SOHC
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SOHC(エスオーエイチシー、Single OverHead Camshaft)とは、レシプロエンジンの一形態で、通常OHCエンジンと呼ばれ、1本のカムシャフトがシリンダーヘッドに置かれたエンジンの事を言う。
[編集] 構造
バルブの位置はOHVやDOHCなどと同じく燃焼室の上である。カムシャフトはシリンダヘッドに直列エンジンの場合には1本が置かれている。カムシャフトは、チェーン・ギア・ベルトなどでクランクシャフトとつながれており、回転する。(一般的な設計では)カムシャフトとバルブは、シーソーのような動きをするロッカーアームという機能部品で結ばれており、動きを伝える(ただし一部のSOHCエンジンにはガソリンエンジン、ディーゼルエンジンに関わらず一般的なDOHCエンジンのようにロッカーアームの無い直動式バルブ機構のSOHCエンジンも存在する。【例:トヨタ・「3L」「1C」「2C」「3C」型、スバル・「EA82」型、ダイハツ・「EF-SE」型、スズキ・「G10」型等】必然的にバルブ配置がカウンターフローもしくはS字型クロスフローとなる)。OHVでは、カムシャフト→プッシュロッド→ロッカーアームと、バルブを開閉する動きが伝えられるが、そのうちプッシュロッドが不要になる。DOHCとの違いはカムシャフトの本数で、DOHCでは吸気バルブ・排気バルブをそれぞれ専用のカムシャフトで駆動させるが、SOHCでは共用のカムシャフトで駆動する。
[編集] 特徴
OHVと比較した場合、バルブまわりの慣性質量を減らしやすくなるため、結果としてバルブの開閉タイミング管理が容易になり、DOHC程ではないがそれなりに高回転・高出力を得やすい。 部品点数がOHVやDOHCより少なくなるので軽量小型で安価になり、整備性もよい。 DOHCと比較した場合、カムシャフトが1本少ない分駆動抵抗が少なくなり、燃費のいいエンジンにしやすい。 …などのメリットがある。
逆に、 DOHCに比べ、1本のカムシャフトでロッカーアームを介してバルブを駆動させるという構造から、給排気バルブの数を増やしにくいため、高回転型のエンジンを作りにくい。 1本のカムシャフトで給排気両方のバルブを開閉するため、バルブのレイアウトの許容範囲が狭い。 また同様の理由で、ロッカーアームもわずかではあるがバルブを開閉する際の緩衝材的な役割をするため、高回転になるほどバルブ開閉の精度が落ちる。 …などのデメリットがある。
シリンダーあたりのバルブ数は吸気×1、排気×1の2バルブが基本であるが、給排気効率をあげるために増やすことも可能であり、吸気×2、排気×1の3バルブや、吸気×2、排気×2の4バルブエンジンも存在する。 また、燃料の完全燃焼を促す為に、ツインプラグ方式をSOHCエンジンで実現するものもある(日産・Z型(Z18、Z20等)エンジンおよびCA型(SOHCヘッドのみ。DOHCヘッドはデストリビューターレスのシングルプラグ方式)エンジン、ホンダ・i-DSI)。