第三次世界大戦
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第三次世界大戦 (だいさんじせかいたいせん) は、3つ目の世界大戦。
- 平和学などにおいて、1945年から1991年までの冷戦期に起こると予測された、超大国同士の戦争を指す用語。
- 対テロ戦争 (2001年 - ) の名称の一つ。
- 冷戦および米ソ代理戦争の総称。この場合、対テロ戦争を第四次世界大戦と呼ぶことがある。
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[編集] 概要
一般的には、第一次・第二次世界大戦のような列強の対立による全面戦争を指し、超大国同士が直接対決し、その周辺諸国を巻き込むような大きな世界戦争(米ソの直接対決など)を仮想して呼ばれた。核兵器による全面核戦争を想像することが多い。また破滅物のフィクションにおいても同様の意味で使われることがある。
特に朝鮮戦争やベトナム戦争、キューバ危機など米ソの対立が頂点に達した時期には、識者の間でもその勃発の可能性や対策について真剣に論じられた(朝鮮・ベトナム戦争はどちらかと言えば「代理戦争」の性格が強い)。
特定の書籍においては、既存の冷戦やアメリカ同時多発テロ事件以降の戦闘・戦争を世界大戦とするものが存在する。文脈によっては冷戦自体を一つの戦争とみなし、「第三の世界戦争」と表現することもある。また別の文脈では、アメリカ同時多発テロ事件以降、アメリカの主導によって行なわれている「対テロ戦争」のことを、「第三次世界大戦」と呼ぶ場合もある。ブッシュ米大統領は、2006年5月5日に放送されたCNBCのインタビューで、対テロ戦争を「第三次世界大戦」と初めて表現した。
第一次、第二次のような大陸間戦争は、ソビエト連邦消滅後、アメリカを相手にそれを為す国がないという実情のため、ありえないとされている。21世紀の今日では、テロやゲリラなどとの「非対称戦争」 が戦争のメインストリームとなりつつある。非対称戦における戦時と平時の区別は曖昧である。
最近では第三次世界大戦の可能性として「米中戦争」が論じられている。コンドリーザ・ライスやリチャード・アーミテージが論文で中華人民共和国が脅威(対中脅威論)と記したほか、アメリカ国防総省の評価では、日本は技術的・経済的な面から、アメリカにとって軍事的脅威になり得る可能性があるとされているなど、アジアの大国について脅威論を主張しているケースが挙げられている。ただ、現状において、中国、日本ともアメリカとの戦争状態に入る状況にはなく、これらについては、第三次世界大戦の可能性というよりも、かつての敵国である日本や共産主義体制下の中国について、アメリカ合衆国が信頼をしておらず、仮想敵国とみなしていることの表れであるとの指摘もある。
[編集] 第三次世界大戦に発展する可能性があった事件
- 1948年~1949年 ベルリン封鎖
- 1950年~1953年 朝鮮戦争
- 1956年~1957年 スエズ動乱
- 1958年 エイド・メモワール (ソ連がアメリカに西ベルリン占領の終了を要求)
- 1961年 ケネディ=フルシチョフ会談 (ソ連がアメリカにベルリンの中立化を要求)
- 1962年 キューバ危機
- 1960年~1975年ベトナム戦争
- 1968年 K-129沈没事件 (ソ連の核ミサイル搭載潜水艦がハワイ沖に沈没。ハワイを核攻撃しようとしていたという説がある)
- 1973年 第四次中東戦争
- 1979年 北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD) に誤ってソ連による総攻撃が表示される
- 1980年 アメリカ・ウィチタのマコーネル空軍基地で、ICBMタイタンIIが訓練中に誤って発射シーケンスに入る
- 1981年 レーガン大統領暗殺未遂
- 1983年 エイブル・アーチャー83演習 (ソ連、NATOの核ミサイル発射演習を本物の核攻撃の偽装と誤解)
- 1995年 ノルウェーロケット事件 (ロシア、ノルウェーの気象観測ロケットをアメリカの核ミサイルと誤認し、被弾前報復核攻撃を検討)
[編集] フィクション
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 第三次世界大戦の開戦日時のあるフィクション
- レッドサン ブラッククロス:第二次世界大戦がドイツの一人勝ちに終った後、カナダに亡命政権を立てた英連邦と第二次世界大戦に積極的には参加しなかった日本を中心とする枢軸国と、ドイツを中心とする連合国の間で1948年5月13日から1951年にかけて戦われた大戦。アメリカ合衆国は開戦初日にドイツの反応兵器(核)攻撃を受け、本土が戦場となったあげく東西に分裂する。
- 新・紺碧の艦隊・新・旭日の艦隊:照和28年3月、神聖欧州帝国による南米への武器密輸が発覚し、再び日本、アメリカ、東シベリア共和国、イギリス、自由ドイツ政府で編成された連合軍と神聖欧州帝国との間に大戦が勃発する。
- 遥かなる星:1962年10月、キューバ危機からアメリカによるキューバ空爆をきっかけに第三次世界大戦が勃発。幸運にも直接被害を免れた日本は、いずれ起きるかもしれない第四次世界大戦から生き延びるために宇宙開発に邁進する。
- 世界大戦争:1962年、同盟国軍と連邦国軍の対立によって第三次世界大戦が勃発。ICBMやIRBM、SLBMが使用され、人類はほぼ滅亡する。
- 渚にて:1964年、第三次世界大戦が勃発。核爆弾による放射能汚染で北半球が全滅する。
- エンド・オブ・ザ・ワールド:2000年『渚にて』のオーストラリアによるリメイク映画。中華人民共和国と中華民国(台湾)の戦争が発展して中華人民共和国とアメリカ合衆国の戦争=第三次世界大戦が勃発。
- AKIRA:1980年代(原作では1982年、劇場では1988年で)東京での人型兵器「アキラ」の大覚醒による大爆発が引き金となって第三次世界大戦が勃発。
- 第三次世界大戦:1987年、食糧禁輸措置を取られたソ連がアラスカの石油パイプライン基地を急襲、爆破して戦争に発展する。
- OZ:1990年10月15日、一発の核弾頭の誤爆によって第三次世界大戦が勃発。40分で終結するが、全世界が壊滅状態に。
- 北斗の拳:199X年、核戦争によって社会秩序は崩壊し、弱肉強食の無法世界が出現する。
- 未来少年コナン:2008年7月、第三次世界大戦(大変動)が勃発、超磁力兵器により地球の五大陸が沈没、文明が崩壊する。
- スタートレック:2026年~2053年、アメリカ合衆国とECON (Eastern Coalition) が、大規模な核攻撃を伴う第三次世界大戦を戦った。都市の大部分が破壊されて死者は6億人にのぼり、地球は事実上の無政府状態となる。ECONの詳細は不明だが、初期の稿ではアメリカ合衆国対中国 (China) だったと脚本家ブラノン・ブラガが明かしている。なお、詳細な設定が決まったのは『ファーストコンタクト』(1996年)においてである。
- 銀河英雄伝説:2030年、北方連合国家 (NC) と三大陸合衆国 (USE) の間で「13日間戦争」と呼ばれる第三次世界大戦(核戦争)が勃発。両大国は壊滅したが、その後も1世紀近く戦乱が続く。
- 地球連邦の興亡:2047年、異星人ヲルラの出現により「接触戦争」が勃発。当初はヲルラ対地球人の戦争であったが、途中から地球側が日英米を中心とする地球連邦と露中仏などを中心とする国際連合に分裂し、地球人同士で反応兵器を撃ち合う。
- サイボーグ009:2268年、第三次世界大戦が勃発。生き残った人類はタイムマシンで100万年前へ行き、人類の祖先となる。
[編集] 第三次世界大戦の開戦日時のないフィクション
- FUTURE WAR 198X年:東映アニメーション作品、1982年公開。豪華なスタッフやキャストを集め、冷戦時代のさなかに作られた映画。「第三次世界大戦が勃発して核ミサイルが各国の主要都市に降り注ぐ。生き残った都市に対する第二派攻撃を主人公の自己犠牲が救う」というストーリーであったが、戦争賛美的な内容であるとの理由で争議の的となった(製作者は反戦作品であると言明している)。
- ザ・デイ・アフター:ソ連の西ドイツ侵攻により、米・ソ連の全面戦争に。そして、核戦争に発展する。
- 風の谷のナウシカ:極限まで科学技術が進歩した人類が引き起こした最終戦争により高度文明が滅んで千年後の未来が舞台。有毒ガスを発生させる「腐海」が広がる中で人類は巨大化した蟲(むし)と共存している。
- 若き勇者たち:米ソ戦の勃発により、コロラド州カリュメットの高校グラウンドに、ソ連の後押しを受けた中米左派政権諸国の空挺部隊が降下。抵抗する者は射殺され街は占領される。落ち延びた生徒達による解放ゲリラ戦が展開される。
- 第三次世界大戦シリーズ:二見書房から刊行された一連の小説。『日本篇』ではソ連軍の新潟上陸・東京侵攻、『続・日本篇』では日本亡命政府軍と米軍による南九州・関東上陸戦が描かれる。
- Vフォー・ヴェンデッタ:近未来、第三次世界大戦によってかつての米国が消滅し独裁国家となった英国が舞台。
- ポストマン(映画):ケビン・コスナー主演。大規模な世界大戦により荒廃した近未来のアメリカでは非道な武装集団によるテロが横行していた。通信網も寸断されている世界を舞台に、一人の郵便局員の活躍を描く。