イオン銀行
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イオン銀行(仮称)とは、国内最大手の小売業グループであるイオンが、2007年度中に設立を目指している銀行のことである。2006年5月15日付で、イオン総合金融準備株式会社(いおんそうごうきんゆうじゅんび、AEON Financial Project Co., Ltd.)を準備会社として設立しており、免許取得次第、正式開業予定。資本金は25億円。
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[編集] 参入の背景
2006年3月10日、イオンは「銀行業への参入について」というタイトルで、正式に銀行業へ参入することを発表した。 流通業界では、イトーヨーカ堂やセブン・イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスが2001年にアイワイバンク銀行(現在のセブン銀行)を設立した。コンビニエンスストアのセブン・イレブン・ジャパンの店舗網を中心に、ATMを設置するというビジネスモデルで急成長を遂げ、100億円を超える利益(2005年3月期 108億円)をあげた。セブン&アイは手数料ビジネスで成功しており、総合スーパーは本業の小売り部門が依然として厳しく金融事業への参入によって収益力を高める狙いがあるのではないかと考えられている。 イオンは2005年夏ごろから、大手銀行との提携も視野に新銀行の青写真を模索してきたが、最終的に特定の金融機関の協力を求めず、独自で設立することになる。
[編集] 事業概要
イオン総合金融準備のデータ | |
統一金融機関コード | 未定 |
SWIFTコード | 未定 |
社長 | 片岡正二(かたおか しょうじ) |
店舗数 | 0店 (2006年9月11日現在) |
設立日 | 2006年5月15日 |
本店 | |
所在地 | 〒135-0051 |
東京都江東区枝川1丁目9番6号 住友不動産豊洲ビル2階 |
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外部リンク | 公式サイト |
主力取引銀行のみずほフィナンシャルグループに対し、経営陣の派遣やシステム面での協力を要請している(経営陣については、2006年9月11日付で、社長をみずほコーポレート銀行出身者から、副社長を旧UFJ銀行出身者から起用する人事を発表し、両氏は即日就任している(ただし、以前からイオン本体に顧問入りしていた)。発足当初からの代表取締役は、取締役として設立まで当面残留の見通し)。新銀行は、イオングループ傘下のイオンクレジットサービスのほか、大手銀行などにも出資を要請する計画である。 システム投資は約120億円になる見通しである。しかし、勘定系システムの構築が難航していることが日経コンピュータ2006年12月11日号により報道された。
利用客と対面でフルサービスを提供する、一般の銀行と同じレベルの銀行を予定している。インターネットバンキングやATMなど、一定の機能だけに特化している銀行とは異なり、イオンが抱える全国約450の総合スーパーをはじめとする各店舗と充実した顧客基盤、さらには、約1370万人ものカード会員を有する、イオンクレジットサービスなどの金融事業の基盤をフルに活用して、業務を展開する予定である。 なお、事業内容に関し、一部で「テナント業者への融資」も行うと発表されたが、イオン側はこれを否定し、個人向けに特化して業務を行うとしている。
- 主な業務内容(予定)
最近になって急速に普及した「生体認証技術」にも対応した多機能ICカードを活用するなど、付加価値の高い認証・決済基盤を提供する予定である。とくに、電子マネーを活用することで、イオンのグループ各社と異業種間の戦略的提携、顧客利便性の飛躍的向上、ならびに地域経済の活性化につながる決済サービス網の構築を可能にする考えである。
[編集] 中期目標(開業後5年を目標)
- 口座数 300万口座以上
- ATM台数 2000台以上
- インストアブランチ(スーパーなどの店舗内にある店舗) 60店以上
- 預金残高 6500億円以上
- 収益性 ROE 20%以上
※なお、開業3年後には単年度黒字を目標にしている。
[編集] 今後の展望
2006年2月末時点のセブン銀行の口座数が約31万口座なのに対し、イオン銀行が獲得目標に掲げる規模はその十倍の数字である。イオン側は、約1370万のカード会員や全国展開するショッピングセンターの来店客を取り込むことで「実現可能」と強気である。ただ、人件費や設備投資のかからないネット・ATM専業銀行に対し、イオンは支店を設けて3から4人の人員を配置するなど、あえてコストのかかりやすい運営形態を選択したといえる。収益の柱となるサービスも不明確なだけに、果たして十分な収益を確保できるのか、今のところは不透明である。なお、イオングループ傘下のコンビニであるミニストップには、すでに大手銀行や地方銀行の共同出資会社がATMを設置しており、イオン銀行のミニストップへのATM設置は「未定」という。
[編集] 外部リンク
[編集] 設立に関するイオン本体からのリリース
総合スーパー(GMS): | ジャスコ(イオン、イオン九州、琉球ジャスコ) | サティ(マイカル、マイカル九州) | ポスフール |
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スーパーマーケット(SM): | マックスバリュ(運営会社:北海道 | 東北 | 東海 | 中部 | 名古屋 | 西日本 | 九州) | ヤオハン(MV東海) | カスミ | ウエルマート | ジョイ|いなげや |
大型ショッピングセンター: | イオンモール | ダイヤモンドシティ | カルフール(イオンマルシェ) | マイカルタウン | ロックタウン・ロックシティ(ロック開発) |
百貨店・専門店: | ボンベルタ百貨店(ボンベルタ、橘百貨店) | ビブレ(マイカル) | フォーラス(イオン) | やまや | オリジン東秀 | タカキュー | ニューステップ |
ドラッグストア: | イオン・ウエルシア・ストアーズ | ツルハHD (ツルハ) | 寺島薬局 | ウエルシア関東 | ウェルパーク | クスリのアオキ | メディカル一光 | タキヤ |
その他小売業: | ホームセンター : ホームワイド(イオン九州) | サンデー | スーパーセンター : イオンスーパーセンター | CVS : ミニストップ | 書店 : 未来屋書店 |
その他: | イオンクレジットサービス | イオン銀行 | WAON | アイク | チェルト | イオンディライト | イオンファンタジー | イオンシネマ | ワーナー・マイカル・シネマズ |
*イオングループの主な企業、ブランドを掲載。運営企業とブランド名が異なる場合はブランド名を記載し、括弧内に企業名を掲載。