NHK全国学校音楽コンクール
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NHK全国学校音楽コンクールは、日本放送協会が主催する小・中学校、高校の合唱サークルによる合唱コンクール。全日本合唱コンクールと並ぶ二大コンクールの一つであり、メディア露出度の多さから広く認知されている。通称はNコン。1932年に「児童唱歌コンクール」として開始、途中1942~46年(42,43,46年は開催されなかったが大会回次はついている)の戦争による中断を挟み、2007年度で第74回を数える。毎年夏から秋にかけて開催され、例年全国で2,300を超える学校の参加がある。
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[編集] コンクール形態
コンクールは大きく小学校、中学校、高等学校の各部門に分かれる。参加希望校は、主催者が各部門ごとに新たに作曲を委嘱した課題曲(毎年NHK教育テレビなどで発表)1曲と、出場校が独自に選択した自由曲(規定時間内であれば何曲でもよい)を歌うことになる。
- 都府県地区コンクール
毎年7月から9月にかけ、各都府県ごとに開催される都府県地区大会が文化会館などで公開で行われ(北海道はほぼ支庁単位に区切られた"地区"ごとに開催)、その都府県地区での代表校を各部門ごとに選出する。出場校の多い都府県地区では予選大会を行うところもある。そのコンクールの模様は、NHK各地方局でテレビ・ラジオなどで放送される。
- ブロックコンクール
都府県地区大会を勝ち抜いた代表校がこのブロックコンクールに参加する。ブロックは北海道・東北・関東甲信越(大宮ソニックシティ)・東海北陸・近畿(NHK大阪ホール)・中国・四国・九州の8ブロックに分けられ、各ブロックから1校(関東甲信越からは2校)代表校が決定される。また、前年度の全国コンクール金賞受賞校(2006年度からは銀賞受賞校も※)が出場したブロックからはもう1校出場できることになっている。コンクールの模様はテレビ等で放送される。
※金賞・銀賞が同一ブロックの場合は銅賞のうち上位の1ブロックが増枠になる。
- 全国コンクール
全国コンクールは全国各地のブロックコンクールを勝ち抜いた計11校が東京・渋谷のNHKホールで演奏を行い、金賞1校、銀賞1校、銅賞2校を決定する。 それらの模様はNHKの教育テレビで生放送、FMラジオ放送では後日放送される。以前は10~11月に3週間程度に分けて日曜日に開催されていたが、体育の日が10月第2月曜日に曜日固定(=ハッピーマンデー制度)されるようになった2000年度以後はその前日の日曜日に小学校、体育の日に中学校(午前中)と高校(夕方)のコンクールが実施されている。また近年、NHKの男性アナウンサーと共に、当該コンクール参加経験者などである女性タレントが司会に起用されていることが多い。(2006年度は平山あや、元モー娘の矢口真里が担当した)
2006年は、10月8日(日)14:00~16:40に小学生の部が、10月9日(月・体育の日)10:00~13:00に中学生の部が、同日15:00~18:00に高校生の部がそれぞれ放送された。
[編集] 特徴
- 小・中・高校各部門ともに、合唱部・音楽部としての参加のほか、学級・選択音楽等の授業クラスで参加する学校も多い。歌唱人数は小・中学校は35名まで、高等学校は40名までで、規定人数の上限は1クラスの人数を想定したものと思われる。ただし、課題曲と自由曲の間に15名まで入れ替えが可能であるため、合計で50名ないし55名が参加できることになる。また小規模校への配慮などから、同じ都府県地区であれば2校合同での参加も可能である。
- NHKが主催であるため、CD音源の発売だけでなくコンクールの模様がテレビ・ラジオなど複数のメディアで放送され、参加する児童・生徒にとっては大きな魅力となっている。ただ放送向けの編集やマイクを通した音響効果の調整などには賛否ある。
- コンクールは(各大会によって異なるが)本番直前に練習室が数か所割り当てられ、ステージでのリハーサルを経た後に本番となる。移動は担当スタッフに誘導されて動くことになる。
- 課題曲は、全団体が公平に取り組めるよう毎年新曲が委嘱により書き下ろされている。詞は小中高校生から募集することもある。近年は、ポップスの作詞家・作曲家やシンガーソングライターが担当することもある。第70回大会では応募された詞による詩集「希望」も発行された。課題曲は時代を反映したテーマに基づく詞が書き下ろされ、多くの曲が学校での合唱コンクールの自由曲となったり、教科書にも採用されるなどして歌い継がれてきている(→過去の主な課題曲参照)。
- 全出場校の発表が終わり、審査員が審査をしている間はステージが開放され(ステージ開放)、参加校の児童・生徒が自由に使うことができる。各学校ごとに得意の曲やアカペラ・パフォーマンスを披露したり、代表がその場で話し合って人気の合唱曲を数百人規模で大合唱したりと、学生だけでなく顧問や観客まで楽しめる時間である。この時間を通して出場校同士が交流を深めることも多い。2003年度まではこの模様は放映されなかったが、2004年度からは、流行のポップス曲を合唱向けに書き下ろし編曲し、本職の合唱指揮者による指揮・指導のもと、各出場校から選抜されたメンバーが合同で歌う(このとき司会者が合唱団員に混じって歌う)というイベントが催されるようになり、この模様も放映されるようになった。
- 指揮者は参加校の生徒または教職員しか認められていない。ピアノ伴奏者は、近年の参加状況と教員の専科制度が充実されていないので、学校外の人材(プロのピアニスト等)で当該校長が認めた者も伴奏者として参加できる。伴奏そのものの優劣は採点の対象外である。
[編集] 過去の主な課題曲
- 空がこんなに青いとは(第37回 1970年・小学校)
- 気球にのってどこまでも(第41回 1974年・小学校)
- ともしびを高くかかげて(第41回 1974年・高校)
- 海はなかった(第42回 1975年・高校)
- ひとつの朝(第45回 1978年・高校)
- 走る海(第47回 1980年・高校)
- わが里程標(マイルストーン)(第48回 1981年・高校)
- 河口(第53回 1986年・高校)
- 小さな協奏曲(第55回 1988年・中学校)
- 海の不思議(第56回 1989年度・中学校)
- 聞こえる(第58回 1991年・高校)
- そして夜が明ける(第61回 1994年・高校)
- 遥かな時の彼方へと(第62回 1995年・中学校)
- 生きる(第62回 1995年・高校)
- 砂丘(第64回 1997年・中学校)
- めばえ(第64回 1997年・高校)
- タンポポ(第65回 1998年・中学校)
- こんなにたしかに(第66回 1999年・中学校)
- はじめに……(第67回 2000年・高校)
- おさんぽぽいぽい(第69回 2002年・小学校)
- 予感(第69回 2002年・中学校)
- なぎさの地球(第69回 2002年・高校)
- やさしい風(第70回 2003年・小学校)
- 白いページ(第70回 2003年・中学校)
- あしたはどこから(第70回 2003年・高校)
- 未来を旅するハーモニー(第71回 2004年・小学校)
- 信じる(第71回 2004年・中学校)
- 「新しい人」に(第71回 2004年・高校)
- みんなみんな(第72回 2005年・小学校)
- 花と一緒(第72回 2005年・中学校)
- 風になりたい(第72回 2005年・高校)
- まいにち「おはつ」(第73回 2006年・小学校)
- 虹(第73回 2006年・中学校)
- ある真夜中に(第73回 2006年・高校)
[編集] 第74回(平成19年度)大会
[編集] 課題曲
- 共通テーマ「つながる」
- 小学校の部:手をのばす (同声二部)
- 中学校の部:めぐりあい (混声・女声三部)
- 高等学校の部:言葉にすれば (混声・男声・女声四部)
ゴスペラーズ・松下耕共同制作 作詞:安岡優(ゴスペラーズ) 作曲:安岡優(ゴスペラーズ)・松下耕
[編集] 関連番組
- 課題曲を歌おう(課題曲の発表・紹介:NHK教育テレビ 2007年3月21日(水・祝)・3月30日(金)の10:00~10:57)
- みんなのコーラス(ラジオ第2放送 毎週木・金曜日10:05~10:35、FM放送 毎週月-木曜日17:30~17:45(何れも1本15分単位))
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- 小学校の部は毎週木曜日10:05と月曜日17:30から
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- 中学校の部は毎週木曜日10:05、金曜日10:05と火曜日、水曜日17:30から
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- 高等学校の部は毎週金曜日10:20と木曜日17:30から
[編集] 関連項目
- 全日本合唱コンクール
- 国際青少年合唱祭
- 宝塚国際室内合唱コンクール
- こども音楽コンクール(東京放送主催)
- 中学合唱曲