てんやわんや
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『てんやわんや』は、毎日新聞に1948年~1949年に連載された獅子文六による小説、およびそれを原作とする日本映画である。
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[編集] 概要
太平洋戦争の終戦直後、獅子文六が妻の実家がある愛媛県宇和島市津島町(旧北宇和郡岩松町)に疎開していた時の様子を題材としている。
宇和島市を題材にした「大番」と同じく愛媛県南予地方の人情、文化、方言などを詳しく知ることができ、この地方特有の「牛の突き合い」(闘牛)、「牛鬼」(お祭りの練り物)岩松川の大うなぎ(愛媛県の天然記念物)とっぽ話(ホラ話)や戦後すぐにおこった「南海大地震」などが興味深く紹介されている。
[編集] ストーリー
主人公犬丸順吉は、戦犯の容疑を恐れ、師事していた代議士鬼塚の郷里「相生町」(津島町がモデル)に疎開する。彼は鬼塚の紹介で「相生長者」の家に食客として住み着き、彼や彼の知人から厚遇される。 饅頭食いの越智善助、うなぎ取りの名人田鍋拙雲、謄写版恋文三割歩留り多賀谷青年など、ユニークな人物が多く登場することで、戦後の荒廃した東京と、のんびりとした「相生町」の好対照が読者を桃源郷の世界にいざなう、獅子文学の代表作である。
[編集] 映画版
てんやわんや | |
監督 | 渋谷実 |
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製作 | 山本武 |
脚本 | 斎藤良輔 荒田正男 |
出演者 | 佐野周二 淡島千景 志村喬 薄田研二 藤原釜足 三井弘次 桂木洋子 |
音楽 | 伊福部昭 |
撮影 | 長岡博之 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1950年7月23日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
allcinema | |
キネマ旬報DB | |
小説を原作とする映画が1950年に公開された。宝塚歌劇団出身である淡島千景の映画デビュー作でもある。
[編集] その他
小説にちなんだ菓子として、「大野文六堂」の「文六餅」、「浜田三島堂」の「善助餅」が有名。また地元の旅館には、獅子文六が執筆していた部屋が保存されている。
なお、漫才コンビの獅子てんや・瀬戸わんやは本作から名前を取ったものである。