ショッピングセンター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ショッピングセンターは、ショッピングモールとも呼ばれる、同一商圏の小売店舗が集まった商業施設である。略称は「SC」
単独出店と比べ、顧客吸引力が強くでき、駐車場や荷捌き施設などが共用できる。また、開発業者が建物を所有する形態であると小売業者の初期投資が軽減できる。
目次 |
[編集] 歴史
1922年に米国のカンサスシティで始まった、不動産業者J.C.Nicolsによるカントリー・クラブ・プラザが最初のものといわれている。その後の1950年前後からは車社会化と郊外住宅の発展を背景として、1948年にはオハイオ州コロンバスの不動産業者Doncasterが開いたタウン・アンド・カントリー・ショッピング・センター、ワシントン州のシアトルでJ.B.Douglasが開いたノースゲート・ショッピング・センターが今日のショッピングセンターの原型となった。
その後、1956年にDayton Hudsonがミネアポリス郊外に、最初の完全な共同店舗型のモール(下記参照)としてサウスデール・センターを開いた。これは一個の街と呼べる巨大なもので、駐車場が広い上、ミネソタの厳しい冬でも快適に多数の店を回る買い物ができるため、ミネアポリス都市圏のみならず複数の州から買い物やイベントを楽しむ客が集まった。
1981年にカナダのアルバータ州エドモントンに開業したウェスト・エドモントン・モールは1998年に第4期工事が完成した段階で総床面積49万3000平方メートル、店舗数800超でホテル、遊園地、水族館等を備え、年間二千万人の入場者を数える大規模なもので、世界最大のショッピングセンターとしてギネスブックに記載された。[1] [2] 2004年以降中国各地に更に大規模なショッピングモールが建設されている。[3]
1969年に東京都世田谷区の二子玉川に玉川高島屋がオープンしたものが、日本で最初のショッピングモールであるといわれている。
1980年代以降、日本においても車社会化の進行で、郊外や農村部の幹線道路沿いの田畑を埋め立てて広大な敷地を確保した大型ショッピングセンター(モール)の出店が盛んになった。特に日米構造協議や規制緩和を経て、大規模小売店舗法(大店法)が廃止され、大規模小売店舗立地法(大店立地法)が制定された2000年以降、モールの数は大きく増えた。しかしながら大型商業施設が商店街や近隣自治体に悪影響を与えるとして、大店立地法を改正し、店舗面積1万平方メートルを超える郊外型施設について法規制を及ぼすことが検討されている。
[編集] 商圏人口による分類
商圏人口にあった業態が出店しないと顧客の獲得に支障がある。
名称 | 商圏人口 | 購買頻度 | 出店業態の例 |
---|---|---|---|
ネイバーフット(NSC 近隣型) | 1万人以上 | 一週間に2回以上 | 食品スーパーマーケット・ドラッグストア・クリーニング店・バラエティストア・ファーストフード店・美容室・診療所 |
コミュニティ(CSC 地域型) | 7万人以上 | 一ヶ月に2回以上 | スーパーセンター・ディスカウントストア・カジュアル衣料品店・スーパーウエアハウスストア・書店・レンタルビデオショップ・英会話教室 |
リージョナル(RSC 広域型) | 30万人以上 | 一年に4回以上 | ゼネラルマーチャンダイズストア・高級衣料品店 |
スーパーリージョナル(SRSC 超広域型) | 50万人以上 | 一年に4回以上 | 百貨店(デパート)・高級ブランド店・宝石貴金属店 |
[編集] 建物の形態
[編集] エンクローズドモール
エンクローズドモール(共同店舗型)とは、全天候型の屋根つきショッピングセンターで、店をつなぐ通路を含めて建物内にすべてが収まる形態のショッピングセンターである。後述のオープンモールに比べ建設にかかる費用が大きくなるため、主に気候の厳しい地域やRSC、SRSCなど大規模な施設で用いられる。日本では集客の見込める土地は駅前など用地に制限のある場合が多く、多層構造にする必要があったため、この形態でのSCが多かった。
日本では、かつては駅前など公共交通機関での便がよい場所に比較的高層の建物を置き、半分を百貨店や総合スーパー、半分を専門店街と分けた「箱形」のSCが主流であったが、平成に入りモータリゼーションが進行したことによって、幹線道路沿いなど自動車での行き来がしやすい農地や工場跡地など広い場所に低層の建物を置いたSCが主流となった。特にジャスコなどの総合スーパーを核店舗、カテゴリーキラー等集客力のある大型店舗を準核店舗とし、これらを1本の専門店街でつなぐ2核1モールの形態が主流となっている。近年ではイオン岡崎ショッピングセンター(西武百貨店)、ダイヤモンドシティ・プラウ(阪急百貨店)、ダイヤモンドシティ・ミュー(三越)等の百貨店とGMSの形態の模索も続いている。アメリカでは核が3つ以上のモールも多く見られる。また、専門店モールを中央に円形になるようにまとめ、その周辺に核となる施設を置くサーキットモールもアメリカを中心に設置されている。ららぽーと豊洲や京阪電鉄のくずはモールはこれに近い形態となっている。
基本はエンクローズドモールながら、屋根を置かないなどオープンモールの要素も取り入れているモールもある。
[編集] 駅ビル
駅ビルとは、日本で独自の発展を遂げたSCの一形態である。都心のターミナル駅や乗換駅など乗降の多い駅を中心に設置されている。ホテルや百貨店が併設される例が多い。
[編集] オープンモール
オープンモール(独立店舗型)とは、駐車場を取り囲むように建物が並んでいて、顧客が目的とする店舗の近くに駐車できる形式である。建物の費用が安く、顧客の歩行距離が短く短時間で買い物が出来るので、NSCやCSCの形態で用いられるほか、日本のアウトレットモールの多くはこの形態である。
近年、アメリカで流行しているライフスタイルセンターはこの形態で、核となる店舗を置かず複数の有力専門店を配置し、高年齢層をターゲットとした比較的高額な商品を取り扱うショッピングセンターである。
また、多くのカテゴリーキラーを置くパワーセンターもオープンモールの一種である。
[編集] 立地
大型モールの場合、駐車場のスペースを確保する必要があることから、鉄道駅や中心市街地からは離れた郊外への出店が多い。都市部においては土地の制約などから鉄道駅に併設、あるいは地下街の形態が多い。
[編集] 関連項目
- 電子商店街(サイバーモール、電子モール)
- アウトレットモール
- スーパーマーケット
- 日本のショッピングセンター一覧