、どこをとっても聴きどころという完成度の高い1曲。
- Lost Highway
- 夏に激しい恋をした“きみ”を、雨の夜に車の中でひとり思い起こす切ないナンバー。あか抜けないAメロからハード・ロック調のサビに至るまでのドラマティックな展開と斬新なストリングス・アレンジが聴きどころ。1999年夏に開催された「シャングリラ公演」でも歌われ、11月3日にアルバムの先行シングルとして発売された。シングルのジャケットもアルバム同様に大橋歩がイラストを手掛け、プロモーションビデオも製作された。なお、このシングルは松任谷由実としては初となる12cmサイズのシングルCDであった。
- 流星の夜
- 流星の降る夜にかつての恋人を思い出す切ない恋歌。美しくも儚さを伴った暗めのミディアム・スロー・ナンバーで、同じフレーズを延々と繰り返すエレキ・ギターやエンディングのユーミンによるスキャットなどが特徴的。1998年11月に「しし座流星群」を、松任谷由実が夫妻で自宅のベランダから眺めていたことも作詞に影響した。
- 作詞・作曲 : 松任谷由実 編曲 : 松任谷正隆
- ホーンアレンジ : Jerry Hey(#3,#5,#7)
[編集] 参加ミュージシャン
- キーボード&プログラミング : 松任谷正隆(#1~#6,#8~#11)
- アコーディオン : 松任谷正隆(#8)
- シンセサイザー・プログラミング : 北城浩志(#1~#6,#8~#11)
- ピアノ : Alan Pasqua(#7)
- ドラム : John Robinson(#2~#4,#8,#10)、Russ Kunkel(#6,#9)、Harvey Mason(#7)
- ベース : Neil Stubenhaus(#1~#5,#8,#10,#11)、Leland Sklar(#6,#9)
- アップライト・ベース : Nathan East(#7)
- モッグ・ベース : Ricky Peterson(#8)
- エレクトリックギター : Dean Parks(#1~#3,#6,#9,#11)、Michael Landau(#4,#8,#10)
- アコースティックギター : Dean Parks(#2,#3,#6)
- ガット・ギター : Dean Parks(#5)
- 12弦ギター : Dean Parks(#9)
- パーカッション : Michael Fisher(#1~#6,#8,#9,#11)
- サキソフォン : Jake H. Conception(#1)、Dan Higgins(#5)
- クラリネット&フルート : Dan Higgins(#7)
- トランペット :Jerry Hey(#5)、Gary Grant(#5)
- トロンボーン :Steive Holiman(#3,#5,#7)、Andy Martin(#5,#7)
- フリューゲル・ホルン : Jerry Hey(#3,#7)、Gary Grant(#3,#7)
- フレンチ・ホルン : Brad Warnaar(#7)、Rick Todd(#7)
- ヴァイオリン :Mario De Leon(#1,#7,#10,#11)、Armen Garabedian(#1,#7,#10,#11)、John Writtenberg(#1,#7,#10,#11)、Charlie Bisharat(#1)、Eve Sprecher(#1)、Gerardo Hilera(#1)、Gary Kuo(#1)、Michele Richards(#1)、Edmund Stein(#1)、Beri Garabedian(#1)、Sid Page(#7,#10,#11)、Harris Goldman(#7,#10,#11)、Peter Kent(#7,#10,#11)、Brian Leonald(#7,#10,#11)、Robert Peterson(#7,#10,#11)、Rachel Purkin(#7,#10,#11)、Haim Shtrum(#7,#10,#11)
- ヴィオラ :Matthew Funes(#1,#7,#10,#11)、Evan Wilson(#1)、Piotr Jandula(#1)、Denyse Buffum(#7,#10,#11)、Ralph Fielding(#7,#10,#11)、Liene Novog(#7,#10,#11)
- チェロ : Larry Corbett(#1,#7,#10,#11)、Steve Richards(#1)、Rudy Stein(#1)、Suzie Katayama(#7,#10,#11)、Paul Hochhatter(#7,#10,#11)、Christina Soule(#7,#10,#11)
- ハープ : Amy Shulman(#1)
- コーラス : 松任谷由実(#1~#6,#8~#11)、おおたか静流(#4)、木戸泰弘(#9)、比山貴詠史(#9)、広谷順子(#9)、斉藤妙子(#8)、河合夕子(#8)、佐々木久美(#8,#9)
- ラップ : Kardel(#1)
[編集] 外部リンク
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