インターネットオークション
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インターネットオークションとは、インターネットなどの通信媒体を利用した競売(オークション)であり、ネットオークションと略称されることもある。
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[編集] 概説
1990年代以降、インターネットなどの通信媒体を利用したネットオークションサイトが登場し、一般の人でも手軽に出品や入札ができるようになった。日本ではYahoo! オークション(1999年9月サービス開始)が国内最大手として有名で、他にも楽天やビッダーズなど、検索サイトやオンラインショッピングサイトが独自のサービスを展開、利用者を集めている。近年ではKDDIがauオークションを提供し、NTTドコモもオークション事業に進出するなど、携帯電話によるオークションも活発化している。
なお、ネットオークションサイト世界最大手のeBay(イーベイ)も2001年に日本へ進出したものの、日本では先行していたYahoo!に太刀打ちできず、2002年3月限りで撤退した。ちなみにYahoo!の場合、2000年代初頭に於いて毎日のべ700万件以上の物品が出展されているといわれる。現状ではYahoo!オークションが圧倒的に有名であり、かつ利用者も多い。出品手数料が3%から5%に引き上げられたがそれでも尚、利用者は大幅に減らずに取引が続けられている。この理由としてYahoo!オークションの知名度が高く、出品者、利用者双方とも集まりやすいためといわれている。
また、オークションサイトのシステム上で、出展者が落札者を・落札者が出展者を相互に評価できるシステムがあり、これによって落札者と出展者が、双方信頼しあった上で売り買いする事ができるよう配慮されている。
1999年から不動産オークションが解禁され、近年の不動産投資ブームとあわせて注目されており、今後さらなるオークション市場の広がりが予想される。
[編集] ネットオークションの問題点
ネットオークションは数々の問題点をはらんでいるが、どれも抜本的な対策はなされていない。
[編集] 詐欺・違法出品
出品者の本人確認が不十分なオークションサイトも多々あり、実際に販売する商品が存在しない・提供する意思すらないにもかかわらず商品を提示して、先払いなどで振り込ませた代金を騙し取る詐欺行為(→オークション詐欺)や、以下のような違法な商品が出品されるケースも見られる。
特に、違法な商品を出品する際、実物の名称をそのまま出すと即座に通報されて逮捕=有罪となるため、一般に聞き慣れない隠語や符丁などの暗号を用い、別の商品に見せかけるケースが後を絶たない。
- 個人の著作権を侵害するものについてはほとんど問題にされない。
- 偽造金券類で有価証券偽造罪に該当するもの
- 非合法なチケット転売
- 盗品または盗品の疑いがあるもの(盗品ではない、という事実を証明できないもの)で、盗品等関与罪に該当するもの
- 麻薬、覚せい剤、シンナー、トルエンなどの違法な薬物全般(市販されている医薬品の出品も禁止されている)
- 拳銃、ライフル、散弾銃や日本刀などの銃砲刀剣類=銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に違反するもの
- 無修正の裏ビデオや児童ポルノなどの猥褻物(使用済み下着、制服などの出品も禁止されている)
また自転車操業で、客から代金振込みを待って商品仕入れする業者も見られ、このようなケースでは業者が破綻した際に、先に振り込んだ代金が業者の持つ負債により、業者ごと「消える」という事態も発生している。
最近ではオークションサイトを運営する企業側の管理責任も社会的に取りざたされはじめ、Yahoo!オークションにてプレミアムショップとして登録された業者を利用し詐欺に遭った被害者573人がヤフーにも管理責任があるとして、約1億円の損害賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こしている。
2006年12月には、Yahoo!オークションストアに登録していた「家電ドットコム株式会社」が落札金額を受け取っておきながら商品を発送しないという被害が急増。落札件数は1,713件、落札総額は約1億9,440万円に達するとしている。そのうち、被害を受けたのは989件、被害総額は約8,786万円としている。Yahoo!側は被害に対して補填すると説明した。
オークションサイトの相互評価システムを悪用したケースも見られ、悪質な出展者が複数取得した自分の・またはフィッシング詐欺等で盗んだアカウント(利用権)を使って、あたかも優良な出展者であるかのように自己評価を上げたりした事例では、数多くの優良な取引実績のある出展者だと誤認、騙されるケースも出ている。なお、このようなケースでは、評価が書き込まれている時間が不自然な時間帯(平日の昼間など)に集中している・評価内容の文章や評価者の自己紹介プロフィールに不自然な点が見られる等の特徴も見られる。
警察としてもこれら詐欺行為に対し捜査はしているものの、詐欺者が今まで取引されたオークション全てを調査しなければならず、多量の時間を掛けなければならない為に、警察でもほとんど立件出来ないのが現実で、被害者も泣き寝入り状態であり、早急な法改正や本人確認の強化が必要だといわれている。
なお、不動産や中古車のような高額かつ購入後に公機関への諸手続き(登記、ナンバープレートの登録など)が必要な商品のネットオークションでの購入については、出品者の対応以外にも、できれば現地に出向いて実物をチェックするなど慎重に進める方が良い。
ちなみに盗品が出品されているのに気付いた被害者が、オークションサイトの管理側に訴え出たにも拘らず管理側の対応が遅く、結局として盗品を出品した人物に逃げられてしまうとのケースも発生している。当初はそういった違法行為向けの対策が全くなされていなかったが、現在Yahoo!オークションでは知的財産権保護プログラムを導入している(参考リンク)。ただ、これらの対応も被害者が届け出て初めて判明するケースも多く、相当数の盗品・不正流通品などが出回っている可能性もある。
[編集] 転売行為
違法なもの(盗品、偽造、著作権侵害など)ではないが、地域やイベント等での限定販売や市場で品薄の商品などに対し、始めから転売目的で買い占め、オークションサイトで定価(または希望小売価格)以上にはるかな高額を付けて出品するダフ屋的行為もたびたび見受けられる(特に同人誌に多く、本格的な同人ショップ[1]の店舗がない地方の在住者にとっては購入のチャンスとも言える)。特にプレイステーション3については、発売された際にテレビや新聞などのニュースなどで「インターネットオークション転売目的で購入していった者も多い」と報道された。[2]こういった転売目的の人物に対し『転売屋』『テンバイヤー(転売+バイヤー)』と呼ばれている。また、プレイステーション3以前でもTBSのがっちりマンデーで転売を肯定的に放送した事もある。
他にも、金品やその他のトラブルの原因となりかねないという理由から製造者や権利者側での判断でオークションへの出品を禁止するよう呼びかけているものもあるが、(偽造や盗品などでもない限り)法的には問題ないものなので、実状は黙認され続けているという問題がある。
- コミックマーケットのサークルチケット(出展サークル専用通行証)
- コミックマーケットの開催1ヶ月ほど前から多数出品され、数万円単位で落札されるものが多い。
- コミックマーケット準備会はオークションなどへの転売は認めておらず、チケットには「本通行証の売買・交換(金品を代価とする譲渡)を禁止」すると記載されている。
- →コミックマーケット#サークルチケット転売問題に詳しい。
- 企業との規約で売買を禁じている物(景品、会員ポイント、オンラインゲームのβ版アカウント等)
これらの行為に対しては「行けなかったイベントの限定品や地方によって手に入りにくい商品が買える」と肯定する側もいれば、「本来購入を望む者(地方の在住者)に商品が適正な価格で行き渡らず、暴利を助長する」と非難する側もいるため、賛否両論に分かれている(送料や手数料など多少の割増を加えるなら、適正な範囲の価格ではないか、とする声もある)。
[編集] 個人情報の漏洩
オークションに参加すると取引相手に相当量の個人情報を開示する必要性が出て来る為、どうしても個人情報が漏洩する可能性が発生してしまう。取引がうまく進まなかった場合などに、匿名掲示板に取引相手の個人情報を報復的に書き込む者すらいる。ただ日本ではプロバイダ責任法もあるため、誹謗中傷などを働いた場合に、逆に報復を行った側が訴訟を起こされ更に苦境に立たされる可能性もある。
こういった問題は個人情報保護法の施行にも伴い個人情報漏洩に対する一般の警戒心もあり、これに対応した輸送・決済サービスも登場してきている。[3]
[編集] RMTとネットオークション
その一方欧米を中心として、MMORPGなどのアイテムをオークション等で売買するリアルマネートレーディング(RMT)(実際の通貨でオンラインゲーム上のアイテムを売買する行為)が盛んに行われている。これらでは専業ゲーマーもいると見られているほどで、毎日のように架空の物品であるゲームアイテムの売買が行われ、中には「ゲーム上の架空の島」を26,500ドルで落札というニュースも報じられている。
ただその一方で、RMTに絡むトラブルも後を絶たない。これらゲーム上のアイテムは、その画像の著作権はゲーム会社に在るのでオークションサイト上に表示させられないし、その商品となるアイテムも、単にゲーム会社が管理するサーバー上のデータに過ぎない。このため「商品がある」という出店者の言葉を信じるほか無い。
出展者の言葉を信じて代金を振り込み、ゲームに接続して指定された引渡し場所(ゲーム上の仮想現実的な空間である)にて、待てど暮らせど出店者が現れない…などというトラブルも報告されている。
更に悪質なものとしては、オークション被害者を集めた自称NPO法人が作られるもそのNPO法人代表のひとりがオークション被害者から集めた金を持ち逃げし、オークション被害者にとっては2重の被害を生むことになった悪質NPO法人ターゲスト(現在はNPO法人ではなくなっている)がある。
- 詳しくはリアルマネートレーディングの項を参照されたい。
[編集] 社会貢献とネットオークション
とかく悪いイメージが多く先行してしまっているが、良い面としてはチャリティーオークションなども開催され、著名人が自身の所有物を出品したり、貴重な物品が善意で寄贈される・関係者が寄付を募る代わりに学術上の命名権を商品として出展するという形で競売することにより社会貢献を行ったり、自然保護活動の資金が集められたりもしている。
この他には2004年度よりYahoo!と東京都が共同して都税の滞納者から差し押さえた自動車・宝飾品などの資産をYahoo!オークションにて競売を行ったり、コレクターの間でも貴重なコインと注目度の高い種類の物で、所有権が国にある貨幣を出展し、その収益を特別に歳入として扱うことで国庫を潤したりといった、社会貢献の場としても役立っている。
近年では更にこの方向性は進歩しており、都道府県や市町村などの地方公共団体が税金の滞納者から差し押さえた財産などを公売する際にネットオークションのシステムを利用してのサービスが展開されている。
[編集] 通信販売とネットオークション
ネットオークションサイトは、電子ショッピングモールのような形での小売業者による通信販売用に利用されることもある。
これらでは独自に電子ショッピングモールの決済システムを持たないサイトでも、オークションサイトの提供するシステム等により、決済しやすいという特徴があり、また自サイトへ宣伝活動などを通して客を誘導しなくても、客の側から商品を検索して探し当ててくれる率が高くなる(特にオークションサイトでは、そのシステム上で扱う出展物品別に細かくカテゴリーが分けられている事が多い)ため、宣伝広告費を削減できるメリットがある。
その一方で消費者側にとっても、店舗の客が残した評価の履歴があるため、客観的にその商店が信頼できるかどうかを判断する材料となる。サイトによっては先に挙げたサイト運営側の責任もあって、不誠実な出展者により落札者が損害を被った場合に、これを保証する制度を持つ所もあるため、初めての業者を利用する際の、通販(特にオンライン通販)にありがちな不安を解消する事も出来る。[4]
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 厳密な定義が敷かれているわけではないが、コミックとらのあなやメロンブックスくらいの規模を有する店舗で、かつ同人誌に適正な実売価格が設定されているショップを指す(特に秋葉原のショップにおける実売価格を適正価格の基準とすることが多い)。
- ^ 2007年1月頃から品薄が解消される方向へ向かい、現在は希望小売価格通りの価格で販売されている。
- ^ 例えば楽天市場では2006年秋より郵政公社と共同で、楽天IDのみでエスクローサービスの郵便物が届くサービスを開始([1])しており、物品の売り手・買い手双方が相手側に住所が知られることのないようになっている。
- ^ なお日本では、個人が自身の所有物を中古品として売買する場合は特に問題無いが、業務として中古品を購入する場合には、古物商として公安委員会に申請し、許可を受ける必要がある。その場合は取引の際に古物商登録(許可)番号を客に提示しなければならない。
[編集] 外部リンク
主なオークションサイト
- 日本
- 海外
- eBay(世界最大のオークションサイト。一時期日本進出も試みたが撤退)
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