しゃっくり
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しゃっくり(噦、吃逆)とは、横隔膜(または、他の呼吸補助筋)の強直性痙攣により、声帯が閉じて「ヒック」という音が発生することが一定間隔で繰り返される現象で、ミオクローヌスの一種である。
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[編集] 概要
しゃっくりの多くは、刺激物や熱い物を飲みこんだり、激しく笑ったり、咳をしたり、また、アルコール飲料や香辛料の過剰の摂取によって起こる。しゃっくりは、本人の意思とは無関係に発生するため、一度かかると非常にわずらわしく、本人の意思だけで直すことは難しい。
しゃっくりが100回(または100万回)でると死ぬという俗説があるが、通常は人体にはあまり影響はない。ただし、尿毒症、脳腫瘍などの内臓疾患や神経疾患が原因でしゃっくりが発生する場合もあり、長時間にわたって頻繁にしゃっくりになるような場合は注意が必要である。
[編集] 民間療法
しゃっくりを止める(のに効果があるとされている)方法は世界に様々なものがある。一般には、以下のようなものが知られている(一部には、全く根拠のないものもあることに注意)。
- 急に驚かす
- しゃっくりから注意をそらさせる(難しい質問をするなど)
- しゃっくりに意識を集中する
- 呼吸を止める
- くしゃみをする
- 冷水を大量に飲む(呼吸を止めながら、など)
- あごに水をつける
- 舌を引っぱる
- 眼球を圧迫する
- 腹に湿布を当てる
- 人に移す
- 特定の食品(ピーナッツバター、チョコレート、カプリコ、砂糖、蜂蜜、コケモモのジャム、ワサビ、酢、柿のへたを煎じたものなど)を摂取する
- 人肌より多少温かい(40℃~50℃程度の)お湯を少量口に含み、ゆっくりを飲み込むことを 3~4回繰り返す
- ご飯をかまずに飲み込む
- どんぶりに張った水を、反対側から飲む
- 左手をまっすぐ上にあげ、つばを飲み込む(アイバメソッド)
- 直腸壁を揉む
- 深呼吸を複数回行う
- コップに水を入れ、その上に割り箸を十字に置き、四方から一口ずつ飲んでいく
ただし、多くの場合は何もしなくても自然に止まるものである。しゃっくりが全く止まらない場合には、痙攣を止めるための鎮痙剤や、薬効応用でドパミン遮断作用のある抗精神病薬の投与などが行われることもある。
[編集] 呼び名
一般的には、「しゃっくり」が正しい呼び名となっているが、「ひゃっくり」や「さくり」などの呼び方もある。英語では、「ヒカップ」(綴りは hiccup またはhiccough)のように言い、日本の「ひゃっくり」同様、しゃっくりが発生した時に出る、「ヒック」という音から連想できるものである。
また、ドイツ語では「シュルックアウフ」、スペイン語では「イポ」、フランス語では「オケ」(綴りは hoquet: 男性名詞)のように発音する。フィンランド語やノルウェー語では「ヒッカ」「ヒッケ」で、日本語の発音にかなり近いように思われるが、ロシア語では「イコータ」という発音になっている
[編集] 世界最長記録
ギネスブックによれば、 しゃっくりの世界最長記録保持者は米国のチャールズ・オズボーン (1894–1991) である [1]。 オズボーンのしゃっくりは 1922年に始まり、以後 68年間、 毎分 40回(その後、毎分 20回に低下)のペースで続いた。このしゃっくりはオズボーンが亡くなる 1年前、 1990年にようやくおさまった。オズボーンはバラエティー番組などに出演し有名になったが、普通の生活を送っていたという。
アメリカでは女性が5週間しゃっくりが止まらなくなり、それは毎分50回のペースで続いた。前触れなく止まったが、何故しゃっくりが続いて突然止まったのか、原因は不明という。