インディ・レーシング・リーグ

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インディ・レーシング・リーグ（Indy Racing League、IRL）はモータースポーツの1カテゴリー。フォーミュラカー（オープンホイール）を使用した四輪レースであり、F1に似たカテゴリーである。アメリカ合衆国を中心に転戦し2003年より日本でも開催されている。

[編集] 概要

1994年にインディ500を開催するインディアナポリス・モーター・スピードウェイ (IMS) の社長であったトニー・ジョージが1996年よりIRL発足を表明し、同年CARTから分離独立する形で発足したシリーズでF1と同様にオープンホイールマシンによりチャンピオンシップを争うレースである。

特徴はインディ500を頂点に据えた、オーバルトラック専門シリーズである。（2005年よりロードコースレース進出を発表）発足当初はCARTのマシンを使用していたが、1997年以降は独自のレギュレーションにより運営。発足当初はCARTに比べマイナーなカテゴリーであったが、2003年よりホンダ、トヨタが揃ってCARTよりIRLへ移籍表明を行ってからはそれまでの有力CART参戦ドライバー、チームも挙って移籍に追随し、一気に北米フォーミュラーレースのメジャーへと取って変わった。これも伝統のインディ500を持つ強みからである。ちなみに日本でもそれまで1998年より毎年栃木県茂木町のツインリンクもてぎで開催されてきたCARTのレースを2003年よりIRLに変更し、インディジャパン300として開催。これによりIRLの初のアメリカ以外での開催進出となった。

現在、IRLとはFIAと同様に運営団体としての名称であり、今まで行われてきたシリーズはインディ・カー・シリーズに名称が変更されている。

またインディ・カー・シリーズの下にはインディ・プロシリーズ（2002～2005年まではインフィニティ・プロシリーズ)というカテゴリーが形成され、インディ・カーへのステップアップカテゴリーとしてIRLの下に運営されている。

この両カテゴリーを運営統括する団体の名称として2004年から変更されている。

[編集] 車体

シャーシ、エンジンはチームがメーカー製造のものを購入して組み合わせて使用する。シャーシはレギュレーションにより3社まで供給可能だが現在ダラーラとパノスGフォースの2社のみの供給。タイヤはファイアストン (ブリヂストングループ) のみの供給となっている。これらはレース参戦コストを上げない為にレギュレーションで価格上限が＄309000と決められている。2003年よりシャーシ部門のコンストラクター、エンジン部門のマニファクチャーの両タイトルが制定された。

エンジンはシリーズ発足当初はCART同様の2.65リッター・V8ターボエンジンを使用していたが、1997年より3.5リッター・NAのV8エンジンに変更。2002年まではシボレーとインフィニティ（日産）の2社がエンジンを供給していた。インフィニティは2002年限りで撤退するが、2003年よりトヨタ・ホンダが新規参入して3社体制となったほか、同年のシーズン途中からはシボレーエンジンの開発をコスワースが担当するようになった。その後高速化に歯止めをかける目的から、2004年の第4戦（インディ500）からはエンジン排気量の上限を3リッターに改めている。

しかし、2005年限りでシボレーが撤退したほか、トヨタも2006年限りでの撤退を発表したため、ペンスキー、チップ・ガナッシなどの有力チームが軒並みホンダ陣営への鞍替えを発表。このためトヨタも予定を1年前倒しして2005年限りで撤退し、2006年はホンダのワンメイクとなることが決定した。

燃料はシリーズ発足から一貫してCARTと同じメタノールを使用してきたが、環境問題への配慮から2007年よりエタノール98%・ガソリン2%の混合燃料に切り替えられた（準備段階として、2006年シーズンはメタノール90%・エタノール10%の混合燃料を使用）。エタノールへの変更によりエンジン出力が約１割程低下するため、合わせてエンジン排気量が3.5リッターへ変更された。

車体セッティングとしては、「スタッガー」と呼ばれる、オーバルトラック周回専用の調整を行なうことが多い。これは、

デファレンシャルギアの固定化
左右で直径の異なるタイヤの着用
右側は固め・左側は柔らかめのサスペンション設定

により、ステアリングを切らなくても自然に左側へ曲がっていく調整を目的としている。そのため、直線区間ではドライバーは右にステアリングを切らなくてはならない。

[編集] 歴代チャンピオン

**IRLドライバーズ・チャンピオンシップチャンピオンとインディ500勝者**
年	チャンピオン	国籍	インディ500勝者	国籍
1996年	バス・カルキンズ	アメリカ合衆国	バディ・ラジアー	アメリカ合衆国
(＊)	スコット・シャープ	アメリカ合衆国
1997年	トニー・スチュワート	アメリカ合衆国	アリー・ルイエンダイク	オランダ
1998年	ケニー・ブラック	スウェーデン	エディ・チーバーJr.	アメリカ合衆国
1999年	グレッグ・レイ	アメリカ合衆国	ケニー・ブラック	スウェーデン
2000年	バディ・ラジアー	アメリカ合衆国	ファン・パブロ・モントーヤ	コロンビア
2001年	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ合衆国	エリオ・カストロネベス	ブラジル
2002年	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ合衆国	エリオ・カストロネベス	ブラジル
2003年	スコット・ディクソン	ニュージーランド	ジル・ド・フェラン	ブラジル
2004年	トニー・カナーン	ブラジル	バディ・ライス	アメリカ合衆国
2005年	ダン・ウェルドン	イギリス	ダン・ウェルドン	イギリス
2006年	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ合衆国	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ合衆国

(＊)1996年はポイント同点により2人のチャンピオンが生まれている

**IRLコンストラクターとマニファクチャラーチャンピオン**
年	コンストラクター	マニファクチャラー
2003年	ダラーラ	トヨタ
2004年	ダラーラ	ホンダ
2004年	ダラーラ	ホンダ
2005年	ダラーラ	ホンダ

[編集] 開催日程と優勝者

1996年発足当初は3戦のみという少なさだったが翌1997年から拡大、さらに2005年はロードコースへ進出した。また2003年からアメリカ以外での初開催として日本がカレンダーに組み込まれている。

[編集] 2007年シーズン

	決勝日	イベント名	開催州名	コース種別	勝者	国籍	チーム	シャーシ/エンジン
1	3月24日	ホームステッド/マイアミ	フロリダ州	オーバルコース/ナイトレース	ダン・ウェルドン	イギリス	チップ・ガナッシ・レーシング	ダラーラ/ホンダ
2	4月1日	セント・ピーターズバーグ	フロリダ州	市街地コース	エリオ・カストロネベス	ブラジル	チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
3	4月21日	もてぎ	日本・栃木県	オーバルコース
4	4月29日	カンザス	カンザス州	オーバルコース
5	5月27日	インディアナポリス	インディアナ州	オーバルコース
6	6月3日	ミルウォーキー	ウィスコンシン州	オーバルコース
7	6月9日	テキサス	テキサス州	オーバルコース/ナイトレース
8	6月24日	アイオワ	アイオワ州	オーバルコース
9	6月30日	リッチモンド	バージニア州	オーバルコース/ナイトレース
10	7月8日	ワトキンス・グレン	ニューヨーク州	ロードコース
11	7月14日	ナッシュビル	テネシー州	オーバルコース/ナイトレース
12	7月22日	ミッド・オハイオ	オハイオ州	ロードコース
13	8月5日	ミシガン	ミシガン州	オーバルコース
14	8月11日	ケンタッキー	ケンタッキー州	オーバルコース
15	8月26日	インフィネオン	カリフォルニア州	ロードコース
16	9月2日	デトロイト/ベル・アイル	ミシガン州	市街地コース
17	9月9日	シカゴランド	イリノイ州	オーバルコース

[編集] 2006年シーズン

	決勝日	イベント名	開催州名	コース種別	勝者	国籍	チーム	シャーシ/エンジン
1	3月26日	ホームステッド/マイアミ	フロリダ州	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	チップ・ガナッシ・レーシング	ダラーラ/ホンダ
2	4月2日	セント・ピーターズバーグ	フロリダ州	市街地コース	エリオ・カストロネベス	ブラジル	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
3	4月22日	もてぎ	日本・栃木県	オーバルコース	エリオ・カストロネベス	ブラジル	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
4	5月28日	インディアナポリス	インディアナ州	オーバルコース	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
5	6月4日	ワトキンス・グレン	ニューヨーク州	ロードコース	スコット・ディクソン	ニュージーランド	ターゲット・チップガナシ	パノス/ホンダ
6	6月10日	テキサス	テキサス州	オーバルコース/ナイトレース	エリオ・カストロネベス	ブラジル	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
7	6月24日	リッチモンド	バージニア州	オーバルコース/ナイトレース	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
8	7月2日	カンザス	カンザス州	オーバルコース	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
9	7月15日	ナッシュビル	テネシー州	オーバルコース/ナイトレース	スコット・ディクソン	ニュージーランド	ターゲット・チップガナシ	ダラーラ/ホンダ
10	7月23日	ミルウォーキー	ウィスコンシン州	オーバルコース	トニー・カナーン	ブラジル	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
11	7月30日	ミシガン	ミシガン州	オーバルコース	エリオ・カストロネベス	ブラジル	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
12	8月13日	ケンタッキー	ケンタッキー州	オーバルコース	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/ホンダ
13	8月27日	インフィネオン	カリフォルニア州	ロードコース	マルコ・アンドレッティ	アメリカ	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
14	9月10日	シカゴランド	イリノイ州	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	ターゲット・チップガナシ	ダラーラ/ホンダ

[編集] 2005年シーズン

	決勝日	イベント名	開催州名	コース種別	勝者	国籍	チーム	シャーシ/エンジン
1	3月6日	ホームステッド	フロリダ州	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
2	3月19日	フェニックス	アリゾナ州	オーバルコース	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/トヨタ
3	4月3日	セント・ピーターズバーグ	フロリダ州	市街地コース	ダン・ウェルドン	イギリス	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
4	4月30日	もてぎ	日本・栃木県	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
5	5月29日	インディアナポリス	インディアナ州	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
6	6月11日	テキサス	テキサス州	オーバルコース/ナイトレース	トーマス・シェクター	南アフリカ	パンサー・レーシング	ダラーラ/シボレー
7	6月25日	リッチモンド	バージニア州	オーバルコース/ナイトレース	エリオ・カストロネベス	ブラジル	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/トヨタ
8	7月3日	カンザス	テキサス州	オーバルコース	トニー・カナーン	ブラジル	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
9	7月16日	ナッシュビル	テネシー州	オーバルコース/ナイトレース	ダリオ・フランキッティ	スコットランド	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
10	7月24日	ミルウォーキー	ウィスコンシン州	オーバルコース	サム・ホーニッシュJr.	アメリカ	マールボロ・チーム・ペンスキー	ダラーラ/トヨタ
11	7月31日	ミシガン	ミシガン州	オーバルコース	ブライアン・ハータ	アメリカ	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
12	8月14日	ケンタッキー	ケンタッキー州	オーバルコース	スコット・シャープ	アメリカ	デルファイ・フェルナンデス・レーシング	パノス/ホンダ
13	8月21日	パイクスピーク	コロラド州	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
14	8月28日	インフィネオン	カリフォルニア州	ロードコース	トニー・カナーン	ブラジル	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
15	9月11日	シカゴランド	イリノイ州	オーバルコース	ダン・ウェルドン	イギリス	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ
16	9月25日	ワトキンス・グレン	ニューヨーク州	ロードコース	スコット・ディクソン	ニュージーランド	ターゲット・チップガナシ	パノス/トヨタ
17	10月16日	フォンタナ	カリフォルニア州	オーバルコース	ダリオ・フランキッティ	スコットランド	アンドレッティ・グリーン・レーシング	ダラーラ/ホンダ

[編集] 日本人ドライバーの参戦(IRLとその下部リーグのみ,旧CART除く)

2007年IRL参戦

松浦孝亮(2004年ルーキーオブザイヤー)

2007年PROシリーズ参戦

武藤英紀

過去参戦していたドライバー

松田秀士
高木虎之介（2003年インディ500ルーキーオブザイヤー）*
中野信治
服部茂章
レーサー鹿島

[編集] テレビ中継

日本では日本テレビとGAORAが中継を行っている。
日本テレビでは2002年までCARTの中継を行っていたが、ホンダ・トヨタが共にIRLに移ったこと、またツインリンクもてぎでの開催がIRLに移った事から、2003年からIRLの中継を行っている。
2002年以前はシリーズ戦中継は行われていないがインディ500のみTBSやテレビ朝日にて放送されていた。
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