ギャルゲー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ギャルゲーとは、「ギャルゲーム」の略であり、主に魅力的な女性が登場することを売り物とするタイプのコンピュータゲームの俗称。
目次 |
[編集] 概要
「ギャルゲー」はしばしば「エロゲー(アダルトゲーム)」と同列のものとして扱われがちだが、大まかな違いとして、
- エロゲー
- 性描写を含むため、条例およびコンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)やコンテンツ・ソフト協同組合(CSA)(旧・メディア倫理協会)による審査の結果に基づき、規制の対象となっている(ソフ倫による指定でR指定=15禁もあり、こちらも年齢の下限による購入の規制があることから、含めることが多い)。
- ゲームやジャンルによっては性描写に加え、残虐な殺傷や犯罪(特に強姦や強制わいせつなどの性犯罪、および犯罪(者)を肯定する表現など)などの描写が付随するものもある。
- また「エロゲー」といった場合は「ギャルゲー」と違い攻略対象が女性である作品に限らず、男性同士の同性愛を描写する作品なども含まれる。
- ギャルゲー
- PCゲームの場合、ソフ倫の審査により「一般作品」としての指定を受けたソフト(例: 『卒業 ~Graduation~』、『CLANNAD』など)を指すが、現在のところコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)による審査を受けて発売されたケースがない。
- CEROに比べ、(便宜上の)全年齢対象として認定する基準がやや緩いため、ソフ倫に審査を依頼するケースが多いと思われる。
- 家庭用の場合、ほとんどのメーカーがCEROへ審査を依頼し、その結果に基づくレーティング制度を取り入れており、恋愛・セクシャル、その他の表現の度合いにより、ほとんどが「B 12才以上対象」・「C 15才以上対象」・「D 17才以上対象」の区分に指定されているが、「Z 18才以上のみ対象」の区分でもない限り、購入の規制とならない。
- (そもそもCEROで禁止しているが)ともに直接的な性描写を含むことはまずありえず、「Z」区分を受ける場合でも、流血などの暴力的な要素によることがほとんどである。
以上のような違いがあるが、一般的なギャルゲーの定義としては、後者のように購入の規制がなされない場合の方が多い。類似の概念に美少女ゲーム、萌えゲームがある。
[編集] ギャルゲーという区分
ギャルゲーと非ギャルゲーの差を明確に区別するのは、他の俗称ジャンルであるクソゲーなどと同様難しく、各プレイヤーの主観に拠る所が大だが、大まかな目安としてゲーム中に登場する女性キャラクターの有無によってゲームの内容・意味がある程度変化する事があげられる。しかし、キャラクター性を排除しても十分プレイに堪えうるようなゲーム性の高い作品も存在するため、やはりギャルゲーというジャンルは便宜上の区分として使われる事が多い。
- この区分の曖昧さだが、例えば、『サクラ大戦シリーズ』はギャルゲーであるとするプレイヤーと、ギャルゲーでは無いとするプレイヤーの双方が存在する。
なお、ギャルゲーの上位区分としてはキャラゲーが挙げられる。ギャルゲーはゲーム制作元のオリジナルキャラクターを使う事も少なくないが、キャラゲーは一般に流通している漫画やアニメといった作品のキャラクターを使用している点が異なる。しかし、元々俗称による区分でもあるため、やはり、この境界は曖昧である。
[編集] ギャルゲーの歴史
最初にギャルゲーと呼称されたゲームは、おそらくは『夢幻戦士ヴァリス』であろう。この頃のギャルゲー(前述ヴァリスのほか、同時期に発売された『アテナ』、『マドゥーラの翼』など)は、キャラクターを少女としただけのアクションゲームが多く、これらのキャラクターを男性やロボットなどに置き換えても、基本的なゲーム性が変化するものはほとんど無かった。ちなみに、これらのキャラクターは子供向けのゲームとしては露出度の高い衣装(いわゆるビキニアーマーなど)を纏っていることが多かった。また、そういうゲームに限って難度が異常に高かったり、ゲームバランスの悪いものも多かった。そのため1980年代に限って言えば、ギャルゲーは少女キャラクターの可愛らしさに寄りかかった、クソゲーの一種という風潮が強かった。
「ギャルゲー」と言う単語のゲーム雑誌で確認されている最古の使用例は、ファミコン通信1992年3月27日号の特集記事である。もっとも、この特集で取り上げられているのは『ヴァリス』を始め横スクロールのアクションゲームがメインであった。但し、パソコンではこの特集とほぼ同時期に『プリンセスメーカー』や『卒業 ~Graduation~』などの育成シミュレーションが登場している。この2タイトルはPCエンジンに移植され、同ハードの方向性を決定づけることとなった。
1994年には、男性向け一般恋愛シミュレーションゲームの先駆けとなる『ときめきメモリアル』(ときメモ)が発売される。『ときメモ』は大きな話題を呼び、このジャンルが一定の地位を確立するきっかけとなった。これに伴い、魅力的な女性が登場するゲームは恋愛シミュレーションゲームであることが多くなったことから、ギャルゲーという用語はこのジャンルのゲームを指すものとして用いられるようになった。1998年の『センチメンタルグラフティ』なども同様の形式で作られ、人気を博した。
2007年現在の状況では、アドベンチャーゲームやシミュレーションゲームのようなものが多いが、その他のジャンルでもギャルゲーと呼ばれる作品は存在する。ギャルゲーファン以外からも支持されるようなストーリー性の高い作品がある一方で、あくまで「魅力的な女性が登場することが売り物」だけの、設定やストーリーに少々無理がある作品も存在する。
[編集] ギャルゲーとアダルトゲーム
『同級生』以降、アダルトゲームにおいても擬似恋愛を扱う作品が主流となったが、これらの作品は従来のアダルトゲームに比べ性描写が少なく、ゲームの中身の大部分は女性キャラクターとの恋愛関係に至るまでの過程を描いたものであった。このことは、これらのアダルトゲーム作品においては性描写を削除してもゲームバランスを大きく損なわないことを意味しており、このためアダルトゲーム原作のコンシューマーゲーム移植されるギャルゲーが増加することとなった。この傾向は性描写が完全に従となり読者の感動を主目的とする、いわゆる泣きゲーが勢力を増すにつれてさらに顕著なものとなっている。
また、ベクターが運営するアダルトゲーム中心の情報サイトが『Galge.com』(ギャルゲ・ドット・コム)の名称を使用するなど、冒頭にもあるようにギャルゲーとアダルトゲームの区別はますます曖昧なものになりつつある。
[編集] 女性キャラの典型的属性
1人の男性キャラ(多くの場合、主人公のこと)に複数の女性キャラが特別な感情を抱く事から、ハーレムアニメにおけるヒロインの典型的属性とほぼ一致する場合が多い。
この部分は「ユーザーの多様な嗜好に合わせている」と言いたい所だが、実質的には漫画などの作品で利用されているストックキャラクターのパターンを、コンピュータゲームに応用したに過ぎない。特にオタクなどといった購買力に余裕のあるユーザーにアピールする上で、著名なイラストレーターや漫画家に、キャラクターデザインを依頼する傾向も見られる。
[編集] ギャルゲー雑誌(成年誌は除く)
- 刊行中
- 休廃刊
- Virtual IDOL(徳間書店インターメディア)※廃刊
- ギャルゲー雑誌の「はしり」とも言える存在。廃刊直前は判型を変え『Nadeshi-Co』に改題した。
- Game Fan(毎日コミュニケーションズ)※廃刊
- プリティファン(新声社)※廃刊
- 『ゲーメストEX』より派生。1997年4月~8月に計5号が刊行された。
- DearMy...(エンターブレイン)※『マジキュー』に吸収
- 『DearMy...』の前身は1995年と1997年に1冊ずつ刊行された『ファミ通』の増刊である『ファミ通Sister.』。
- RASPBERRY(ソフトバンクパブリッシング)※廃刊
この他、単発ないし数号しか出なかったものに『ヒロインゲームズ』(ソニー・マガジンズ、1997年に2冊刊行)・『ヒロインゲームコレクション』(集英社・『Vジャンプ』増刊、1998年9月15日発行)・『プリティグラフィック』(アクセラ・1998年に3冊刊行)がある。
「ギャルゲー」に対抗して「ヒロインゲーム」という呼称を定着させたい向きがあったことがうかがえるが、全く定着しなかったようである。