のと鉄道
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のと鉄道( - てつどう)は、国鉄改革にともない第3次特定地方交通線に選定された能登線を引き受けるために設立された石川県等が出資する第三セクターの鉄道事業者である。本社は、石川県鳳珠郡穴水町字大町チ字24番2。
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[編集] 概要
旧国鉄能登線の廃止の決定を受け、路線の引き受け会社として設立。能登線の全線を継承し、運営に当たった。1991年にJR七尾線が和倉温泉まで電化されたのに伴い、非電化の和倉温泉~輪島間の営業を西日本旅客鉄道(JR西日本)から引き受けたが、能登半島の道路網整備が進んだことや、過疎化による沿線人口の減少を受け乗客数は減少の一途をたどっていった。経営改善のため、経営コンサルタントの助言を受けながら2001年には輪島線とも呼ばれていた七尾線の穴水~輪島間を、2005年には能登線の全線を廃止し、最盛期には100kmを超えた営業路線も現在では三分の一にまでになっている。乗客数の減少により列車本数は削減され、厳しい経営が続いている。
[編集] 歴史
- 1987年4月30日 会社設立
- 1988年3月25日 能登線 のと穴水(現在の穴水)~蛸島間開業
- 1991年9月1日 七尾線 七尾~輪島間の第2種鉄道事業者となる
- 2001年4月1日 七尾線 穴水~輪島間廃止
- 2005年4月1日 能登線 穴水~蛸島間廃止。本社を能登町から穴水町に移転。
[編集] 路線
2005年の能登線の廃止により、唯一の営業路線となった七尾線は、西日本旅客鉄道が第3種鉄道事業者(七尾~和倉温泉間は第1種鉄道事業者)として線路を保有しており、のと鉄道は第2種鉄道事業者としてJR西日本の線路を使って列車を運行するだけの自社で線路を持たない鉄道会社となった。
[編集] 現有路線
- 七尾線 七尾~穴水(33.1km・第2種鉄道事業)
[編集] 廃止路線
- 七尾線 穴水~輪島(20.4km・第2種鉄道事業)
- 能登線 穴水~蛸島(61.0km・第1種鉄道事業)
[編集] 運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2004年4月1日現在。
キロ程 | 運賃(円) |
初乗り1~4km | 200 |
5~8 | 280 |
9~10 | 350 |
11~12 | 360 |
13~15 | 410 |
16 | 440 |
17~20 | 510 |
21~24 | 580 |
25~28 | 660 |
29~32 | 740 |
33~34 | 810 |
特定運賃
- 但し、JR西日本との共用区間である七尾~和倉温泉間は下表の特定運賃が適用される。(小児半額・10円未満切り捨て)。2004年4月1日現在。
- これは、両社の運賃(JR180円・のと鉄道280円)を比較して、安い方の運賃を採用しているためである。
特定区間 | キロ程 | 運賃(円) |
七尾~和倉温泉 | 6km | 180 |
運賃計算上の特例
区間 | 運賃 |
JR七尾線徳田以遠~のと鉄道七尾線田鶴浜以遠 | 和倉温泉駅を境に両社の運賃を合算 |
JR七尾線徳田以遠~和倉温泉 | JRの通算運賃を適用 |
七尾~和倉温泉 | 両社の運賃を比較して安い方の運賃を適用(特定運賃) |
七尾~のと鉄道七尾線田鶴浜以遠 | のと鉄道の通算運賃を適用 |
[編集] 車両
最盛期には28両が在籍していたが、穴水~輪島間の廃止、穴水~蛸島間の廃止に伴う路線の縮小により、2005年12月8日現在在籍するのは新造のNT200形7両と既存のNT100形1両(お座敷車両)の8両となっている。(廃車予定車両を除く)
- NT100形(101~113、121~133)
- 全長16m級の富士重工業製軽快気動車で、車内はトイレが付いていて中央に左右3組ずつのボックスシートを持つセミクロスシート車であったが、一部はのちにお座敷車両にも使えるようにオールロングシートに改造されていた。エンジンは日産ディーゼル製を搭載し、1988年の能登線転換時に13両(101~113)、1991年の七尾線転換時に13両(121~133)の計26両が新製されたが、2001年の七尾線一部廃止時に、104、107、113、129が廃車され、2005年の能登線廃止後は105、106、109、127(お座敷車両)、132の5両を残し、他は廃車された。その後、NT200形が3両追加増備され、残りの車両も団臨用として残る127を除き2005年10月末までに定期運用から外れた。最後まで残ったお座敷車両も2006年12月31日をもって運行を終了する予定で、この時点でNT100形の運用は臨時も含めて完全に消滅する。
- このうち、103は2004年7月から能登線廃止の2005年3月31日まで「ノットエクスプレス(NOTo EXPRESS)号」として使用された。これは当時能登線の存続を望んでいた珠洲市のボランティア団体がのと鉄道の許可を得て黒塗りの特別塗装をしたものであった。この車両はミャンマーに売却(後述)された。
- 2005年8月21日に映画『シベリア超特急』のイベントでステッカーを貼られた車両が「シベリア超特急号」として運行された。車内はシベリア超特急のDVD発売のポスターや中吊りで飾られた。シベリア超特急の監督水野晴郎とシベリア超特急のファン十数名が和倉温泉駅から「イルクーツク駅」まで乗車した。イルクーツク駅とは、このイベントのために穴水駅を1日だけ改装したものである。この車両は同年9月末まで1日1往復運行され、NT100形車両の最後を飾った。
- 2005年9月に20両がミャンマーの都市ヤンゴンへ売却された。他に蛸島に1両が保存され、定期的に公開されている。今後、能登中島にも1両が保存・展示される予定である。
- NT800形(801+802)(廃車)
- 1988年の能登線転換時に急行「のと恋路号」用に富士重工業で新製されたパノラマ気動車である。エンジンはNT100形と同じく日産ディーゼル製である。「のと恋路号」が2002年に廃止されたため定期運用を失い、団体列車用に用途変更されたが現在は廃車され、能登線廃止直前に七尾線の能登中島駅に静態保存目的で回送された。その後、「鉄道教室」として一般公開されている。
- NT200形(201~204・211~213)
- 従来のNT100形に代わる気動車(新潟トランシス製)。従来車の16.5メートルから18.5メートルと2メートル長く、最高速度は80キロから95キロと15キロ高い。なお、窓は従来車と異なり固定式のため開けることができない。2005年3月25日から七尾~穴水間で運行を始めた。なお、JR七尾線の七尾以南への乗り入れは可能であるが、今のところ行われていない。
- 2005年12月10日のダイヤ改正からは、原則としてすべてこの車両で運行される。