XTR
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XTR(エックスティーアール)は、株式会社シマノが開発、販売するマウンテンバイク向けコンポーネント(部品)である。
[編集] 概要
同社の提供する製品群では、最高位に位置するグレードであり、クロスカントリーレース向けの最高級コンポーネントとして提供され、技術・素材ともに妥協のない設計がなされている。 同社によれば、「クロスカントリーレシーングコンポのベンチマーク」であるとされている。
パーツが持つ基本的な機能は、他のグレードのパーツと共通しておりスプロケットも9速であるが、チタニウム素材をふんだんに投入し、妥協のない軽量化が特徴となっている。一例を挙げれば、チタニウムとアルミニウム合金を素材に用いたXTRグレードのリアハブ軸および9速スプロケットの合計重量は、わずか494グラム(270g+224g)である。ひとつ下のグレードで、スチール+アルミ合金による同社製レース向け軽量コンポーネントDeore XTのそれが633グラム(369g+264g)であるのと比較した場合、この部分だけで140グラム近くも軽くなってしまう。
フロントハブには通常の10ミリ軸100ミリ幅のものに加え、ダウンヒル用MTBによく用いられる、より強度の高い20ミリ軸110ミリ幅のものも用意されている。
ブレーキはVブレーキ及び油圧式ディスクブレーキが用意される。Vブレーキは、ブレーキシューがリンクを介して平行に移動するパラレルリンク式である。 油圧式ディスクブレーキについては、クロスカントリー用MTBに用いられる160ミリディスク、ダウンヒル用MTBに用いられる203ミリディスクに加え、フォークロスレースなどより大きな制動力が求められる場合に対応した180ミリディスクや、よりコントロールしやすく、また軽量な140ミリディスクも用意される。
最高の性能を追求したグレードであることから、相応に高価であり、同一部位のバーツで比較した場合Deore XTのそれに比べ、2~3倍の価格になるものもある。完成車では定価40万円~50万円クラス以上のものに採用される。
[編集] Tips
高価なXTRグレードのパーツの中では、手の届きやすい価格にあるのがブレーキ及びディレーラ用ワイヤーセットである。XTRグレードのケーブルにはコーティングがなされており、抵抗の少ない滑らかな動作に定評がある。そこで、Deoreなどの下位グレードのパーツを組みつけているMTBでも、このワイヤーセットに交換するだけで、操作感が向上する。もっとも費用対効果の高いチューニングのひとつとして愛好者に知られている。