Il-2 (航空機)
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Il-2(イリューシン2;ロシア語:Ил-2イール・ドヴァー)は、ソ連のイリユーシン設計局が開発した軍用機。
第二次世界大戦において、ソ連軍の主力対地攻撃機(シュトゥルモヴィーク)として使用された。生産数は、軍用機として史上最も多かったとされる。なお、本機を指して「シュトゥルモヴィーク」という名称が用いられることがあるが、これは本機が最も有名なシュトゥルモヴィークであることから付いた通称で、正式にはこれは本機を指す固有名称ではない。
[編集] 概要
当初はBSh-2(БШ-2ベーシャー・ドヴァー;「БШ」は「Бронированный штурмовик」すなわち「装甲されたシュトゥルモヴィーク」を意味する)として開発され、初めの機体であるTsKB-55(ЦКБ-55)は1939年に初飛行を行った。その後、採用に伴いIl-2と名を改め、機種も「重シュトゥルモヴィーク」(Тяжелый штурмовик)となった。
初期のIl-2は単座型機であったが、後方火器がないことから敵戦闘機による損失が激しく、改良に際して複座化、後方機銃を装備し、Il-2M (Ил-2М) とされた。その後、主翼に途中から後退角がつけられたIl-2M3(Ил-2М3)、37 mm機関砲や45 mm機関砲を搭載した重対戦車シュトゥルモヴィーク型、魚雷を搭載する雷撃機型、エンジンを変更した機体など、多くの派生型が開発・生産された。なお、名称に関してはいくつかのヴァリエーションが見られ、いずれの型も単に「Il-2」としか表記されない場合もある。
戦後はポーランド、ユーゴスラヴィア、チェコスロヴァキア、ブルガリア、モンゴルなどいくつかの国で使用されたが、多くの国では後継型のIl-10に代替されるなどして1950年代には退役した。また、朝鮮戦争でも中華人民共和国軍機や朝鮮民主主義人民共和国軍機として使用された。
[編集] スペック
(後期型)
- 全長: 11.65 m
- 全幅: 14.60 m
- 全高: 3.28 m
- 翼面積:38.5㎡
- 全備重量: 5,880kg
- エンジン:ミクリンAM38F 1700hp×1
- 最大速度: 403km/h
- 実用上限高度:6,500m
- 航続距離: 700km
- 武装
- 爆弾600kg
- 20mm機銃×2・7.7m×2(固定)・12.7mm機銃×1(後部旋回)
- 乗員 2名
[編集] 関連項目
- IL-2 Sturmovik - ロシアで開発されたコンバット・フライト・シム。
カテゴリ: ソ連・ロシアの航空機 | 爆撃機