ガン=カタ
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ガン=カタ (Gun Kata) とは、2002年製作のアメリカ映画『リベリオン』(原題: "Equilibrium")の劇中に登場する架空の武術。
意味は「ガン(銃)」と武術の「型(カタ)」を組み合わせたもので、二挺の拳銃を使用し、近接戦闘に持ち込む事で多数の敵を短時間で射止める戦闘技法である。あらゆる戦闘の統計学的データも反映されており、人間に銃弾を避けることが不可能ならば『撃たれる前に避けてしまえ』というコンセプトのもと、いかに銃弾を浴びにくい位置に移動・回避するかといった戦略的技能・卓越した空間把握能力が要求され、刀剣・格闘戦の技能も達人は組み合わせて使いこなすという。
考案したのは『リベリオン』の監督であるカート・ウィマー。敵の眼前に姿を晒したり、敵に非常に接近したりしての銃撃戦を可能にし、ガンアクションの新たな地平を開拓した。
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[編集] 戦闘方法
ガン=カタは"グラマトン・クラリック"という特殊捜査官が使用する戦闘術であり、第三次世界大戦までの戦闘データを反映し、いかに相手の死角に回り最大の攻撃をしつつ最大の防御をするかという事を念頭に置いている。
基本的にはベレッタM92を改造したクラリックガンを両手に持つ二丁拳銃の状態で使用した密接近距離~中距離程度の銃撃戦を想定したものだが、アサルトライフルを使用した遠距離戦や、日本刀(もしくはそれに類似した形状の刀)やクラリックガンによる直接的な打撃による格闘戦も可能であり、熟練した「第1級クラリック」である主人公が、クラリックガンをハンマーのように扱う技撃のみで、アサルトライフルを装備した兵士6人を倒してしまうシーンがある。クラリックガンの銃口には打撃用の突起があり、グリップには近接打撃用の小さな突起が出るギミックが装備されている。
ガン=カタと呼ばれているため銃による射撃がメインに思えるが、あくまで銃を使用した格闘戦であり、銃は格闘戦の補佐の役目をしているだけとも言える。また接近戦では刀やナイフなどの近接武器の方が銃よりも圧倒的に速く攻撃できるため、クラリックは刀による近接戦闘術も学び、ガン=カタと併用して使うことで刀による攻撃も驚異的な戦闘能力を発揮する。
ガン=カタの最大の特徴はマスターすれば飛躍的に戦闘力が上がる事である。どんな武術でもマスターすれば戦闘能力が上がるのは当たり前だが、ガン=カタは基礎の動きをマスターするだけで攻撃力(攻撃の能率)は少なくとも220%になり、また一撃必殺の技量も63%増加して、容易にやられることはない存在になる。さらに第1級クラリックになればその戦闘能力は計り知れないものになる。(日本語吹き替え版では、「攻撃力が少なくとも120%増加、その半分程度でも脅威になる」と攻撃力220%と攻撃力160%の話をしているような訳になっていた)
2006年には、カート・ウィマー監督による『ウルトラヴァイオレット』が公開され、ガン=カタが再び使用されている。主演が女性のため、『リベリオン』の解説にて発言していたように、バレエ等の踊りの動きを加え、より流れるような動きを目指したガン=カタのバージョン2が使われた。ここでは通常のガン=カタ、直剣によるガン=カタのほかに、徒手空拳でのガン=カタも披露されており、これは敵の間をうまく動くことによって、同士討ちで敵を全滅させる技である。
[編集] オマージュ
ガン=カタは斬新なアクションで熱狂的なファンを作った他、ガン=カタのオマージュとも云えるシーンを入れた作品も出てきた。
下記は『リベリオン』が公開されてからそれらしきシーンが挿入されている作品。
[編集] 映画
- THE ULTIMATE VERSUS -アルティメット・ヴァーサス- - 主人公がそれらしきアクションを見せる。本作の監督や出演者がコメンタリーでのシーン解説時にガン=カタと明言。
- デビルマン - 2004年10月9日公開。
- デス・トランス - 主人公グレイヴの刀型ライフルとトンファー型銃によるアクション、拳銃使いシドによるアクションと随所にそれらしきアクションを見せる。
[編集] ドラマ
- 特捜戦隊デカレンジャー - 2004年-2005年放映。主人公赤座伴番が使う二丁拳銃の武術「ジュウクンドー」。劇場版では「ジャアクンドー」なる武術を使う敵も登場する。また、後期に登場したデカウイングロボは二丁拳銃をクラリックのポーズそのままに構えたことが何度かある。
[編集] ゲーム
- デビルメイクライ - 主人公ダンテの基本装備であるエボニー&アイボリー(二丁拳銃)を使用した攻撃技がガン=カタを意識して作られていると思われる。「トゥーサムタイム(体の向きを変えずに二方向同時に発砲)」「ファイアワークス(ヌンチャクの用に振り回しながら周囲に発砲)」など。
- ガングレイヴO.D. - 2004年発売。プレイヤーキャラの一人グレイヴが周囲に視線を向けず二丁拳銃を放つ必殺技「EXECUTIONER'S BLOOD」を使用。
- NAMCO x CAPCOM - 2005年発売。主人公の有栖零児が「銃の型(じゅうのかた)」という必殺技を使用する。動きだけではなく、技の最後に主人公の背後から青白いライティング演出が行われるのが、『リベリオン』冒頭で主人公が反乱者で溢れた個室に突入した際のそれに酷似している。
- シャドウハーツ・フロム・ザ・ニューワールド - 2005年発売。メインキャラクターの一人ナタンが二丁拳銃に近接格闘の要素を取り入れた、「銃風(ガンフー)」という体術を使用。ただし、ガンフーの出展は、1993年にイエローサブマリン社から発行されたテーブルトークRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』が初であり、同名の体術は「トーキョーN◎VA」にも見られる(こちらのガンフーは、明らかに『サイバーパンク2.0.2.0.』のオマージュ)。本作品における銃風の登場は、ガン=カタが流行した影響と思われるが、オマージュと言った意味ではガン=カタではなく、ガンフーのオマージュである。
- DUEL SAVIOR - ボスキャラ「シェザル」の攻撃手段としてガン=カタ風の技が存在する。
- ラグナロクオンライン - 職業の一つガンスリンガーが必殺技の使用時に見せる動きがガン=カタに酷似している。
- ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード - 最終決戦直前のデモムービーにて主人公が大剣を扱うラストボスに対し、拳銃型武器を用いて至近距離での戦闘を挑み、お互い捌き合うといった最終決戦シーンに似た戦闘を展開する。
[編集] アニメーション
- MADLAX - 2004年放映。
- 天上天下 - 2004年放映。第24話(最終話)にそれらしきアクションが見られる。
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY - 2004年-2005年放映。第1話、ガンダム強奪シーンにそれらしきアクションが見られる。
- 舞-HiME - 2004-2005年放映。二丁拳銃のエレメントを使う玖我なつきが第1話で救護室に突入するシーンなどでそれらしいアクションを見せる。
- グレネーダー ほほえみの閃士 - 2004年-2005年放映。最終話にて主人公が超至近距離で撃ち合うという、『リベリオン』の最終決戦シーンに似た戦闘を展開する。
- ビューティフルジョー - 2004年-2005年放映。ヒロインの変身した姿、セクシーシルヴィアが二丁拳銃のデスペラードでそれらしきアクションを見せる。
- MUSASHI -GUN道- - 2006年放映。武術である「GUN道の舞」でそれらしきアクションを見せる。
[編集] 漫画
- スクールランブル - 2005年掲載。播磨拳児と花井春樹が学校でのサバイバルゲームにて屋上で銃撃戦を繰り広げるシーンで、リベリオンのリロードアクションや最終決戦シーンのようなアクションがある。使用拳銃はデザートイーグル。
- 魔法先生ネギま! - 登場人物の一人龍宮真名が二丁拳銃を用いてそれらしきアクションを見せる。
- トライガン・マキシマム - ガンアクションシーンの随所にその影響が見られる。また、同単行本10巻においてウルフウッドとラズロが繰り広げた「パニッシャー(十字架型の巨大機関銃)を以って超至近距離で殴りあう場面」は、『リベリオン』の最終決戦シーンのオマージュである。
- 注: 同作より前の作品である『トライガン』(通称無印)でもガン=カタ的アクションは見られる。無印トライガンは『リベリオン』以前の作品である。
- 謎の村雨くん - 鈴木学がクナイとの戦闘に使用した『ワンメートル射撃術 エリアゼロ』が似ている。使用拳銃はワルサーP38。
- 漫画版『特捜戦隊デカレンジャーTHE MOVIE フルブラストアクション』 - デカレッドのガンアクション。特に敵役ヴォルガーとの最終決戦は正にガン=カタである。
- 注: 元々原作のアクションがガン=カタのオマージュであり、コミックスの設定資料の記述からも作者が意識して表現したと思われる。
- ゼロイン - ヒロイン、爲妹みくるが習得しているコマンド・ゼロはガン=カタと非常に近い性質を持っている。使用拳銃はブレン・テン。
- ソウルイーター - トライヒーローの一角、デス・ザ・キッドが2人の人間(内1名武器)に対して二丁拳銃を使用して接近戦闘を挑み、相手の位置を常に把握し故意に同士討ちを誘う描写がある。
- 武装錬金 - 主人公、武藤カズキが「去年の夏は確かに熱かった!」と言って、クラリックの服を着て警官を倒すシーンを思い出す場面がある。ちなみに全くの妄想。
[編集] 小説
- 学園キノ - 登場人物の一人ワンワン刑事が使用する「銃七条の拳法」がガン=カタとほぼ同じである。