グローバル・レスリング連盟
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グローバル・レスリング連盟(-れんめい Global Professional Wrestling Alliance 略称:GPWA)は、プロレス団体の統一連盟のことである。
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[編集] 経緯
2000年代のプロレス界は、低迷するプロレス人気に反比例してプロレス団体が乱立しており、そのため興行が同一エリア・同一日時でバッティングすることも多く、決して健全とは言えない状態となっていた。そのためプロ野球に於いての日本野球機構(NPB)の様な、プロレス界全体を取りまとめる協会的な組織の必要性が長らく叫ばれていた。
また、かつては日本プロレス協会が存在していたのだが、そこから全日本プロレス、新日本プロレスに分裂して以降、ジャイアント馬場・アントニオ猪木の意向の違いなどから、両団体の交流は殆ど行われてこなかった(第三の団体・国際プロレスは両団体と交流していたが、1980年代初頭に崩壊している)。
このことから2006年8月、ZERO1-MAXを運営するファースト・オン・ステージの中村祥之社長が、友好関係にあるプロレスリング・ノア・仲田龍取締役渉外部長に相談。対してノア側は、「海外戦略などは独自に行おうと思っていたが、プランとして重複する部分があるので、一緒にやろうと思った」とコメントし、統一機構設立への機運が一気に高まった(尚、プランを考案した中村は「不要な争いを排除し、協力できる部分は協力していきたい。それがプロレスの発展になる。3月から各団体と交渉してきた」と述べている)。
こうして2006年9月12日にグローバル・レスリング連盟(GPWA)は正式に発足した。初代会長には三沢光晴・ノア代表取締役社長が就き、事務局長はFOS代表の中村が務めることとなった。また理事は各加盟団体の所属選手の持ち回りとなり、活動資金は加盟団体から出資するわけではなく、GPWA独自で興行などを開き、その利益をプールする形となった。同時に正式な本部の場所が決まるまでの間、FOS事務所を仮の本部とすることも発表された(ちなみに連盟オフィシャルサイトは、大阪プロレスやエルドラド、健介オフィスのサイトを手がけたライブドアが制作している)。
GPWAはその設立意義からも、将来的にはプロレス界のコミッションとして活動することが目標となっており、プロレス界念願であった統一機構をGPWAが担うことになるのでは、という意見も多い。
また、かつては「日本プロスポーツ協会(JPSA)」(プロ野球や大相撲、Jリーグなど日本を代表するプロスポーツ連盟・協会が加盟している)に加盟していたプロレス界であったが、1990年代に全日本・新日本両団体が脱退してからは加盟団体が無く、プロレス界は孤立してしまっている。このことを憂い、プロレス界を総括する連盟の必要性を訴えてきた元プロレスラーで衆議院議員の馳浩は、GPWAの設立を歓迎しており、三沢会長や仲田・中村の両首脳らと話し合い、陰ながら支援していくことを表明している(ちなみにJPSAの会長は森喜朗であり、馳は森派に属している)。
共同興行第一弾が、2006年11月14日に後楽園ホールに於いて行われた。中継権を得た日本テレビが当日、CSチャンネル日テレG+にて生中継。地上波でもノア中継とは別の枠で深夜放送することになっている。
大会は主に各団体の提供試合をはじめ、各団体が推している若手選手を中心にしたカードが2~3組まれており、次世代プロレスラーをプッシュすることが大きな要素となっている。
2007年5月5日から二日間、ディファ有明に於いて「ディファフェスタ」を行うことを発表。その中で第3回となるディファカップを行うことも発表した。
[編集] 主な事業プラン
- 各団体の興行日程(日時バッティングを避ける。例として、A団体が日本武道館で興行を行う際、B団体が両国国技館で興行を行い、ビッグマッチがバッティングすることがあるため、そのようなことを避ける)の調整
- プロレスラーとしてのライセンス発行
- プロレス団体としてのルールの統一(現在、各団体によって、リングアウトカウントやタッグマッチのタッチ制の有無など、多種多様に行われている)
- 選手の現役引退後の活動支援
- 新人選手の合同トライアウト(入団テスト)
- 独自に道場を持たない団体への、共同道場の設立
- 大会の共同開催
[編集] 参加表明団体(2006年11月01日現在)
- 日本(カッコ内は名義人)
- プロレスリング・ノア (三沢光晴代表取締役社長)
- ZERO1-MAX (大谷晋二郎FOS代表)
- プロレスリング・エルドラド (川畑憲昭代表)
- IWAジャパン (浅野起州代表)
- KAIENTAI-DOJO (TAKAみちのく代表)
- DDTプロレスリング (高木三四郎社長)
- ビッグマウス・ラウド (村上和成代表取締役社長)
- 健介office (佐々木久子代表取締役)
- 個人参加(日本)
- 菊タロー(フリー)
- 高山善廣(高山堂)
- 越中詩郎(Office K2)
- 鈴木みのる(パンクラスMISSION)
- NOSAWA(フリー)
- 富宅飛駈(パンクラスMISSION)
- MAZADA(フリー)
- 安田忠夫(フリー)
- 本間朋晃(フリー)
- 澤宗紀(バトラーツ)
- 吉川祐太(バトラーツ)
- 海外
- WORLD-1(Steve Corino代表)
- WLW(Harley Race代表)
- ROH(Cary Silkin代表)
- EWA(Chris Raaber代表)
[編集] 備考
- 国内の参加団体は全て首都圏を拠点とする団体で、現在のところ地方を拠点とする団体は加盟していない。連盟の事業プランのひとつである「興行日程の調整」が必要とされる会場が首都圏に殆ど限定されている事、「ライセンスの発行」がネックとなっている事などが原因とされている。
- 新日本プロレスは、自力再建中を理由に参加見送りを表明している。但し、「新日主導でなら入ってもいい」とも話したことがあること、関係断絶中のノアが主導する組織であることから加盟は難しいとの見方が大勢である。
- 全日本プロレスは、『(2006)年内のスケジュールは埋まってしまっていて、年内の参加は無い』と発言していたが、2007年春現在も未加盟のままである。全日-ノア間の軋轢はほぼ解消しているものの、現在友好関係にある(かつ、ノアと断絶状態の)新日に配慮している部分もあると見られている。連盟に加盟しているフリー選手は特に問題なく使っている。
- 事務局長の中村祥之が運営参加し、ZERO1-MAXも協賛している「ハッスル」を主導運営するDSEは、現在検討中として静観している状態である。
- 無我では代表取締役の藤波辰爾が参加に前向きであるものの、西村修と田中秀和の「大のインディー嫌い」が災いし、数多くのインディーが参加しているGPWA自体への参加を嫌がっていることや、同団体を推しているプロレスライターの安田拡了がノア主導の連盟加盟に大反対していることもあり、現在は参加を見送っている。
- 参加を見送った大日本プロレス、みちのくプロレス、大阪プロレス等からは公式の声明はないが、この先も各団体への呼びかけを行う予定であると中村は述べている。
- アパッチプロレス軍は、前身のWEW→冬木軍プロモーションの創設者である故・冬木弘道とノア社長・三沢光晴との深い繋がりからファンの間では参加濃厚と思われていたが、代表である金村キンタローが参加否定の声明を出している。こちらも全日同様、関係の深まった新日への配慮という説もあるが、金村はインディー魂を理由に挙げている。
- DRAGON GATEもGPWAへの公式声明は無いが、犬猿の仲であるプロレスリング・エルドラドが加盟していることから団体加盟は100%参加はあり得ないと言える。しかし、加盟団体であるノアやROHとは比較的友好的であり、個人としてインディーサミットに望月選手が参加したこと等から、限定的に関連の興業に参加する事は有り得ると考えられる。
[編集] 関連項目
- 御茶漬海苔 - ロゴマークデザイン
[編集] 外部リンク
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