七尾線
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七尾線(ななおせん)は、石川県河北郡津幡町の津幡駅から、石川県七尾市の和倉温泉駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
以前は輪島駅までの路線であったが、1991年に和倉温泉以南が電化された際、非電化のままとなる和倉温泉~輪島をのと鉄道に移管した。また、七尾駅~和倉温泉(5.1km)は、のと鉄道を第二種鉄道事業者とし、特急列車はJR西日本、普通列車はのと鉄道が運行している。なお、和倉温泉以北については西日本旅客鉄道が第三種鉄道事業者、のと鉄道は第二種鉄道事業者である。
津幡駅で北陸本線と接続しているが、宝達駅付近で天井川をくぐるトンネルの絶縁の問題などを考慮し、北陸本線と同じ交流電化ではなく直流電化とされ、北陸本線との接続地点付近にデッドセクションが設けられた。従って、全列車が交直流電車による運転である。
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[編集] 路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):全長59.5km
- 軌間:1067mm
- 駅数:20駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 最高速度:100km/h
※全区間、西日本旅客鉄道金沢支社の管轄(うち、支社直轄となる津幡駅を除き七尾鉄道部の管轄)である。
[編集] 運転
- 優等列車
- 北陸本線から直通の特急「サンダーバード」・「しらさぎ」・「はくたか」が和倉温泉まで運転されるほか、七尾発金沢行の通勤特急「おはようエクスプレス」が朝1本運転されている。これらは681系電車または683系電車の3両編成(主に多客期に6両編成で運転される列車もある)で運用される。また、多客期には485系電車を使用した特急「雷鳥」も運転される。
- かつては、金沢からのと鉄道に直通する急行「能登路」が運転されていたが、輪島方面直通が2001年3月、珠洲方面直通が2002年3月のダイヤ改正で廃止された。また、上野駅と金沢駅を結ぶ急行「能登」がのと鉄道移管前の七尾線輪島駅まで休日を中心に延長運転されていたが1991年2月23日限りで終了した。
- また、七尾線の電化される前の一時期には、大阪~金沢間「雷鳥」に併結されて運転される気動車特急「ゆぅトピア和倉」が、大阪から乗り入れていた(歴史については「雷鳥」の項を参照)。
- 普通列車(津幡駅~七尾駅間)
- 全ての列車が金沢方面から直通運転されるが、七尾までの運転である。平日朝には高松折り返しの区間列車も設定されている。また、金沢~七尾間の快速列車も設定されているが、この一部は急行「能登路」の名残である。車両は主に同線専用の415系800番台電車3両編成で運用されているが、検査時には413系電車やごくまれに475系電車が使用されることもある。さらに早朝の金沢発七尾行1本がサンダーバード用681系(3両編成)で運行されている。なお、津幡駅付近にデッドセクションがあるため、交直両用車両でないと走れない。普段は3両編成で運転されるが、平日ラッシュ時には6両編成で運転される。金沢発の七尾行きは平日朝8時台の2便と全日23時台の最終列車が6両編成で運行される。
- 普通列車(七尾駅~和倉温泉駅間)
- 七尾駅~和倉温泉駅間ではJR七尾線の普通列車は運転されず、全ての普通列車がのと鉄道七尾線として運行される。
- 七尾~能登中島間の区間列車が1往復あるほかは、全て七尾~穴水間を通して運転される。JR七尾線の七尾以南(羽咋方面)に直通する普通列車は運転されていない。
- 七尾~和倉温泉間を415系電車が営業運転することは基本的にないが、大雪などでダイヤが大幅に乱れた際など、特急列車の接続の関係などでまれに同車で運行することがある。2001年3月までは、415系電車による急行「能登路」が和倉温泉まで運転されていた。
[編集] 歴史
1897年七尾港は、特別輸出港の指定を受け貿易港となった。しかし、この指定は一定量の輸出量を維持が出来なければ取り消される為、金沢など、加賀地方からの貨物を集める目的で、地元の船主などが出資して七尾鉄道が設立され、翌年開業した。
七尾鉄道が開業した路線は1907年、鉄道国有法により買収され、国有鉄道の手により輪島まで延長された。
1991年の電化を機に非電化の末端区間をのと鉄道に移管したが、2001年に穴水~輪島間の第二種鉄道事業が廃止されるのと同時に、同区間の西日本旅客鉄道の第三種鉄道事業も廃止された。
また、七尾~七尾港間の貨物線も存在したが、すでに廃止されている。
[編集] 年表
- 1898年(明治31年)4月24日 - 七尾鉄道 (仮)津幡駅(現在の本津幡付近)~矢田新駅(後の七尾港駅)間開通。津幡駅、宇野気駅、高松駅、宝達駅、敷浪駅、羽咋駅、千路駅、金丸駅、能登部駅、徳田駅、七尾駅、矢田新駅開業。
- 1898年(明治31年)6月15日 - 横山駅、良川駅開業。
- 1900年(明治33年)6月16日 - (仮)津幡駅を(仮)津幡口駅に改称。
- 1900年(明治33年)8月2日 - 現在の津幡駅まで延伸し北陸本線と接続。(仮)津幡口駅廃止。
- 1902年(明治35年)6月25日 - 本津幡駅開業。
- 1904年(明治37年)11月10日 - 七尾駅~矢田新駅間で旅客営業を開始。
- 1907年(明治40年)9月1日 - 鉄道国有法により買収、国有化。
- 1909年(明治42年)10月12日 - 路線名称設定により七尾線となる。
- 1917年(大正6年)4月15日 - 矢田新駅を七尾港駅に改称。
- 1925年(大正14年)12月15日 - 七尾駅~和倉駅(現在の和倉温泉)間開通。七尾駅が現在地に移転。和倉駅開業。
- 1928年(昭和3年)2月5日 - 七尾駅~和倉駅間に小島信号場を開設。
- 1928年(昭和3年)10月31日 - 和倉駅~能登中島駅間開通。田鶴浜駅、笠師保駅、能登中島駅開業。
- 1929年(昭和4年)12月5日 - 七尾駅~七尾港駅間の旅客営業が廃止。
- 1932年(昭和7年)8月27日 - 能登中島駅~穴水駅間開通。西岸駅、能登鹿島駅、穴水駅開業。
- 1933年(昭和8年)9月1日 - 小島信号場廃止。
- 1935年(昭和10年)7月30日 - 穴水駅~輪島駅間開通により全線開通。能登三井駅、能登市ノ瀬駅、輪島駅開業。
- 1950年(昭和25年)5月1日 - 免田駅開業。
- 1960年(昭和35年)2月10日 - 中津幡駅、能瀬駅、南羽咋駅、能登二宮駅開業。
- 1972年(昭和47年)3月14日 - 全線で列車集中制御装置(CTC)を導入。
- 1976年(昭和51年)4月1日 - 穴水駅~輪島駅間の貨物営業が廃止。
- 1980年(昭和55年)7月1日 - 和倉駅が和倉温泉駅に改称。
- 1984年(昭和59年)2月1日 - 津幡駅~七尾駅~穴水駅間の貨物営業が廃止。貨物支線の七尾駅~七尾港駅間が廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄民営化により西日本旅客鉄道が第一種鉄道事業者となる。
- 1991年(平成3年)9月1日 - 津幡駅~和倉温泉駅間が電化(直流1500V)。同時に和倉温泉駅~輪島駅間をのと鉄道に経営移管(同区間でJR西日本は第三種鉄道事業者となり、七尾~輪島間でのと鉄道が第二種鉄道事業者となる。)
- 2001年(平成13年)4月1日 - 穴水駅~輪島駅間廃止(のと鉄道の第二種鉄道事業廃止。同時にJR西日本の第三種鉄道事業廃止)。
[編集] 七尾線及びのと鉄道優等列車沿革
[編集] 創始
- 1960年(昭和35年)4月1日 - 金沢駅~輪島駅間を運行する準急列車として、「のとじ」が新設される。
- 1961年(昭和36年)12月29日 - 金沢駅~輪島駅間を運行する臨時準急列車として「そそぎ」が運行される。
- 1962年(昭和37年)4月1日 - 金沢駅~輪島駅・宇出津駅間を運行する準急列車「つくも」が設定される。このとき、「そそぎ」が定期列車化され、金沢駅~輪島駅・宇出津駅間を運行する準急列車は3往復となる。
- 1963年(昭和38年)4月20日 - このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
- 1963年(昭和38年)10月1日 - 「つくも」運行区間を延長し、金沢駅~松波駅間に変更する。
[編集] 「能登路」への統合とその後の展開
- 1964年(昭和39年)10月1日 - 能登線蛸島駅開業に伴うダイヤ改正に伴い、金沢駅発着の準急列車「のとじ」「へぐら」「そそぎ」「つくも」の名称を「能登路」(のとじ)に変更する。
- 1966年(昭和41年)3月1日 - 準急制度改変により、「能登路」の内、準急運行区間が金沢駅~穴水駅間となってるものを除き急行列車化。金沢駅~穴水駅間を準急列車として運行するものに「つくも」の名称を与える。
- 1966年3月25日 - このときのダイヤ改正に伴い、「能登路」1往復増発する。
- 1968年(昭和43年)10月1日 - このときのダイヤ改正により、以下の通り変更する。
- 1971年(昭和46年)4月26日 - 「ゆのくに(上り)3号」の運行区間を珠洲駅まで延長する。
- 1972年(昭和47年)3月15日 - このときのダイヤ改正に伴い、「能登路」下り6本・上り8本に増発。また、季節列車で下り1本・上り2本が設定される。また、「ゆのくに(下り)2号」の運行区間を輪島駅まで延長する。
- 1975年(昭和50年)3月10日 - このときのダイヤ改正に伴い、「能登路」下り6本・上り8本、季節列車下り2本・ 上り1本に変更する。
- 1978年(昭和53年)10月2日 - このときのダイヤ改正に伴い、従来大阪駅・名古屋駅より直通していた「ゆのくに」・「のりくら」は廃止。「能登路」1往復増発し、下り7本・上り8本となる。
- なお、「能登路」には「ゆのくに」・「のりくら」の廃止によりグリーン車の連結を終了。普通車のみで組成を行うようになる。
- 1980年(昭和55年)7月 - このころより、"ロマンスカー"と称されたキハ58改造車の連結を行う。
- 1982年(昭和57年)11月15日 - 「能登路」季節列車を廃止。また、このころまでに"ロマンスカー"の連結を終了する。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 「能登路」上り1本を廃止。
- 1986年(昭和61年)12月27日 - 週末運行であるが、大阪駅~和倉温泉駅間を運行する臨時特急列車として「ゆぅトピア和倉」( - わくら)の運行が開始される。
[編集] のと鉄道への移管とその後の展開
- 1988年(昭和63年)3月13日 - このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
- 1991年(平成3年)9月1日 - 七尾線津幡駅~和倉温泉駅間電化完成及び七尾線七尾駅以北ののと鉄道移管に伴い、以下のように変更する。
- 1992年(平成4年)3月14日 - このときのダイヤ改正に伴い、「能登路」電車による上り1本を廃止。また、「かがやき」1往復が和倉温泉駅に乗り入れ。同時に「雷鳥」上り1本を和倉温泉駅発とする。
- 1995年(平成7年)4月20日 - 「スーパー雷鳥」に681系電車が導入される。同車を用いた列車は「スーパー雷鳥(サンダーバード)」に名称を変更。和倉温泉駅乗り入れの従来の「スーパー雷鳥」3往復はそのまま「スーパー雷鳥(サンダーバード)」に移行する。
- 1997年(平成9年)3月22日 - 北越急行ほくほく線開業に伴い「かがやき」が運行区間を変更し同線経由越後湯沢駅発着となり、列車名も「はくたか」に変更。同時に使用車種も681系電車に変更する。また、681系電車使用の「スーパー雷鳥(サンダーバード)」は「サンダーバード」に変更する。
- 1998年(平成10年)10月1日 - 「能登路」上り1本廃止。
- 1998年(平成10年)12月 - 穴水で分割併合する「能登路」の1往復について、利用客の少ない穴水~輪島間の1往復を廃止して、金沢~珠洲間の単独運行とする。これにより、金沢~珠洲間1往復、金沢~輪島間1往復、金沢~和倉温泉間下り1本となる。
- 2001年(平成13年)3月3日 - 「能登路」金沢駅~珠洲駅間1往復のみの運行となる。また、「サンダーバード」従来の「スーパー雷鳥」を吸収し、和倉温泉直通を増発。下り5本・上り4本とする。
- 2002年(平成14年)3月23日 - 「能登路」廃止。
- 10月20日 - 「のと恋路」廃止。
- 2004年(平成16年)3月13日 - 七尾駅→金沢駅間を運行する特別急行列車として、「おはようエクスプレス」が1本設定される。
[編集] 駅一覧・接続路線
- ●:停車、▲:一部通過、|:通過
- 普通列車は省略:各駅に停車
駅名 | 営業キロ | 快速 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
津幡駅 | 0.0 | ● | 西日本旅客鉄道:北陸本線 | 石川県 | 河北郡津幡町 |
中津幡駅 | 1.8 | | | |||
本津幡駅 | 2.9 | | | |||
能瀬駅 | 5.1 | | | |||
宇野気駅 | 8.8 | ● | かほく市 | ||
横山駅 | 11.8 | | | |||
高松駅 | 14.4 | ● | |||
免田駅 | 17.8 | | | 羽咋郡宝達志水町 | ||
宝達駅 | 20.9 | ● | |||
敷浪駅 | 24.2 | | | |||
南羽咋駅 | 26.7 | | | 羽咋市 | ||
羽咋駅 | 29.7 | ● | |||
千路駅 | 33.8 | ▲ | |||
金丸駅 | 37.5 | ▲ | 鹿島郡中能登町 | ||
能登部駅 | 41.1 | ● | |||
良川駅 | 43.9 | ● | |||
能登二宮駅 | 46.1 | ▲ | |||
徳田駅 | 48.9 | ▲ | 七尾市 | ||
七尾駅 | 54.4 | ● | のと鉄道:七尾線 | ||
和倉温泉駅 | 59.5 | のと鉄道:七尾線 |
[編集] 廃止区間
括弧内は七尾駅からの営業キロ
- 1984年2月1日 廃止
- 七尾駅(0.0km) - 七尾港駅(2.1km)