ゆめりあ
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ゆめりあ | |
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プラットフォーム | プレイステーション2 |
発売元 | ナムコ(現・バンダイナムコゲームス) |
発売日 | 2003年4月24日 |
ジャンル | 恋愛アドベンチャーゲーム |
レイティング | CERO12 |
キャラクター名設定 | 不可 |
エンディング数 | 5 |
セーブファイル数 | 20 |
キャラクターボイス | 主人公以外 |
CGモード | あり |
音楽モード | なし |
回想モード | あり |
メッセージスキップ | あり |
オートモード | あり |
ゆめりあはナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が2003年4月24日に発売したプレイステーション2用のゲームソフトである(CEROレーティング12歳以上対象)。また、これを原作とするアニメ、コミックも含まれる。
目次 |
[編集] 概要
[編集] コンセプト
本作品は、いわゆる恋愛アドベンチャーゲームであるが、異世界で少女達とともに敵と戦うというSF的な要素も加わっているという、一風変わったゲームである。しかし、それ以上に本作品が変わっているのは、全てのキャラクターが3Dグラフィックスによるアニメーションで描かれるという点である。
本作品の脚本を担当したアニメ脚本家の黒田洋介(スタジオオルフェ)によれば、ゆめりあは美少女ゲームとアニメの融合を実現したものとされている。それは、それまでの同種のゲームが2Dグラフィックスによるキャラクターの画像を状況に応じて切り替えることで各種表現を行っていたことに対して、3Dキャラクターに連続的でより自然な動作をさせることで各種表現を行うという形で実現するものであった。そして、この3Dキャラクターによるアニメーションを用いるという点で本作品は新しい方向性を示した画期的なゲームであった。
- 補足:ゆめりあ以前にも、ときめきメモリアル3が3Dグラフィックスの技術を活用して同様の表現を行っていたが、同ゲームはトゥーンレンダリングによってキャラクターをアニメ絵化(≒2D化)しており、厳密な意味で3Dキャラクターを用いたものではなかった。
さらに本作品には、前述の黒田の起用や、各キャラクターのフルボイス化、TVアニメ風のエピソード区切りなどにより、アニメ的な要素がより一層盛り込まれている。
[編集] ゲーマーの反応
ゲーム史的には、1980年代から1990年代初頭にかけてのキャラクター路線から一転、堅実なゲーム製作を続けていたナムコが初めて作った「ギャルゲー」ということで、「まさかあのナムコが」という驚愕とともに、「やっぱりやったか、ナムコ」という諦観めいたものもゲーマーに与えたことが特筆される(かつてナムコがアーケードゲームで『ダンシングアイ』という、プレイヤーがチビ猿となって3Dポリゴン女体の表面を駆け巡り服を切り取るゲームを出していたことを知る古参ゲーマーは、後者に含まれよう)。
本作発表時、ゲーマーに衝撃を与えたのは以下のような点である。
- 老舗ナムコのギャルゲー初参入。
- 3Dポリゴンキャラクターによる「動き萌え」というほとんど前例のない表現方法。
- ヒロインの体に触ってパワーを与えるという戦闘システム(後述)。
- 予約特典が「枕カバー」というマニアックさ。
購入者も含め、多くのゲーマーが本作を「色物」とみなしていたが、プレイした者の中からは熱心なファンが続出し、売り上げもギャルゲー冬の時代の新規タイトルとしては十分に健闘した。
[編集] あらすじ
主人公の少年・三栗智和がモエラと呼ばれる夢の世界で出会った少女・モネやクラスメートの吾妻みづきらとともに、夢世界を侵略してくる敵と戦うことになる。また、その戦いや彼女らと過ごす生活の中で主人公は少女達との関係を深めていく。
[編集] ゲームシステム
本作は全体が11話に分かれており、シリーズ物のTVアニメのような構成となっている。
- 第1~3話
- 導入部。ここでの選択肢はヒロインの好感度に影響しない。一度クリアするとこの部分をスキップして4話からゲームを始めることができるようになる。
- 第4~8話
- 中盤。ここでの選択によってヒロインの好感度が変化し、9話以降のルートが決定される。
- 第9~11話
- クライマックス。各ヒロインごとのルートが用意されている。
ゲームの舞台は、現実世界と夢世界(モエラ)に分かれており、現実世界で眠っている間は夢世界が舞台となる。 夢世界では、ヒロインたちの服装がレオタードのような体に密着したものになる。また、特定のシーンでは、視点を変えながらヒロインの体を眺め回すことができる。
プレイヤーの行動という面からは、現実世界ではアドベンチャーパートのみであるが、夢世界では敵(フェイドゥム)と遭遇するとバトルパートに移行する。 バトルパートはターン制で、ターンごとにヒロインのうち2名を選び、主人公を加えた3名と敵とで戦闘を行う。 ヒロインの好感度が上がると、ヒロインの体の特定の個所に触れてパワーを与える「パワーチャージ」が行えるようになる。 敵のヒットポイントが0になったら、ヒロインのうち1名を選んで必殺技を出させ、とどめをさす。 ちなみに、バトルパートは演出に凝ったことが災いしてテンポの悪いものとなっており、ファンの間でも「戦闘がダルい」というのが定評になってしまった。
なお、夢世界での敵であるフェイドゥムは、立錐や球などの単純な立体が空中に浮遊する姿で表現されている。また、バトルパートでは主人公も3Dポリゴンで描画されるが、そのモデリングはヒロインと比べて明らかに簡素でのっぺりしたものとなっている。これらについては、ポリゴンを節約して少しでもヒロインの表現の向上に振り向けるための方策であるとの見方が有力である。
その他、いわゆる「お遊び要素」的なものとして、メモリーカードのセーブデータのアイコンが最後にエンディングを迎えたヒロインの画像になったり、起動時の「ナムコ!」という音声がクリア状況によって変わるなどといった、細部に至るまでの作りこみも本作の特徴の一つである。
[編集] 登場人物
- 三栗 智和(みくり ともかず)(声:羽多野渉(アニメ版のみ))
- 主人公。カレーとハンバーグが好物の平凡な高校生。しかし、モネたちと出会い、夢世界での戦闘に巻き込まれたことから、彼の運命が動き始める。本編は智和が16歳の誕生日を迎えるところから始まるが、その日付についての描写はない。
- なおアニメ版では、エロい妄想し、成績が最悪(正解しても0点にされている)で、周りの人にもてあそばれている。
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- 不確定量子選択棒呈術
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- 人類全体の連続する時間軸を変化・・・・ようするに未来を都合のいいように変える能力で、自分の意志では制御しづらいらく、原因を変えて結果も変えることが出来る。チャージ技はこの能力を使っている
- モネ(声:有島モユ)
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- サンシャインNOVA
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- 合体させた武器から黒い光弾を放つ。
- シャイニングブリット
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- 武器を合体して光線を打つ三栗智和がチャージして初めて使える技。
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- フレア・エクスプロージョン
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- 弓から炎を出しながら一気に敵を射抜く必殺技。
- スパイラルフレア
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- チャージ技 放った矢が六つに分裂し、螺旋を描きながら敵に当たる。
- 千条 九葉(せんじょう くよう)(声:中山さら)
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- グラビティコレダー
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- 自分の武器を周りで激しく回転させ、バリアを張る。その後、バリアを二つに分け武器ごと敵に投げつける。投げつけられた武器は敵を上下から挟撃し、バリアの中を飛び交う。
- コレダービット
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- 自分の武器に電撃を溜めて敵に投げつけるチャージ技。
- ねねこ(声:仲西環)
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- カラミティリッパー
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- 自分の武器を激しく回転させ敵の攻撃を防ぐ。その後武器をいくつかに分裂させ敵に投げつけ、敵をたんざく切りにする。
- 超ごーっつい竜巻攻撃
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- 自分の武器を激しく回転させ竜巻を起こし敵を攻撃するチャージ技の一つ。
- シルク
- 夢世界でのみ登場する謎の女性。冷静沈着で、夢世界での智和たちの指南役となる。顔はマスクに覆われており不明だが。しかし、アニメのオープニングのぬいぐるみは智和が子供のころに持っていたもので、水着が七瀬と同じもの。
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- ハイドロパニッシャー
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- ターゲットをロックし、殲滅モードに移行する。このとき特殊なフィールドが発生し、敵の攻撃を無効化、敵を凍らせて動きを封じる。最後に自分の武器をとばし上下から挟撃し、敵を粉砕する。だが、アニメでは凍結作用がない。
- ハイドロプレッシャー
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- 自分の前に液体を集めて槍状にして放つ。
- ネイト(声:鈴木麻里子)
- ねねこと瓜二つの謎の少女。瞳の色がねねこの紫に対し緑色である。
- 斎藤メグミ(さいとう めぐみ)(声:田中かほり)
- みづきの友人。みづきとは対照的に活発なタイプ。なお、ゲーム版では苗字の設定がなく、声のみの登場である。
- コネコ(声:福圓美里(アニメ版のみ))
- ねねこが連れている黒い子猫。アニメのみのキャラクター。
- 石狩先生(いしかりせんせい)(声:稲田徹)
- 智和たちの担任。やたらとテンションが高く、何かにつけて智和にからむ。なお、ゲーム版では苗字の設定がなく、声のみの登場である。アニメではハイテンション以外にロリ好きで智和いじりを趣味にしている。ドッチボールで爆弾を使うもスイッチを押して10秒後に爆発するため周りの全員を巻き込んだ。
ゲーム版ではメグミ・石狩先生などサブキャラにはグラフィックがない。
ゲームの企画段階のタイトルは「ねこみみ袋」といい、ねねこに焦点を当てた命名となっている(みづき役の浅野は、このタイトルから『新耳袋』のようなホラーだと思っていたという)。正式タイトルの「ゆめりあ」は、「夢エリア」、「夢」+「リアル」から来ている造語である。
[編集] 主題歌
- 君がそばにいるから (オープニングテーマ)
- 歌:有島モユ
- 作詞・作曲:大津美紀
- 編曲:有澤孝紀
- 永い夢 (エンディングテーマ)
- 歌:有島モユ
- 作詞・作曲・編曲:大津美紀
[編集] メディアミックス
本作品は以下のとおり積極的なメディアミックス展開も行っている。
[編集] TVアニメ
BS-iで2004年1月8日から同年3月25日まで全12回放映。 スタッフ等についてはアニメ版特記事項の章を参照のこと。
アニメ化発表当初は、キャラクターデザインの印象がゲームとかなり異なるものであったこと(ゲームのぷにぷにした印象から、戦闘シーン向きの精悍な印象となったことや、七瀬が非常に老けていたことなど)から、原作ゲームファンの間で物議を醸した。またアニメ自体の評価も回によってかなり格差があったが、最終的にはまずまずの評価を得た。
[編集] コミック
桂遊生丸により月刊コミック電撃大王(メディアワークス)で連載され、2003年9月27日に単行本発売。
上記単行本発売後に続編が短期集中連載され、作者が同誌で発表した他のゲームの読みきりコミックと共に2004年6月27日に「ゆめりあ1/2(にぶんのいち)ゆきまるパック」として発売。
内容は主に現実世界での日常生活を描いたもので、柔らかな画風とキャラクターを生かした展開でおおむね好評であった。
その他の出版物として、資料・攻略本「ゆめりあ コンプリートガイド プラス ビジュアルファンブック」(ソフトバンクパブリッシング刊)や、コミックアンソロジーがある。
[編集] アニラジ「ゆめりあ夢気分R-side」
文化放送で2003年9月30日から放送(2004年4月2日からBSQR489に移行、同年9月終了)。 パーソナリティーは有島モユ(モネ役)・仲西環(ねねこ役)。
ゲーム内の「パワーチャージ」にちなみ、番組中で照明を消してパーソナリティーの一方が他方の体の指示された場所を触る「パワーチャージ レベルX」という異色のコーナーがあり、触られる方は悲鳴を上げて嫌がるため異様なテンションの高さで人気を博した。
2006年3月にBSQR489が閉局となることに伴い、過去の人気番組が1日限りの特番として復活したが、本番組も3月28日に1時間の生放送として復活した。「パワーチャージ レベルX」は3回も行われた。
ちなみに、「ゆめりあ夢気分」というのは上記の漫画連載に毎回付随していた1ページの特集コーナーのことであり、本番組はそのラジオ版という意味合いで命名されている。
[編集] ベンチマークソフト「ゆめりあベンチ」
Windowsで動作する萌え系ベンチマークソフト(PCの性能を計測するソフトウェア)の定番。公式サイトで配布された。
FFXIの公式ベンチマークに端を発する、ゲーム系ベンチマークソフトの一種だが、アニメ絵風の3D美少女がかわるがわる水着姿を披露するという内容もさることながら、ゲーム自体はWindowsに移植される予定がないにもかかわらず高解像度のベンチマークソフトを作ってしまったという点で話題を呼んだ。本作スタッフの、良い意味で無駄に力が入っている具合を象徴するものの一つ。
色物のように思われがちだが(海外ではPedophilemarkなどと呼ばれている)、CPUの性能に左右されずビデオカードの性能を忠実に反映するように作られており、またビデオカードのドライバのベンチマーク向け最適化の対象外と考えられることから、意外にも実用的なベンチマークとして一部自作PCユーザーの間で使われ続けている。
ベンチマーク機能のほかに、デモモードもあり、ゲーム中の一部のシーンをWindows上で再現することができる。
初期のバージョンでは、サポート外のビデオカードで実行した場合に著しく崩れた映像が表示されてしまう問題があった。とくにキャラクターの顔などが崩れるとホラー映画のような様相を呈することもあった。
すでに更新が停止しており、最新のビデオカードではそのままでは動作しないことがあるので注意。
[編集] プレイステーションBB「ナムコチャンネル」
プレイステーション2向けのネットワークサービス「プレイステーションBB」内の、ナムコが運営するサイト「ナムコチャンネル」(同名のウェブサイトとは無関係)において、ゆめりあの作品紹介(キャラクター紹介やムービーダウンロードなど)がある。
また、それ以外にもねねこを中心とする本作キャラが以下のように随所に登場する。
- 「ねねこチャンネル」というコーナーでねねこがお便りを紹介している(もっとも、更新回数は非常に少なかった)。
- ねねこたちがナビゲートする東京ゲームショウ2003/2004のレポートがある。
- メニュー画面で□ボタンを押しながらL1/R1ボタンを押すと、画面左に通常ランダムで表示されているナムコキャラクターが、KOS-MOSの外装をまとったモネ(通称コスモネ)に切り替わる。
- 以前は画面下の新着情報テロップがねねこの口調であった(現在はナムコチャンネル自体の更新が凍結されており定型文が流れるのみ)。
[編集] その他
携帯電話コンテンツとして、待ち受け画像や着信メロディに加え、デフォルメ3Dキャラクターを視点を変えて見ることのできるアプリ「ゆめりあちび」が提供されている。表示される3Dキャラクターはゲーム版のメモリーカード管理画面などで表示されるものとほぼ同じ。
[編集] アニメ版特記事項
[編集] スタッフ
- 原作:ナムコ
- 監督:元永慶太郎
- シリーズ構成:黒田洋介、上江洲誠(スタジオオルフェ)
- プロデューサー:中村伸一・中山佳久・小泉裕幸・赤倉一久・金庭こず恵・松田桂一
- キャラクターデザイン:西岡忍
- メカニックデザイン:森木靖泰
- アニメーション制作:スタジオディーン
- 美術監督:篠田邦宏
- 撮影監督:川口正幸
- 色彩設計:もちだたけし
- 音響監督:菊田浩巳
- 編集:松村正宏
[編集] 主題歌
- 24時間あいしてる (オープニングテーマ)
- precious treasure (エンディングテーマ)
- 歌:浅野真澄
- 作曲・編曲:SONIC DOVE
- 作詞:大森祥子
[編集] 関連リンク
- ゆめりあ.こむ(ゲーム公式サイト)
- アニメ版ゆめりあ公式ページ
- ゆめりあ夢気分R-side公式ページ
BS-i 木曜24:30枠 | ||
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